歴史だより

東洋と西洋の歴史についてのエッセイ

≪囲碁用語と英語~おもにYou Tubeおよびレドモンド九段の著作より≫

2024-10-20 18:00:02 | 囲碁の話
≪囲碁用語と英語~おもにYou Tubeおよびレドモンド九段の著作より≫

【はじめに】


 今回のブログでは、「囲碁用語と英語」と題して、英語の囲碁用語について考えてみたい。
 以前のブログで、マイケル・レドモンド九段の次の著作を紹介したことがあった。
〇マイケル・レドモンド『攻め・守りの基本』日本放送出版協会、2001年
 その際に、次のようなことを記した。

パリ五輪でバッハ会長は、いみじくも、次のように語り、選手たちをたたえた。 
「五輪は平和を作ることができないのは分かっている。だが、五輪は平和の文化を創り、世界をインスパイアすることができる」と。
 さて、スポーツの祭典であるオリンピックのみならず、囲碁という文化も、「平和の文化を創り、世界をインスパイアすることができる」のではないかと思っている。
 例えば、呉清源氏は、1928年、瀬越憲作氏らの尽力により、14歳で来日し、川端康成とも親交があり、『名人』の中でも、“天恵の象徴”と表現されている。そして、木谷実氏とともに、新布石時代を築いた(平本弥星『囲碁の知・入門編』30頁~31頁)。また、呉清源—林海峰—張栩という、法灯ならぬ“碁灯”を継承する(張栩『勝利は10%から積み上げる』18頁、60頁、99頁)。
 また、原爆下の対局で知られる、島根出身の岩本薫氏は、戦後、アメリカなどに囲碁の海外普及に後半生を捧げた(平本弥星『囲碁の知・入門編』36頁~38頁)。
 このように、囲碁文化の歴史は、平和および国際性と密接に関連している。

 マイケル・レドモンド氏は、奇しくも、4年後の2028年に開催されるロサンゼルスと同じ、カリフォルニア州出身のプロ棋士である(サンタバーバラ)。日本では数少ないアメリカ出身のプロ棋士である。妻は中国囲碁協会の牛嫻嫻三段、牛栄子四段は姪である。10歳の頃に物理学者の父親に教えられて、囲碁を始めたという。その後の活躍は、プロフィールにある通りである。

【マイケル・レドモンド氏のプロフィール】
・1963(昭和38)年5月生まれ。米国カリフォルニア州出身。大枝雄介九段門下。
・1977年院生。1981年入段。1985年五段。2000年九段。
・1985年留園杯優勝。1992年新人王戦準優勝。1993年棋聖戦七段戦準優勝。

 さて、このレドモンド九段の著作において、目次を見てもわかるように、
〇<コラム>世界の人と碁を打とう!(用語編)
〇<コラム>世界の人と碁を打とう!(会話編)
 そこには、英語の囲碁用語について、記してある。このことが今回のブログのテーマを考えてみるきっかけとなった。
 レドモンド九段の著作のみならず、You Tubeやネットのブログ記事などを調べてみた結果を今回、まとめてみた。

<ダメ、ダメヅマリ、カケツギの英語の囲碁用語について>
・英語の囲碁用語について調べているうちに、ダメ(駄目)の意味を考え直す機会となった。
 日常用語の駄目と違って、囲碁用語としてのダメには、呼吸点(「ウィキペディア」にも記述あり)、活路(高川秀格・名誉本因坊の説)といった意味がある。
 ダメの英訳のlibertyは、日本語の日常用語の「駄目」より、意味合いないしニュアンスとしては、呼吸点、活路に近いのではないか?
 ダメヅマリは、英語でshortage of liberties(直訳すれば、自由の不足、欠如)である。
 ダメの意味の一つが、呼吸点、活路であることを知っていれば、ダメヅマリとは、shortage of liberties(shortage=short+-age(状態))だから、次のような連想が働く。
 自由の不足➡呼吸点ないし活路の不足➡息苦しい状態、活きづらい状態
と考えれば、ある程度、しっくりと納得できるのではないか?
(これは私の“勝手読み”なので、ご注意を)



【マイケル・レドモンド『攻め・守りの基本』(日本放送出版協会)はこちらから】





マイケル・レドモンド『攻め・守りの基本』日本放送出版協会、2001年
【目次】
1章 攻めは分断から
 攻めの考え方①
 攻めの考え方②
 中央での戦い
 閉じ込める
 封鎖を避ける 
<コラム>世界の人と碁を打とう!(用語編)

2章 両ガカリ対策
 両ガカリ対策
 戦いはまず頭を出して
 閉じ込めて主導権を握る

3章 ハサミで戦おう
 積極的なハサミ
 弱点をねらう
 戦いはスピード
 全局を視野に
 ボウシの威力
 まず封鎖
 閉じ込めれば大模様Ⅰ
 閉じ込めれば大模様Ⅱ
<コラム>世界の人と碁を打とう!(会話編)
 
4章 見合いと振り替わり
 オサえる方向に注意
 カカっていこう
 小目に挑戦
 囲わせて勝つ
 切る・切られる
 見合いをみつけよう
 簡単! 高目と目外し




さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・はじめに
・英語の囲碁用語~ レドモンド『攻め・守りの基本』より
・英語の囲碁用語(レドモンド九段の解説)~Hatena Blogより
・Nihon Kiin Go Channel for overseas
・【囲碁】Techniques of Capturing Race by Tsuruyama Atsushi 8P
➡眼あり眼なし、大ナカ小ナカ、タヌキの腹つづみの問題
・【補足】タヌキの腹つづみの問題~山下敬吾『基本手筋事典』より

・You TubeチャンネルNYIG-Go~Stephanie Yin







碁は世界語


・平本弥星氏は、「碁は世界語」と題して、次のようなことを述べている。
 国や文化の違いを超えた人々の交流が爆発的に増加し、その勢いはますます加速している。碁は言語や宗教の壁を越えて、世界中に広まりつつある。

・平成12年(2000)は、次の点で、囲碁が内外メディアで話題になり注目されたという。
①学生時代に碁をよく打ったというビル・ゲイツの立教大学でのスピーチ
②米国出身の棋士マイケル・レドモンド(1963-)が九段に昇段したこと
※日本棋院には、当時3名の欧米出身現役棋士がいたという。
タラヌ・カタリン四段(ルーマニア、1973-)
ハンス・ピーチ四段(ドイツ、1968-)

・世界チャンピオンを決める個人戦は、昭和63年(1988)の第1回世界選手権戦・富士通杯が最初。
(富士通杯には、日中韓のほか、中華台北、欧州、北米、南米の代表(アマも含む)が参加)
・1992年に韓国で、1999年には中国で、世界戦が誕生。
・近年は、世界戦で韓国選手の活躍が目立ち、韓国では、4人に1人が碁に関心をもっているそうだ。
・欧州では、毎夏に数百人の選手が参加して、ヨーロッパ・ゴ・コングレスが開催され、イタリアに在住する若手女流棋士、重野由紀二段(日本棋院)は、囲碁普及に情熱を傾けている。
・日本棋院と提携のパンダネットやWWGOは日本語で対局できる。
・ゴ学は日本語と碁だけの平本氏も、ハンド・トーク(手談)しているという。
(平本弥星『囲碁の知・入門編』集英社新書、2001年、240頁)

2024年9月26日投稿後、英語入力エクセルにて

英語の囲碁用語~ レドモンド『攻め・守りの基本』より


1章 攻めは分断から
<コラム>世界の人と碁を打とう!(用語編)16頁、58頁

(マイケル・レドモンド『攻め・守りの基本』日本放送出版協会、2001年、16頁、58頁)

マイケル・レドモンド『攻め・守りの基本』日本放送出版協会、2001年
世界の人と碁を打とう!(用語編)16頁、58頁
世界の人と碁を打とう!(用語編)

手 move
アタリ atari ※チェスでの王手「check」という人も見かけるが、正しくない
一間トビ one space jump
星 Star Point
天元 Center Point ※「テンゲン」で通じることもある
小目 3-4 Point ※「Point」は星以外の隅の手の表現にも使われる
ツギ connection
連絡する connect
カタツギ solid connection
カケツギ diagonal connection ※中国由来のtiger's mouth
ケイマ knight's move ※チェスのknight(桂馬)の動きという意味
大ゲイマ large knight's move
サルスベリ monkey jump
地 territory
目(モク) point(s)
見合い interchangeable alternatives
振り替わり exchange または trade
シマリ corner enclosure
一間(二)シマリ one(two) spacecorner
enclosure
小(大)ゲイマシマリ small(large) knight's
cornerenclosure
手順 the order of moves
正しい手順 the correct order of moves
コウ ko
ヨセコウ an indirect ko
布石 Opening または Opening moves
中国流の布石 The Chinese opening
中盤 middle game
終盤 endgame
早碁 lightning Go


3章 ハサミで戦おう
<コラム>世界の人と碁を打とう!(会話編)164頁
(マイケル・レドモンド『攻め・守りの基本』日本放送出版協会、2001年、164頁)

<コラム>世界の人と碁を打とう!(会話編)164頁

碁を打ちましょう
友達に気楽に呼びかけるなら
Let's play Go!
少し丁寧で上品に誘うなら
Shall we play Go?
 
どのくらいお打ちになりますか?
How strong are you?
私は3級(段)です。
I am 3kyu(dan).
※ちなみに欧米の段級はたいへん辛いので、ご用心。
地域にもよるが、日本の段級よりも、2~3段厳しいことが多い。
 
どんな手合いですか?
What is the handicap?
互先で打ちましょうか?
Shall we play even?
 
それはいい手ですね。
That is a good move.
 
終わりですね?
Are we finished?
数えましょうか?
Shall we count?
 
【結果の確認】
黒の五目半勝ちです。
Black wins by five and a half points.
※「白」なら「white」
 
※秒読みは、second reading であるが、もっと広い意味で over time という
言葉を使うこともある。
(マイケル・レドモンド『攻め・守りの基本』日本放送出版協会、2001年、164頁)

英語の囲碁用語(レドモンド九段の解説)~Hatena Blogより


・レドモンド九段が英語の囲碁用語について、解説したブログがある。
 すなわち、
〇Hatena Blog
独男の雑記帳「囲碁英語~2023年7月碁聖戦配信から」(2023年11月17日付)
がそれである。
 その内容を紹介しながら、英語の囲碁用語について考えてみたい。合わせて、その用語を使った例文をあげておく。

・2023年7月に行われた棋戦解説で、レドモンド九段が英語の囲碁用語を紹介していたので、記録しておきたいという。
・2023年7月15日、金沢市で開催された第48期碁聖戦第2局、井山碁聖vs一力棋聖
・佐田篤史七段がYou Tube解説、そこに大盤解説のレドモンド九段が訪れた。
 対局解説と並行して、佐田七段がレドモンド九段に囲碁用語を英語でどう呼ぶかを質問して場をつないでいったそうだ。

・<英語囲碁用語集>には、次のようなものがある。
 囲碁用語英訳集――囲碁のパンダネット
 British Go Journal―Glossary Of Go Terms /Brtitish Go Association
Japanese Go Terms at Sensei’s Library

<動画の中で紹介された用語>(2:13:45あたりから、2:27:16あたりまで)
・ツケ:attachment tsukeでも大体通用する。
・ハネ:hane 適当な英語がなく、英訳されず使われた。
・ツギ:connection
・カタツギ:solid connection
・カケツギ:カケツギ(掛け継ぎ)の直訳で hanging connection。
 ※中国ではカケツギは「虎の口」と呼ばれ、最近は中国語由来の tiger’s mouthが使われてきている。
・シチョウ:ladder(はしご)
・ゲタ:net(暴れようとする石を網で捕らえるイメージ)
・両アタリ:double atari
・ヌキ:take(つまり、特別な用語というより単に石を「取る」意味)
・手筋:チェスにならって、tacticsと呼ばれることがあるが、「筋のよさ」の意味合いがtacticsでは出ず、ぴったり「手筋」の訳語になっていない。昔の強い人は日本語を使って tesujiと言ったそうだ。
・コウ:ko
・一手寄せコウ:one-step approach ko
・セキ:seki
※ネットを調べれば用語集などは見つるだろうが、ここではこの動画の中で紹介された用語ということで記録しておくという。
 レドモンド九段のわかりやすい説明と、佐田七段の素直な質問と反応がよかったと記す。



〇ダイアナ・ガーネット(Diana Garnet)さんによる囲碁の例文

・Igo is a territory game.
囲碁は陣地取りゲームです。
・Run away with kosumi or a one point jump.
 逃げるときはコスミや一間トビです。
・Approach with the Knight’s Move.
 攻めるときはケイマです。
・You capture stones by surrounding them.
 石は囲むと取れます。
・Achieve stability with a two-point jump.
 二間ビラキで安定させよう。
・Attack weak stones with a pincer move.
 弱い石はハサんで攻めよう。
・Be careful not to extend too far!
 ヒラキ過ぎには注意しよう!
・Let’s use the Cap Block.
 ボウシで封鎖しましょう。
・Use standard joseki moves.
 定石を使ってみよう。
・Analyze the strengths and weaknesses of the stones.
 石の強弱を判断しよう。
・Secure the corner for your own.
 隅で実利を確保しよう。
・The battle starts with the framework.
 模様の碁で戦います。
・Be aware of triangles in your framework.
 模様は三角形を意識しましょう。
・Restrict your opponent’s framework.
 相手の模様を制限しよう。
・Stop them from coming out into the center.
 中央へ出るのを止めよう。
・Aime for your opponent’s weak points!
 相手の弱点を狙おう!
・Be careful of how much and the direction of extensions.
 広さや向きに注意しよう。
・The shoulder hit is super effective.
 肩ツキは効果的です。
・Invade enemy territory with a shoulder hit or cap.
 肩ツキやボウシで侵入しよう。
・Drive them away with a diagonal attachment.
 コスミツケで追い出そう。
・Rebuke overreaching attacks.
 深入りをとがめる。
・Stop an escape with a cap.
 ボウシで出口を止めよう。
・Block a two space extension.
 二間ビラキを封鎖しよう。
・Look for the weakness of the Knight’s Move.
 ケイマの弱点を探そう。
・Reinforce areas with dense clusters.
 厚みを作ってみよう。
・Fuseki once you’ve played the two star points.
 二連星からの布石
・Keep your three consecutive star points alive.
 三連星を生かしましょう。

You Tubeより


Nihon Kiin Go Channel for overseas


・Nihon Kiin Go Channel for overseasは、日本棋院が海外の囲碁ファンに向けたサイトである。

This“Nihon Kiin Go Channel for
overseas”will provide mainly overseas
go players with various online contents
with regards to the Japanese Go
professionals and its Go art and culture
including the following contents;
 Pro Lectures
 Pros Free Talks
 Live pro Game Commentary

〇Nihon Kiin 100th Year Anniversary photographs
(2024/07/02)
The Nihon Kiin was founded in July
1924. This video shows that Nihon
Kiin’s path and steps and history for
its 100 years throughout the photos.

【囲碁】Techniques of Capturing Race by Tsuruyama Atsushi 8P


Techniques of Capturing Race 
by Tsuruyama Atsushi 8P
(2021/09/02)
※This video is sponsored by INAF
(Iwamoto North America Foundation for Go)
約30分弱

攻め合いの手筋を紹介
とくに眼あり眼なし、大ナカ小ナカ、狸の腹鼓について解説
19秒~3分あたり

眼あり眼なしの問題



Black to play
First, I would like to talk about
“Meari-Menashi” (“One eye”versus
“No eye” capturing race)
which is a useful knowledge and
technique of a capturing race.

The number of Black liberty is 4.
On the other hand, White has 5 liberties
and white currently looks like
an advantage in the capturing race.

If Black simply starts filling the
White liberty,
White gives Atari and captures Black.

However, actually there is a way
that Black can win this capturing race!

What is a key is to make an eye, first.
If you make an eye, White can’t fill
the inside common (shared) liberty
(17-3 point).

Because if White at 6 tries filling the
liberty, white obviously gets captured.

Therefore, White can’t fill the inside liberty…
On the other hand, Black can fill
the inside liberty to capture
the white stones.
In this position,
after the move 5, White actually
has already been captured
and wins this capturing race!

Why it happened?
If Black makes an eye, the inside
common (shared) liberty goes to
and is added to Black’s liberties
so in the end White needs to fill up
all inside common liberties,
which is really not favorable for
White in the capturing race.

Like this, if you make an eye in the
capturing race,
you can have a clear advantage
over your opponent who has no eye
because your opponent has to fill
the inside liberty and you have a chance
to win a capturing race.
This is the useful technique (theory)
of “Meari-Menashi” which you should
remember!

<ポイント>
・眼あり眼なしの攻め合いの場合、眼のある石のほうが攻め合いはひじょうに有利であるが、かならずしも勝てるとはかぎらない。ダメの数、すなわち活路の多少によって負けるときもある、ということ。
(高川秀格『碁の学び方』金園社、1985年、120頁)

大ナカ小ナカについて 13:17~15:44あたり
【囲碁】
Techniques of Capturing Race 
by Tsuruyama Atsushi 8P
(2021/09/02)

大ナカ小ナカの問題



 The next topic is Ohnaka-Konaka
(i.e. Big Eye vs Smaller Eye)

This is also a useful technique
to win a capturing race.

In Ohnaka-Konaka,
both group have one eye.

White has only one point eye
and Black has also an eye
but it’s 4 point (space) eye shape
which means bigger Nakade.

Ohnaka-Konaka means a bigger Nakade
has an advantage in the capturing race.

Let’s see if it is true.

Let me fill the liberties…

I’d like to tell you an important point here.
Black can capture the white stones
but if you immediately capture them, …
It becomes Seki.

Let me go back.
In last variation, I showed you
Black captured the white three stones
but it is important not to capture them
immediately.

Instead of capturing three stones, Black
should fill the outside white liberty, first.

And if you do, White can’t win the race.
If White does Tenuki (i.e. play away),
Black also can Tenuki.

This is because White can’t fill
the inside common liberty.

If White fills up the liberty, Black just
fills the outside White liberty and
White can’t do anything and the White
has already been captured.

In the Ohnaka-Konaka sitiuation[sic],
Black can fill the inside common
liberty to win the race.

I’d also like to tell you the point of
Ohnaka-Konaka.
Only if there is a common (shared)
liberty, you can use this technique
of Ohnaka-Konaka.
Like the same manner of Meari-Menashi,
without an inside common liberty,
it means nothing.

Please remember this important point.

15:38
まとめとして、26分~28分あたりで、
In this video, I talked about the
Meari-Menashi (One eye vs No eye) and
Ohnaka-Konaka (Big eye vs Smaller eye).

If you have an eye and your opponent has
no eye with more inside shared liberties or
if you have a bigger eye with more inside
shared liberties, you have a clear advantage
of winning a capturing race.

The most important point on both
Meari-Menashi and Ohnaka-Konaka is to
have inside shared liberty.
Please remember this key point.

I hope you can master and use
the techniques that I taught
in your actual game.

See you next time!

Nihon Kiin Go Channel for overseas
Sponsored by
Iwamoto North America Foundation for Go
Produced by
Nihon Kiin
Cooperated by
American Go Association

22分 タヌキの腹つづみ Tanukino Harazutumi[sic]:Belly Drum Tesuji
恩田烈彦九段も、腹ヅツミ
山下、手筋、182頁
藤沢、手筋下、第2部セメアイの手筋「手を縮める手筋」ナラビ、150頁

タヌキの腹つづみの問題



Tanukino Harazutumi[sic]:Belly Drum Tesuji

Let’s move on to the next problem!

It looks like Black can win if Black blocks.
However, if White make another Hane,
White can win this capturing race
because it is not 2 liberties but 3.

Let me fill the liberties to check
if White can win.

This shape of both side Hanes (right and left)
increases one liberty of White so it becomes
three from two liberties for White.
That’s how White can win it.

But, Black could find a brilliant move.
In this case, the 14-1 is the vital point.

If White connects, Black blocks and
White Hanes.

Black can give Atari and then
Black is able to win this capturing race.

However, you should be careful with
the White another Hane move.

If Black blocks immediately,
in the end black is captured and
can’t win the race.

In this case, another placement of
the move 3 (15-1) is the Tesuji which is
hardly noticeable.


If White connects, Black blocks at 5 and
just fill the white liberties step by step.

And Black is able to win.

Even if White fills the outside Black liberty,
Black captures the White stones.

Only if Black plays the 1st line placements
against each White Hanes, Black is able to
win this capturing race.

This Tesuji move is named as
“Tanuki-no-Harazutsumi”[sic] in Japanese.

If you have not seen it, you may hardly
find and play this Tesuji.

In one of my games, I actually forget
this Tesuji move and my opponent played
it and lost the game.

So I would highly recommend
you remember this Tesuji.

25:20

【補足】タヌキの腹つづみの問題~山下敬吾『基本手筋事典』より


・タヌキの腹つづみの問題は、次の『基本手筋事典』にも解説がある。
①藤沢秀行『基本手筋事典 下巻』第2部セメアイの手筋「手を縮める手筋」ナラビ、150頁
②山下敬吾『基本手筋事典』182頁
ここでは、山下敬吾『基本手筋事典』にあるタヌキの腹つづみの問題を紹介しておこう。

手数を縮める:第15型


【第15型】(黒番)
・黒は三手ではっきりしているが、白の方は何手なのか、わかりにくい。
・とにかく三手以内で、取る工夫をしなければならない。

【1図】(失敗)
・黒1のオサエは白2のハネが利くと、手数が一手延びる。
・格言の「両バネ一手延び」のとおり、三手になり、白4とダメをつめられて、黒の一手負けになる。
※黒1ではもう少し踏み込みがほしいところ。

【2図】(失敗)
・黒1のアテから白2のツギに、黒3と二段バネする手がある。
・白は4と切るしかなく、黒5と弾けばコウになる。
※しかし、無条件で取る手があるのだから、コウでは失敗。
※なお黒1ではaでもコウ。

【3図】(正解)
・黒1のオキが手数を縮める手筋である。
・白2のハネには黒3のナラビが関連する手筋で、白はどうしても手が延びない。
➡黒一手勝ち。
※この黒1、3は「タヌキの腹つづみ」と呼ばれる手筋である。

(山下敬吾『新版 基本手筋事典』日本棋院、2011年、182頁)

You TubeチャンネルNYIG-Go~Stephanie Yin


Stephanie Yin

You Tubeチャンネル
NYIG-Go
Introduction to Go ―Rules Part 2
(2019/10/19)(約7分)

Stephanie Yin brings you part 2 of the
essential rules of go during the game,
including the objective, liberty, and
atari and capture.

3分~5分あたり
LIBERTY: AN EMPTY POINT ADJACENT TO
A SINGLE STONE OR A GROUP OF STONES

5分~7分あたり
ATARI: A STONE OR A GROUP OF STONES
THAT ONLY HAS ONE LIBERTY

ダメ:liberty
ダメヅマリ:shortage of liberties

Takemiya video :Best Selection of
Cosmic (v.s. Cho Chikun 9p)
(2022/11/25)



Takemiya vs Cho Chikun, 1988

Takemiya 9p gives you commentary of his game
which was played in 1988 with Cho Chikun,
Judan title holders (as of 1988).
It’s one of the best of three games to decide
the challenger of the 13th Kisei title match.

You played Sanrensei (3 star-points)!
Intentionally, I played it.
So in the game, Black played Kakari to the bottom right corner.
Then, White played Kakari to the upper right corner.
It’s one of most popular joseki.(※右上隅のツケヒキ定石)
In stead of Sanrensei, playing Kakari to the upper right
corner is more common opening.
At that time, in my feeling, this exchange would be
slightly better for White.
If White played Kakari to the upper right instead of Sanrensei,
Black would play in bottom side.
At that time, I thought this exchange was slightly profitable for White.
Of course, it has an advantage and disadvantage, though.
Then, Black played 3-3.
Here, White has two options.
In this situation, this direction must be correct, because …

白の三連星(白6で三連星)

白の宇宙流(白68まで)

藤沢秀行先生のコメント(黒37について)8:42~9:20
This variation was one of examples from the commentary
of Fujisawa Shuko (Honorary Kisei).
He commented it should be better for black to play like this.
I agree that it’s also playable.
(武宮正樹九段もこれも一局という。)

中央に白の模様
≪棋譜≫ 白86まで(18:03)


Now looks like White gets huge center moyo which becomes territory
while Black gets territory in corners and sides.
After that, complicated end game would start soon…
I believe you were satisfied with this cosmic game?
Yes, I was quite happy with it.

Simple Baduk, Sensei Slaying! Kitani Minoru Massacres Go Seigen’s Dragon!


〇Simple Baduk
Sensei Slaying! Kitani Minoru
Massacres Go Seigen’s Dragon!
(2023/09/08)
・木谷実vs呉清源の棋譜を、Simple BadukさんがYou Tubeで英語で解説している。

【英文内容の補足】
※木谷実(1909-1975)
・鈴木為次郎に入門。大正13年(1924)入段。
 昭和8年(1933)呉清源とともに「新布石」を打ち始める。
 最高位2期(1957、58)ほか。本因坊に3度挑戦し敗れる。
弟子を多数育成。木谷一門の総段位は500段位を超える。
・現代の布石は星に打つ碁が多いが、江戸時代から昭和初期までの布石は、小目が主であった。その固定観念を打破したのが、木谷実と呉清源であった。
 新布石は一世を風靡し、『新布石』(1934年)がベストセラーになった。
(平本弥星『囲碁の知・入門編』集英社新書、2001年、27頁、30頁~31頁)

This is a Kifu-Spread of a go game
between Minoru Kitani and Seigen Go.

Go Seigen and his best friend Kitani
Minoru revolutionized Go in the 1930s
by pioneering the radical “Shin Fuseki”
together. Their daring new fuseki
theories upened tradition with
provocative openings.

Despite their contrasting legacies,
with Kitani as a master teacher and
Go as an innovator, the two shared a
bond. When Go faced controversies
and nationalism in Japan, Kitani
supported him.

While Kitani nurtured individual talents
through teaching, Go Seigen’s
groundbreaking innovations
fundamentally transformed modern
Go globally. Together, the two friends
and rivals left enduring marks on Go’s
future.

≪棋譜≫黒147手まで

〇Simple Baduk Takemiya’s CRAZY Generosity


〇Simple Baduk
Takemiya’s CRAZY Generosity
Backfires! Gives All Territories,
Annihilates Iwata With “Cosmic
Style”
(2023/09/30) 約13分

・武宮正樹vs岩田達明の棋譜を、Simple BadukさんがYou Tubeで英語で解説している。

Takemiya Masaki vs. Iwata Tatsuaki –
Go legends face off in an unbelievable
match. Takemiya shockingly gives
Iwata every territory, but still crushes
him with signature “Cosmic Style”. See
how Takemiya’s insane generosity
backfires as he annihilates his
opponent. Masterful Go moves let
Takemiya effortlessly outplay Iwata
despite gifting him huge areas of the
board. An unforgettable match that
shows why Takemiya is considered a
genius of the “Cosmic Style”. Don’t
miss this jaw-dropping Go match
between two Hall of Fame players at
the top of their game. Epic creativity,
strategy, and generosity are on full
display.

<注意>
(cf.)
3分、4分、5分、8分 tiger’s mouth=カケツギ

とくに9分あたり “Cosmic Style”.
左上 コウ 10~11分 settle Ko fights
岩田達明
≪棋譜≫黒129手まで

【補足】モンキージャンプについて


・モンキージャンプとは、用語欄にもあったように、ヨセのサルスベリのことである。
 この英語のことに言及した本としては、次のものがある。
〇久保秀行『新・早わかり ヨセ小事典』日本棋院、1999年[2015年版]

・また、英語のYou Tubeサイトとしては、次のものが有用であろう。
〇Go Magic,
The Monkey Jump: Endgame Technique, 2023-12-29. (約13分)
※興味のある方は、ご覧いただきたい。

〇久保秀行『新・早わかり ヨセ小事典』日本棋院、1999年[2015年版]の問題を紹介しておく。
<第3章 ●ヨセの基本的手筋>
【第53型】損なく、味良く
●サルスベリ(1)
・「百日紅」と書くサルスベリは、碁では一線の大ゲイマスベリのこと。
・その止め方は形によって変化。
【参考図】
・黒1では止まらず損。
【1図】(正解手筋その1)
・黒1のコスミツケは最も簡明な手筋。
・白2の戻りに黒3のオサエ以下、黒7までが双方の正しい応酬。
【2図】(正解手筋その2)
・黒1もお勧めの捨て石手筋。
・白2以下、黒9までの進行は、1図と損得なし。
※又黒1で3から打っても同じ。
※白6で7と打てば、数目の得であるが後手。
【3図】(弱気)
・黒1は良く見かける応手であるが、弱気。
・白2と進まれ、正解より悪い結果に。
・ただ、黒9の手抜きの可能性あり、白2は保留。
(久保秀行『新・早わかり ヨセ小事典』日本棋院、1999年[2015年版]、203頁~204頁)

<第3章 ●ヨセの基本的手筋>
【第54型】捨て石一子で
●サルスベリ(2)
・英語でモンキージャンプと呼ぶこの形、なるほど猿もすべる?
・前型とは配石に違いあり。

【参考図】
・前型正解に似た黒1は損。
【1図】(正解手筋その1)
・止め方は3通りあるが、お勧めは黒1のコスミ。
・白2に黒3の捨て石のオサエが連係の手筋で、黒9まで味良く止めることができる。
【2図】(正解手筋その2)
・黒1でも、1図と同理の手筋。
・ただ、白2で隅に化けられるような配石の場合も考えられ、1図の方が心配なし。
【3図】(要注意)
・黒1でも条件が良ければ、前2図と同じ結果になるが、場合によっては、白2以下と変化され、大事件に発展する可能性もあり、要注意。
(久保秀行『新・早わかり ヨセ小事典』日本棋院、1999年[2015年版]、205頁~206頁)
 
【補足】英訳囲碁用語について、次のブログが参考となる。
〇いごすけや(囲碁インストラクターの佐藤洋佑氏)
「【囲碁を英語で言うと?】実戦で役立つ英訳囲碁用語も紹介!」(2024年)
・「英語圏に囲碁を広めよう」と思った日本棋院が、代表的な囲碁用語を英語にしたという。
・囲碁普及に熱心に活動なさっている白江治彦(しらえはるひこ)先生などが中心になって、英訳を決めていったようだ。
例えば、布石は「Opening」、ゲタは「Net」、欠け眼は「False eye」(偽物の眼)、
 観音開きは「Butterfly formation」、サルスベリは「Monkey jump」

〇このサルスベリについて、いごすけや(佐藤洋佑氏)は次のような興味深いことを記している。
・サル「スベリ」なのに、「slide」ではなく「jump」だそうです。
 理由は分かりませんと、いごすけやさんはいう。
・そもそも、囲碁のサルスベリはサルが滑っているのではなく、「百日紅(サルスベリ)の木」からきています。
(ただ、百日紅は、樹木がツルツルでサルも滑り落ちることから「サルスベリ」と言われているので同じことかもしれません)
・一線に大ゲイマにスベった形が、百日紅の木の形に似ているような気がすることから、サルスベリとなったらしいです。
(百日紅の木は曲がって成長していく傾向がある)と、いごすけやさんはコメントしている。
・また、犬の顔は「Face of dog」!?
 「犬の顔」とは、一間トビにケイマでトライアングルを作っている形、つながりの良い好形のことをさす。
➡「犬の顔」には英訳が無いようだという。全部の囲碁用語を英語にしたわけではなく、特に代表的なものだけを英訳したようだ。
 ということで、「犬の顔」は普通に「Face of dog」でしょうかという。
(そもそも「犬の顔」は正式な囲碁用語なのでしょうかと、コメントしている)

☆そのほか、次のようなYou Tubeなどを参考のこと。
〇三村囲碁ちゃんねる(三村智保九段)
「囲碁用語マスター Lv4「イヌの顔」」(2019年12月9日付)
※4つの動物の顔 ネコの顔、イヌの顔、ウマの顔、キリンの顔について説明
〇ネット藤澤塾
「【囲碁講座#36】動物手筋[竹下凌矢初段]」(2021年5月15日付)
※馬の顔、亀の甲、鶴の巣ごもり、イタチの腹ヅケ、狸の腹鼓などを解説。

【補足】駄目(ダメ)について


【補足】駄目(ダメ)について
①日刊新周南のコラム・エッセイ:小野慎吾「囲碁由来の用語①」(2021年03月10日付)
②いごまとめ「囲碁用語 駄目(だめ)」(2017年02月25日付)
③Amebaブログ:政光順二「ダメ(駄目)の意味・用法」(2009年10月20日付)

①「日刊新周南」のコラム・エッセイの小野慎吾「囲碁由来の用語①」にて、駄目(ダメ)について、次のように述べている。
・実は囲碁から来ている日常用語が多くある。
 日常でも頻繁によく聞く「駄目(ダメ)」は囲碁から来ている。
・囲碁は黒石、白石を交互に打ち、「陣地」を作っていき、どちらがより多く「陣地」を作れるかで、勝敗が決まるゲームである。
・「駄目(ダメ)」の意味は、石を打っても陣地が増えない地点を言う。
➡日常用語としては、「効果がない・役に立たない」といった意味である。

②いごまとめ(初段を目指す人向けの囲碁サイト)
・囲碁用語の駄目(だめ)について、次のようにまとめている。
〇駄目の意味:その1
・まず、「手数」と似たような意味で使われる。
 例えば、図で黒2子は白に囲まれていて、あと少しでとられる。
 この状況は「駄目が2つ空いている」とか「黒を殺すまでの手数は2つ」のように表現される。
 
〇駄目の意味:その24
・次に、盤面上どちらの陣地にもならない箇所という意味もある。
・双方に利益がない地点なので対局中は打たないが、終局を確認しあってから、互いに「駄目をつめる」という作業が行われる。
・例えば、図。
 このような形で終局をむかえたが、(7, 六)G4の地点は白黒どちらの陣地にもならなかった地点。
 ➡これを「駄目」という。

〇駄目の元々の意味
・「駄目」は本来「役に立たない」というような意味。
 役に立たない➡価値がない➡無意味なこと➡してはいけない、だめだ
※結局、禁止の意味で広く一般的に使われるようになったと考えられる。
 
③Amebaブログ:政光順二「ダメ(駄目)の意味・用法」
・囲碁におけるダメについて、次のような意味・用法があるという。
〇石の呼吸点
・英語では、liberty
 黒4子のダメは×の9個
 
〇黒も白も地にならない地点
 英語では、neutral point

〇ほとんど価値のない地点
・下図のような局面で×あたりに打つと、「ダメを打ちましたね」と言われます。
 
・これは、前図のダメの親戚ですね。
・英語だと、point(地点)やmove(着手)の前に、useless とかinvalidとかineffectiveとか付けるんですかね?

と、いくつかの意味、使い方があります。
「ダメをつめちゃダメ」ですが、英語混じりにすると、「libertyをつめるのはbad」ですね。
・囲碁用語としてのダメには直接badという意味はなく、「無価値」➡「悪い」という転用でしょうね。
(そんなことをしてもダメ➡そんなことをしたらダメ)

高川秀格・名誉本因坊の説明~ダメ=活路


〇石の取り方と逃げ方
・碁は、対局者(白と黒)は盤上のいかなる点へ着手してもよいが、活路のない点へ打つことはできない。
 しかし相手の石を打ちあげるときは、活路のない点へ打つことができる。
 これが碁のルールの根本原則。
・活路とは石の隣接点のことである。
 これは石の上下左右、たてとよこ、の点であって、ななめの点は関係ない。
 このことは、とくに注意を要する。

【1図】

・たてよこの方向に対して生命力を持っていると見てよいだろう。
 この生命力は、味方の石と接触すれば同化してひとつの石になる。これが石の成長である。
 しかし、この生命力が敵に全部奪われたとき、石は死ぬ。
 そして盤上からただちに取りのぞかれてしまう。
・碁盤のいちばん隅と、いちばん端と、それ以外の点にある石の活路はどうだろうか。
 隅の石の活路は2個、盤端は3個、それ以外はどの点にあっても活路は4個である。
 活路の多い石ほど強く、活路の少ない石ほど弱い。
・【1図】で見たように、一子の石の活路は4個である。
 活路が4個あるということは、一子の石を取るのに4手かかる、4個の石が必要だということである。
 
〇ダメとは活路のこと
【13図】
・白が黒の外側の活路を奪う(このことを白が周りを囲む、または外側のダメを詰める、ともいう。ダメとは活路のことである)と、次に白aと打って黒三子を取れる。
(高川秀格『碁の学び方』金園社、1985年、42頁~43頁、67頁)

〇攻め合い セキ
・「攻め合い」とは、生きていない石同士が取るか取られるか戦うことである。
・いままでの例から見ると、手数の多いほうが勝ち、手数の少ないほうが負ける、手数が同じなら、さきに打ったほうが勝つ、という結論がでた。
・もちろん、これはほんとうの手数のことをいっている。
【35図】
・この白も黒も、手数はともに四手であるから、この攻め合いは先着したほうが勝ち。
【36図】
〇このような形を考えてみよう。
※外がわの白と黒はべつにして、内がわの白と黒はどちらも生きていない石同士で、どちらも外がわの味方に連絡できない。
・これは明らかに、白五子と黒五子が攻め合っている状態。
【37図】

・この白と黒は手数はどちらも六手で同じだから、いままでの例から想像すれば、さきに打ったほうが勝つはず。
・そこで、まず黒1から打ってダメを詰めて行く。
・白も2とダメを詰める。
・黒3白4、黒5白6、黒7白8と、ここまでダメを詰め合って、さてこのあとはどうなるのか。
【38図】
・この形は、白も黒もどちらもダメは二つしかない。
・白も黒も活路は二個。
※しかし、いままでの例と違うところは、どちらも二つのダメを共有していること。
※白の二つのダメは同時に黒の二つの活路であり、
 黒の二つのダメは同時に白の二つの活路である。
・こういう場合、どちらも手を出しにくい。
 手を出したほうが、ひどいめにあうからである。
・黒が一つ白のダメを詰めることは、同時に自分のダメを詰めて、アタリにすることになる。白のがわも、同じ。
・どちらも相手を取りにいけない。どちらも取られる心配はない。
➡この状態が「セキ」である。

〇囲碁規約はセキを次のように規定している。
第三十二条 対局者双方の一連の石がともに眼がなく、又は眼一個であって双方いずれから着手しても、相手方の石を取り上げることができない形となっているものを「セキ」という。
2 「セキ」となっている石は、双方とも活とみなす。
【41図】
・これは白黒ともに眼が一個あるが、どちらからも手が出せない状態。
・aの点が白と黒の共有の活路で、この点へ打てば、打ったほうが相手に打ちあげられてしまう。
・この白と黒は終局のとき双方生きている石と見なされるが、このセキの眼は、どちらも地としては認められない。
・白も黒も地としてはゼロ、一目の地ではない。
(高川秀格『碁の学び方』金園社、1985年、111頁~114頁)