動物行動学者の竹内久美子が別な観点から外間守善や服部四郎の説を裏づけていた。
「パラサイト日本人論-ウィルスがつくった日本人の心-」(竹内久美子著/文春文庫)で以下のように語っている。
「約二万年前をピークとするウルム氷河期が終わりに近づき、気温が上昇しはじめた頃のことである。中国大陸の南部からだろうか、あるいはインドシナ半島やジャワ、スマトラ方面からだろうか、少なくとも古モンゴロイドの集団が何回にも分けて、アジアの様々な地方から日本列島にやって来たのである。これが後の縄文人 ― 約一万年前から始まり約二千三百年前まで続く縄文文化の担い手となった人々の ― 祖先である。
縄文人は日本人の基礎となった。いわば原日本人たるべき人々である」
「縄文人は原日本人だが、日本人が日本人として真に成立するのは少し間をおいてからである。つまり紀元前三世紀頃(約二千三百年前)から紀元七世紀頃にかけての1000年の間、大陸から(朝鮮半島から)続々渡来した新モンゴロイド系の人々 ― 彼らとの混血をもって日本人は完成するのである。日本人とは、古モンゴロイドと新モンゴロイドとの、非常に大掛かりな混血の産物であったのだ」
竹内久美子氏はまた、「渡来人は初め北九州に住み、子孫たちはやがて中国、近畿地方へと地盤を移していった。この過程で邪馬台国や大和朝廷が誕生したというわけである。近畿地方の人々に渡来系の特徴が強いのは、まずこうした背景があるからである」と自然人類学などを基に服部四郎の説を裏づけている。
人の頭を上から見ておでこから後頭部かけての長さ(頭の曲線に沿わず、ノギスのようなもので測った直線距離)を「頭長」とし、側面のもっとも出っ張った距離を測って「頭幅」とする。この「頭幅」を「頭長」で割って100を掛けた値が「頭長幅示数」という。この示数が人種や民族によって違ってくるというのだ。ほとんど民族間や人種間は一緒であるらしいが、こと日本人だけはその違いが著しく現れている民族で、これひとつとっても日本人が単一民族であるという幻想は簡単に打ち消されてしまうだろうと言っている。
日本人の頭の標準サイズは、成人男性で頭長18.0~19.5cm、頭幅15.0~16.0cm、成人女子で頭長17.5~18.5cm、頭幅14.5~15.5cmといったところで、たとえば15.5cmの頭幅を19.0cmの頭長で割ると81.6という数値が出る。だいたい日本人は80前後で、これを超えて90に近くなるのが短頭、また、70の方に行くのが長頭ということになる。
近畿が短頭勢力の中心で関ヶ原を越えて岐阜、愛知へ、東海道を通って南関東まで達し、西は山陽方面へと及んでいる。
一方長頭の方は、隠岐が群を抜いている。長頭勢力は本州や九州の日本海側、それに東北地方を基盤としており、たとえば近畿地方にしても丹後(京都府北部)や湖北地方では大分長頭側に傾いているのである。そしてなにより本当の長頭日本一はアイヌの人々だということである。
ここには沖縄が調査対象に入っていないが、調査してみたら間違いなく長頭勢力の雄であるはずだ。
近隣諸国では、朝鮮半島は見事な短頭王国であり、満州から蒙古へと連なっている。また中国でも、最も長頭傾向のタイ国境に近い雲南省でも80をちょっと切るぐらいで全体的に短頭勢力である。チベット、ネパールも中国と大差なく、タイは世界でも指折りの短頭王国であり、インドネシアも同様だということである。
一転、パプア・ニューギニアなどの太平洋の島々を見ると極端な長頭なのである。さらにオーストラリア原住民(アボリジニ)となると間違いなく世界一の長頭だという。しかし、これらの人々の長頭と日本のアイヌや隠岐などの人々との長頭とは系統が違っていて、前者は頭幅が短いことによる長頭であるのに対して、後者は頭長が長いことによる長頭なのだという。
短頭、長頭以外で、<渡来系>(近畿地方の人々)または<新モンゴロイド系>の特徴というと、「一重瞼と細い目、扁平な顔、胴長短足、丸味を帯びた体形に薄い体毛、薄い眉、乾いた耳垢・・・」であり、一方、<縄文系>もしくは<古モンゴロイド系>は、「彫りの深い顔、二重瞼、ぱっちりとした目、濃い体毛、濃く太い眉、湿った耳垢、大きな耳たぶ」、また「身長は低い、しかし手足は長い、肩幅、骨盤幅が広くてがっしりしている」という特徴をもっている。
わたしの家族はわたしが沖縄産で、カミさんが東北の青森産だから縄文系には間違いないが、カミさんと娘は乾いた耳垢でわたしと息子は湿った耳垢と分かれているし、わたしの父や姉は湿った耳垢派で、母と兄は乾いた耳垢派とやはり分かれていた。
家族の中でもそれぞれの特徴が混在していれば混血度が進んでいると言えるだろう。
竹内氏の著書には「乾いた耳垢と湿った耳垢」や「成人T細胞白血病(略称ATL=略称HTLV)」の分布による古モンゴロイド(縄文系)、新モンゴロイド(弥生系)の話もあって、たいへん興味深い。今回触れることはできないが、いずれ別な機会に紹介しよう。
「パラサイト日本人論-ウィルスがつくった日本人の心-」(竹内久美子著/文春文庫)で以下のように語っている。
「約二万年前をピークとするウルム氷河期が終わりに近づき、気温が上昇しはじめた頃のことである。中国大陸の南部からだろうか、あるいはインドシナ半島やジャワ、スマトラ方面からだろうか、少なくとも古モンゴロイドの集団が何回にも分けて、アジアの様々な地方から日本列島にやって来たのである。これが後の縄文人 ― 約一万年前から始まり約二千三百年前まで続く縄文文化の担い手となった人々の ― 祖先である。
縄文人は日本人の基礎となった。いわば原日本人たるべき人々である」
「縄文人は原日本人だが、日本人が日本人として真に成立するのは少し間をおいてからである。つまり紀元前三世紀頃(約二千三百年前)から紀元七世紀頃にかけての1000年の間、大陸から(朝鮮半島から)続々渡来した新モンゴロイド系の人々 ― 彼らとの混血をもって日本人は完成するのである。日本人とは、古モンゴロイドと新モンゴロイドとの、非常に大掛かりな混血の産物であったのだ」
竹内久美子氏はまた、「渡来人は初め北九州に住み、子孫たちはやがて中国、近畿地方へと地盤を移していった。この過程で邪馬台国や大和朝廷が誕生したというわけである。近畿地方の人々に渡来系の特徴が強いのは、まずこうした背景があるからである」と自然人類学などを基に服部四郎の説を裏づけている。
人の頭を上から見ておでこから後頭部かけての長さ(頭の曲線に沿わず、ノギスのようなもので測った直線距離)を「頭長」とし、側面のもっとも出っ張った距離を測って「頭幅」とする。この「頭幅」を「頭長」で割って100を掛けた値が「頭長幅示数」という。この示数が人種や民族によって違ってくるというのだ。ほとんど民族間や人種間は一緒であるらしいが、こと日本人だけはその違いが著しく現れている民族で、これひとつとっても日本人が単一民族であるという幻想は簡単に打ち消されてしまうだろうと言っている。
日本人の頭の標準サイズは、成人男性で頭長18.0~19.5cm、頭幅15.0~16.0cm、成人女子で頭長17.5~18.5cm、頭幅14.5~15.5cmといったところで、たとえば15.5cmの頭幅を19.0cmの頭長で割ると81.6という数値が出る。だいたい日本人は80前後で、これを超えて90に近くなるのが短頭、また、70の方に行くのが長頭ということになる。
近畿が短頭勢力の中心で関ヶ原を越えて岐阜、愛知へ、東海道を通って南関東まで達し、西は山陽方面へと及んでいる。
一方長頭の方は、隠岐が群を抜いている。長頭勢力は本州や九州の日本海側、それに東北地方を基盤としており、たとえば近畿地方にしても丹後(京都府北部)や湖北地方では大分長頭側に傾いているのである。そしてなにより本当の長頭日本一はアイヌの人々だということである。
ここには沖縄が調査対象に入っていないが、調査してみたら間違いなく長頭勢力の雄であるはずだ。
近隣諸国では、朝鮮半島は見事な短頭王国であり、満州から蒙古へと連なっている。また中国でも、最も長頭傾向のタイ国境に近い雲南省でも80をちょっと切るぐらいで全体的に短頭勢力である。チベット、ネパールも中国と大差なく、タイは世界でも指折りの短頭王国であり、インドネシアも同様だということである。
一転、パプア・ニューギニアなどの太平洋の島々を見ると極端な長頭なのである。さらにオーストラリア原住民(アボリジニ)となると間違いなく世界一の長頭だという。しかし、これらの人々の長頭と日本のアイヌや隠岐などの人々との長頭とは系統が違っていて、前者は頭幅が短いことによる長頭であるのに対して、後者は頭長が長いことによる長頭なのだという。
短頭、長頭以外で、<渡来系>(近畿地方の人々)または<新モンゴロイド系>の特徴というと、「一重瞼と細い目、扁平な顔、胴長短足、丸味を帯びた体形に薄い体毛、薄い眉、乾いた耳垢・・・」であり、一方、<縄文系>もしくは<古モンゴロイド系>は、「彫りの深い顔、二重瞼、ぱっちりとした目、濃い体毛、濃く太い眉、湿った耳垢、大きな耳たぶ」、また「身長は低い、しかし手足は長い、肩幅、骨盤幅が広くてがっしりしている」という特徴をもっている。
わたしの家族はわたしが沖縄産で、カミさんが東北の青森産だから縄文系には間違いないが、カミさんと娘は乾いた耳垢でわたしと息子は湿った耳垢と分かれているし、わたしの父や姉は湿った耳垢派で、母と兄は乾いた耳垢派とやはり分かれていた。
家族の中でもそれぞれの特徴が混在していれば混血度が進んでいると言えるだろう。
竹内氏の著書には「乾いた耳垢と湿った耳垢」や「成人T細胞白血病(略称ATL=略称HTLV)」の分布による古モンゴロイド(縄文系)、新モンゴロイド(弥生系)の話もあって、たいへん興味深い。今回触れることはできないが、いずれ別な機会に紹介しよう。
ロシア人はR(R1a46.7%、R1b5.8%)、N(21.6%)、I(17.6%)。ウクライナ人はR(R1a43.2%、R1b7.9%)、I(27.2%)、E(E1b1b7.4%)、N(5.4%)。タタール人(ザギトワ)はN、Q、C。ウクライナ人のE(YAP遺伝子)=血液型O型と日本人のD(YAP遺伝子) =血液型A型はDE(YAP遺伝子)から分かれた。フィンランド人はN。
日本人はフィン人、バルト三国人、チュクチ人、サーミ人、ロシア人(R、N、I)、ウクライナ人(R、E、N)、ヤクート人、ブリヤ―ト人(C2、N)、タタール人(C2、Q、N)、ウリチ(C1a1)、黄河沿岸人、長江沿岸人、東南アジア人、ブータン人、北東インド人、アンダマン諸島人、チベット人、ミャンマー人、北米インディアン、アラスカ・エスキモー、アメリカ先住民などと共通の遺伝子を持っている。
縄文時代、日本は多民族国家だったが、長年かけて混血を繰り返し、日本人全体が広義の親戚となった。韓国は7世紀まで日本に一部だった。殷を起こした東族(日本人)と西族(漢族)とが入れ替わったのが紀元前1000年前始まった春秋戦国時代だった。日本には最初、匈奴(ハプログループN)と白人(YAP遺伝子D) が住んでいたが、志那から難民が押し寄せた。騎馬民族は日本を席巻しておらず、日本人がそのルーツである。遼河~北東亜平野~西日本でNO→N、O。Oは志那・東南アジア。青森の三内丸山遺跡の縄文人はハプログループN。ハプログループN(Y染色体)はガサナン人、ヤクート人、ネネツ人、フィン人、チュクチ人、サーミ人、エストニア人、プリヤ―ト人、ラトビア人、リトアニア人など。DE(YAP遺伝子)→D(YAP遺伝子)、E(YAP遺伝子)。D(YAP遺伝子)はチベット人、ブータン人、アンダマン諸島人、日本人、アメリカ先住民全体、E(YAP遺伝子)は地中海沿岸にあるスペイン、ポルトガル、イタリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ギリシャ、北マケドニア、ブルガリア、セルビア、スロべニアなどの南欧、西アジア、エジプトなどのアフリカ全体。
ハプログループX(mtDNA)を持っているのはヨーロッパ人、中東人及びアメリカ先住民だけでなく、北米インディアンのトリンギット族、インカ人の子孫、アイヌ人の一部の人たち、現代アイヌ、埼玉県戸田市で発掘された縄文人(YAP遺伝子D)にも見られ、R、Q、YAP遺伝子DEが共通のハプログループX(mtDNA)を持っていることになる。ヨーロッパなどのEU亜型が東北に若干存在する。日本にはモンゴルや中国東北部のB亜型がほとんど存在せず、西日本のCY亜型や東日本のMY亜型が日本特有タイプである。東日本と中央アメリカ大陸原住民が同じMY亜型である。弘前・秋田・仙台など北日本の住人の一部から1〜2割の割合でヨーロッパにしかみられないポリオーマ・ウイルスA型が見つかっている。現代日本人でヨーロッパ人に近い人々は、青森28%、静岡18%、沖縄5%だった。列島の北部にヨーロッパ人と近い人が多い。東北を中心に青い瞳もしくはそれに類する人が1~2割いる。東北には小さい時は瞳が青く、だんだん茶色の瞳になっていく人も結構いる。また、九州などの南方にもヘーゼル色の目の人たちがいる。日本人が持っているハプログループD、N、Rは肌が極めて白い。逆にG、H、I、Jは基本的に肌が黒い。
秋田犬や北海道犬は、同じ日本犬でありながら、柴犬や紀州犬とは血液型が違う。犬の赤血球の糖質によって、A型とG型に分けられる。柴犬(古代犬種)や甲斐犬、紀州犬などの和犬やアジアに生息する犬はA型、G型の血液を持つ。ヨーロッパではA型の血液しか持たない。同じ和犬の中でも秋田犬(古代犬種)と北海道犬は、ヨーロッパ犬と同じA型しか持たない。秋田犬と北海道犬の祖先は、アジアではなく、ヨーロッパから来たのではないか。