セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

宗主国の承認

2009-04-14 22:24:20 | 文化
「王の女」のケトンことキム尚官って朝鮮史上三大妖女なのだけど、じつは以前にもずばり「宮廷女官キム尚官」というタイトルでテレビドラマシリーズが作られていたのだって。なんと主演は「宮廷女官チャングムの誓い」のチャングム役のイ・ヨンエだよ。ふーん歴史上の有名人なのだ。

今日の放送では、長年連れ添った王妃が亡くなったので、王様は落ち込んで食事をのどに取らないようす。側室たちが粥を進めても怒って食べない。いまがチャンスと、ケトンが7年ぶりに宮廷に復帰し王様は大喜びで元気となった。7年ぶりというのは、ケトンは王様の前で誤って他の女官と触れ合って食器をこぼしてしまったのだ。王様の前での粗相は不敬罪となる。官位を受けた側室なら罰するには王様の許可がいるが、官位を受けていなかったケトンは王妃により宮廷を追放されたのだ。追放された間ケトンは光海君の妻によりかくまわれていた。光海君の妻はケトンが王様の寵愛をうけたので、光海君の役に立つとおもってかくまっていたのだ。でもこのパターンどこかで見たようなと言えば、「張禧嬪(チャン・ヒビン)」で張禧嬪となるオクチョンが、王妃を呪った罪で、宮廷を追放になり、王族の東平君にかくまわれて6年後に宮廷にもどったのだ。ちなみに禧嬪(ヒビン)というのは側室の官職名で、本名はチャン・オクチョンということになるのだろう。

6年にしろ7年にしろ、そんな長い間離れていても王様の心をぐっと掴むなんて妖女というのはすごい力があるものだ。いちど3人にお会いしたいものだ。できればベッドをともにして。おっと王の女に手をつけたら八つ裂きの刑だ。

さて「張禧嬪(チャン・ヒビン)」の方は、張禧嬪の王妃就任の許可をえるため宗主国の清国に東平君が使者として清国にいったが許可をもらえず戻ってきた。そのあとに清国から使者が来て鳥銃3000丁という無理な要求をされて大騒ぎとなる。清国の意向により廃妃が王妃に復活することさえある。ちなみに鳥銃というのは鉄砲のこと。

このように朝鮮国と清国は属国と宗主国の関係にあって、王、王世子、王妃となるには宗主国の清国の許可がいるのだ。そこでピンと来るものがある。北朝鮮の金正日の後継者がだれになるかが取りざたされているが、息子の3人のうちだれかと世襲が当たり前のように言われている。でも社会主義国なのだよ。前回のとき金正日が金日成の後継者になることについて中国共産党では社会主義にふさわしくないという意見が出たようだ。金正日は国家の最高権力者となっているが、国家主席でも大統領でもなく国防委員長という役職名だ。実は李氏朝鮮ができたとき最初の李成桂は明国から王様の称号をなかなかもらえなくて長い間、権知朝鮮国事という称号であった。権というのは日本でも権大納言(ごんだいなごん)というのが「大納言の権限をもつ」というように、代行者みたいな意味。ちなみに菅原道真は大宰府権帥(だざいふごんのそつ)に任命されて九州に左遷された。そこにはすでに大宰府帥がいるので、権帥は名目だけの官職だから仕事がなく流刑と同じだ。知というのは県知事の知とおなじで治めるということ。事も県知事の事と同じ。したがって権知朝鮮国事というのは朝鮮国の統治代行者という意味。明からすると高麗王朝の簒奪者を儒教の建前からすんなり国王と認められないのだろう。中国としても社会主義の建前から元首の世襲を認められない。だから金正日は国家主席ではなく国防委員長の職名で最高権力者なのだ。ということは北朝鮮は中国の属国なのだ。