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「シャーディック」<下>

2010-09-17 09:16:06 | リチャード・アダムス

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 『シャーディック』下、リチャード アダムズ著、神宮輝夫訳、評論社


<あらすじ>
 シャーディックに導かれたオルテガ人たちの怒涛の進軍に、あっという間に首都ベラクは陥落し、彼らは念願のベラク奪還を果たしたのだった。


 シャーディックを発見した狩人ケルデレクは、祭主王としてベラク帝国を治める。しかし、南の諸州は異民族の力が残っていて、5年以上にわたる紛争を繰り返していた。


 そんな折、一人の領主エレロスが謀反の心を抱いて、首都ベラクを訪れるのだった。


 主人公ケルデレクが、シャーディックとの出会いによって数奇な運命をたどっていく壮大な物語である。




<感想>
 アダムスの話を幾つか読んで気が付いたことですが、彼は登場人物に苦難を与えるとき、必ず血が流れます(その人物が怪我をする)。
 特に主人公は、何かあるごとに怪我を負うので、いつも傷だらけなのです。これはイエス・キリストの受難をイメージしているのではないかと感じるほどです。


 この『シャーディック』は、主人公ケルデレクの数奇な運命、シャーディックに翻弄されて受難し傷ついていく姿は、キリスト教文化における信仰心をテーマにしているのではないかと強く感じました。


 カテゴリーは児童文学となっていますが、テーマ内容としては、重たい感じのする作品です。



「シャーディック」<上>

2010-09-17 08:46:50 | リチャード・アダムス

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 『シャーディック』上、リチャード アダムズ著、神宮輝夫訳、評論社


<あらすじ>
 架空の大陸ベラク。かつてこの広大な土地を支配していたオルテガ人は、異民族の侵入を赦し北の辺境である大きな河の中洲へと追いやられてしまう。
 しかし、いつか彼らの元に神は、使いである巨大な熊シャーディックを遣わし、ベラク帝国を取り戻してくれるという伝説が残った。
 シャーディックの伝説を祭る信仰クィソが女司祭ツギンタによって代々伝わり、取り仕切っていた。


 そして時代が過ぎて、中洲の北側の未開の森林地帯で大火災が起こる。
 火事に追われた1頭の巨大が熊がオルテガ人の住む中州へと泳ぎつき、狩人ケルデレクが偶然にも最初に発見する。
 彼は、この事実をクィソの女司祭ツギンタであるサジェットへと知らせるのだった。


 シャーディックの出現は、オルテガ人を動揺させ、熱狂的な意思のもと、かつての自分たちの土地だったベラク帝国の首都ベラクへと軍勢を侵攻させる。


 ケルデレクは、神の力としてのシャーディックに魅せられて…… 


 主人公ケルデレクが、シャーディックとの出会いによって数奇な運命をたどっていく壮大な物語である。




<感想>
 『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』に続くリチャード アダムズの2作目の長編小説。アダムスは、動物ものの作品が得意で、基本的に動物たちが主人公であるのですが、本作品は巨大な熊にであることで大きく運命を翻弄される狩人ケルデレクが主人公になっている。


 一応、児童文学というジャンル分けになりますが、内容は大人でも十分に楽しめるもので、ネイティブアメリカンの雰囲気たっぷりです。


 アダムスの物語構成の仕方は絶妙で、読者を飽きさせず、最後までどうなるのか分からないという、ハラハラドキドキの展開が楽しめます。