今の私たちは、仕事や職場を
通じて友を得ることが多い。
ところが、職場を離れてもな
お友であり続けることは難し
い。
どこかで利ゆえにつながって
いた関係だから、利がなくな
った途端に去っていく。
そんなとき、あんなに○○だ
ったのに、という愚痴がつい
口をつき寂しい思いをするも
のです。
利益外の真の友をつくる努力
をしたいものです。
あんなに世話をしてやったの
に、ろくな挨拶もない。
あんなに親切に、してあげた
のに
あんなに一生懸命に、尽くし
たのに。のに・・・。のに・
・ ・・(中略)
のにが出た時は愚痴
こっちにのにが付くと、向こう
は恩に着せやがってと思う(
中略)
花はただ咲くんです。(それを
とやかく言うのは人間・・(中略)
人間のように、のになんて愚痴は、
ひとつも言わない。
だから純粋で、美しいんです。
(相田みつを、「のに」)
西岡さんは、弟子の育て方に
ついて、「大工は弟子たちに
規矩木割り/きくわり(木の
反りを考慮して部材の寸法の
比例を決めていく技術)を教
える。
時代ごとの違いを教えると
弟子の反応が分かれる。
物覚えのいい人は教えた通り
に丸暗記する。実際に見て得
心がいかないと覚えられない
人は、飛鳥ものは、白鳳のも
のはどんなものか、と自分で
確かめに行く。そして、なん
で時代によって違うのか疑問
を持つ。
丸暗記したほうが早くて世話
はないが、それでは新しいも
のに向かっていけない。
丸暗記には根がない。根がち
ゃんとなくては、木は育たな
い。しかし根さえしっかりし
ていれば、そこが岩山だろう
と、風の強い所だろうと、や
っていける。
各時代の木割がなぜ違うのか
を考え極めるにはたいへんな
時間と労力がいる。だが、
一度それを習得した人は、後
で自分流の木割りができるよ
うになる」。
人材の育て方の真髄だ。
戦後の学校教育や企業内教育
は、外国に追いつき追い越せ
で知識の丸暗記一辺倒だった。
そのほうが、効率がよかった
からだ。手本があった時代に
はそれで良かったが、これか
らの自分で道を切り拓いてい
く知恵の勝負の時代には役に
立たない。
『太陽はあしながおじさん』
日が昇ってから沈むまでの昼の
時間のことを「日脚」といいま
す。
冬至を過ぎると、日は少しずつ
長くなっていくので「日脚伸ぶ」
というのですが、
「そういえば日が伸びたな」と、
ふと実感するのは、一月も末近
くなったころでしょうか。
部屋の奥まで斜めに差し込んで
いた弱々しい光が入口まで後退
し、そのかわりに光が強くなっ
てきます。
家の灯りをつける時間も遅く
なってきて、ゆっくり春が近づ
いていることを実感できます。
暗い冬を逃れ出た喜びの思い
が強く込められた言葉です。
宮大工の西岡常一さんは、科学
信仰の世の中を嘆いてこう言っ
ている。
「今の人は、科学が発達して、
昔の技術なんて古くさいと言っ
て相手にしないが、それは間違
っている。ついこの間まで、
学者たちは古い建築物の再建に
鉄を使って長持ちさせろと言っ
てきたが、鉄はせいぜい三百年
を持てばいいという代物だ。
法隆寺の檜の建物は千三百年も
持っている。千年もすぎた木が
まだ生きていて、塔の瓦をはず
して下の土を除くと次第に屋根
の反りが戻ってくる。
鉋をかければ今でも品のいい檜
の香りがする。
みんな新しいことが正しいこと
だと信じているが、古いことで
もいいものはいい。
経験を信じず、学問を尊重する
ようになったのは明治以来だ。
しかし、いくら科学が進歩して
きも、千三百年前に法隆寺を建
てた飛鳥の工人の技術に私らは
追いつけない。飛鳥の人たちは
よく考え、木を生かして使って
いるからだ」
まず現実があって、それを体系
化して確率的に普遍化したもの
が学問なのに、月日とともに
現実から逃避し始め、現実が間
違っていると言い出すから変に
なる。
企業でも、スタッフが陥りやすい
落とし穴だ。現場、現実を絶えず
尊重することを忘れてはいけません。
人間はしょせんひとりだという
覚悟を持てば、たいていのこと
はがまんできてしまう。
一遍上人にこんな法語がある。
生ぜしも独りなり
死するも独りなり
熱烈な恋愛をして、
「私とあなたは一生涯はなれ
ない。共に歳をとり、死ぬと
きも一緒で、同じお墓に入りま
しょうね」
と違い合って結婚しても、同じ
時に死にはしません。
どちらかが先に死に、どちらか
があとに残る。
恋人といい夫婦というのもしょ
せんは旅の道づれ。
ある地点から地点まで、何かの
縁で同じ道をたどる物同士が、
お互いに肩を並べて、長旅の退
屈さや、心細さや、不安や喜び
を、慰めあったり分けあったり
してみますが、必ずどこかで別
離のときが訪れます。
やがてひとりで“あの世”と
らに旅だっていきます。
たとえ身のまわりに何事が起こ
っても「人間は独りだのだ」
という思いに徹すれば、さばさ
ばします。
そして自分は孤独だということ
を知覚している人ほど、他の人
の淋しさがわかるのであり、
人の心の痛みやつらさがわかる
のではないでしょうか・・・・。
その年の福徳を司る神を
恵方神といい、この神が来臨
する方角のこと。
「吉方」ともいいます。
恵方とされる方角は、その年の
干支にちなみ、陰陽道に基づい
て定められます。
歳神の御利益を授かるために、
その方角にある神社仏閣に参拝
することを「恵方詣」といいま
す。
北方謙三の小説『風樹の剣』の
主人公・日向景一郎は、日向流
を興した祖父と旅をする。
景一郎は、剣術は得意なのだが
度胸がない。博徒にからまれて
逃げたり、真剣で挑まれた勝負
には尻もちをついて刀を投出し
てしまい、恐怖のあまり小便を
もらす始末だ。
かつての日向流の門人が、「あな
たのお孫さんは臆病だ。とても
剣の名手にはなれない」
とあきれて言うと、祖父はこう
答える。
「はじめての真剣の立ち会いで
相手を倒したお前には、景一郎
の天稟はない。臆病だからこそ、
相手の剣先を見切ろうとし、身
を守る術を覚えるのだ。
真剣を握ったあれを斬れる手だ
れは少なかろう」
恐怖を感じること自体は、決して
恥ずかしいことではありません。
恐怖を感じながら、それを乗り超
えようとする人こそ素晴らしい仕
事をするものです。
弱気になったとき、壁にぶつ
かったとき、どう対処するか
が問題です。
過去の自分を乗り越えて成長
していかなければならないの
は、昔も今も同じです。
絶えず恐れを持っている人の
ほうが、精進に励み素晴らし
い境地を開いていくように
思います
男と女がいて恋があり、別れが
ある時、そういうきれいごとで
すむわけがないと、ずっと思っ
ていた。
どこかでドロドロした部分は、
必ずあるし、やさしく見送ある
なんて嘘っぱちだと・・・・。
まわりでも恋のゴタゴタは多い
し、そのつど、電話などで相談
されたり、グチを言われたり、
泣きつかれたり、こちらも自分
の問題で精いっぱいなのに困っ
たもんだと思っていた。
特に、女のタチの悪いのは、時
としてまわりが見えなくなるこ
とだ。熱愛関係に入ると、彼と
自分の世界しか見えない。
それはそうさせる男も悪い、た
ぶん。
そういう男女関係に、ふつふつ
といや気がさしている私がいた。
私の幼ななじみの女友達が、恋
の深みにはまった。自分のこと
をタナに上げて、人のことを言
うのはいけない思ったし、
その子に忠告できるほど、こち
らが立派な恋をしているわけで
はないから、静観していた。
けれど、彼女の変わりようは
激しかった。昨日までの幼女、
あるいは処女が一夜にして、
豹変したような生臭さがあっ
た。
私にも恋人はいて、それなりに
すったもんだしていたが、私の
彼でさえ、こちらの恋の問題を
さし置いても、彼女の変貌ぶり
を心配した。
実は、私が、私の彼に異変を感
じ始めたのも、ほぼ同時期だっ
た。お互い、なんとなくしっく
りいかないな、と思っていた。
彼は正直に告げた。新たに好き
な子ができたと。不思議なくら
い私は驚かなかった。
かえって、彼には失礼ではない
かと思うくらいだった。
・・・さるものは追わず・・
勘がいいのか、恋をしそうな予
感、ダメになりそうな予感、必
ず当たるのだった。
晴天の霹靂とか、劇的な展開と
いうのに緑がない。
「物わかりがよすぎる、君はも
っと、わがままになってもいい
のに」と、彼に言われたことも
あった。
「すまないと思っている。俺の
勝手で」彼は、いつも待ち合わ
せに使っていた喫茶店で、潔く
あやまって、別れを告げた。
午後の日差しに、外は穏やかで、
カップルも楽しげに往き来する。
それでも、みんなそれぞれ恋し
ている限り、なんらかの問題を
かかえているのだろうと思うと、
ふと、やりきれなくなった。
・・・悲しいのはお前だけじゃ
ない・・・
しかし、恋の終わり際に、想い
を相手にぶつけ、かまわずよよ
と泣き崩れるような女でないの
は、いいことなのかどうか、わ
からなかった。
ただ、私は私と思うしかない。
本当は、結構ドロドロした部分
だって引きずっているはずなの
に・・・・。
その直後、友達の彼氏が結婚
詐欺まがいの男だったという
話を、別の友人から聞いた。
が、なぜかほっとした。そこ
から彼女の道もまた始まるのだ
ろうし、恋も夢もまだみんな
模索中なのだから。
・・・・ ♡・・ ・・・
恋の後味の 良し悪しは
過ぎた恋の形にもよるだろう
が 運もある
いくら心の持ち方だと言って
も
耐え難いほど グサリと棘の
ささったままで
なかなか癒えない 愛もある
はず
恋の後始末は むずかしい
やさしく見送る心境は 一種
男の専売特許かもしれず
女は なかなか突き抜けられ
ない
それでも ごく稀に 後味の
いい恋もあるものだ
めぐり合わせか 時のいたず
から
そういうさだめの 恋がある
すべてが 輝きに 置き換えら
れるような