セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

換局(政権交代)について

2009-04-03 22:27:41 | 社会経済
無職でいると自然毎日連続して放送されるテレビドラマが楽しみとなる。日本のテレビドラマの再放送もあるが、韓流ドラマの時代劇も展開がハラハラするストーリーで面白い。いま月曜日から金曜日まで毎日見ているのは、いずれも朝日BSで午前9時からは「王の女」、正午からは「張禧嬪(チャン・ヒビン)」だ。どちらも李氏朝鮮王朝の時代劇だが舞台の年代は100年近く違う。実は同じ女優(パク・ソンニョン)が両方に重要な役で出ている。「王の女」では主役で、宮中の女官なのだが王子である光海君をしたってすぐれた判断力で王子を助ける。「張禧嬪」では王妃の役だが主役ではなく、主役の張禧嬪という王の側室の謀略で窮地に追い詰められる悲劇の人だ。張禧嬪は朝鮮史上に悪女で通っている人物だ。「張禧嬪」は日本のドラマでよくあるパターンの「実はいい人だった」とは違い、ドラマでも悪人のままで主人公だ。僕の推測では、先に「張禧嬪」が作られて、視聴者から張禧嬪の女優(キム・ヘス)よりずっと美人で思いやりのある王妃がかわいそう過ぎるという抗議がきたので、「王の女」では主役となったのではと思う。だって張禧嬪の策謀のため後宮内で騒ぎが起きても王様は王妃におまえの嫉妬心から騒ぎがおきると王妃を非難するのだもの。ひどい亭主だ。藤原紀香ならとっくに自分から離婚しているよね。でも王妃は国母として国に殉ずるつもりでなったし、自分から辞めることもできない。王様が廃妃を計画しているというので、忠臣たちが反対の上訴をするがみんな処罰された。とうとう今日の放送で王様からひどい内容の勅令をだされて廃妃されて、平民として宮殿を追われた。ところで「王の女」で光海君を演じるのは、「オール・イン」で主役(イ・ビョンホン)よりイケ面なのに敵役となったチ・ソンだ。

「張禧嬪」は今日放送の時代は1689年だから日本では元禄時代のはじまったころだ。ドラマの主人公はかなり前に死亡した訳官という通訳をする下級役人の娘で、叔父は裕福な商人だったが、王族の謀反に資金援助をして反乱者として処刑された。母は勤めていた屋敷の主人である南人派の役人と不義があったとうわさされている。ちなみに南人派とは役人の派閥の一つで、他に西人派という派閥があり、主人公が宮中に女官としてもぐりこんだ時は、王族の謀反を契機に南人派は失脚して、西人派が権力を独占している。西人派という党派はこのときすでに100年近い歴史を持っている派閥だ。朝鮮王朝でもこの時代が宮廷内の官僚の党派の権力闘争が激しいときだ。ちなみに母と不義をうわさされる役人は、宮中の高官のなかでたった一人の南人派だ。どうして残っていたかというと、どうやら大王大妃(王様の祖母)のゆかりのある人らしいからと思われる。大妃(王様の母)は西人派の支持者で実の息子である王様を厳しく押さえつけている。大王大妃は血のつながりがないが、前の前の王の妃なので祖母に擬され、王様は母よりもしたっている。大王大妃は南人派を贔屓しているので、主人公を宮中に女官として引き入れた。

さて今日書きたいのは韓流ドラマの紹介ではなく、「張禧嬪」を見ているときに出てきた、「換局」ということ。数日前の放送の中で、「政権交替が起こるぞ」という字幕があった。時代劇で、君主制国家なのに革命でもないのに「政権交替」という言葉はそぐわない感じがした。どうやらそれは後ででてきた「換局」という言葉の訳だと思われる。意味は、権力をにぎっている官僚の派閥が入れ替わることだ。王様は張禧嬪の生んだ男の子に称号をつけて第一王子としようとした。そうなると世継ぎになる可能性が大きくなる。西人派ばかりの重臣たちは、王妃がまだ若い(23歳)ので、王妃の出産に期待しているので、前例にもない早すぎる称号付与に反対した。それに王が怒ったので、政権交替つまり換局が起こることが予想したのだ。事実、換局が起こり、重臣たちは全員首になり、多くの者たちは流刑や処刑になった。かわりに過去の換局で流刑になっていた南人派のものたちが朝廷に復帰して、西人派に復讐を始める。これを年の干支から己巳換局という。

本当は今年おこるかもしれない、国と名古屋市の換局について書くつもりだが、長くなったのでそれは次にする。