(2022年6月24日投稿)
【はじめに】
今回は、英文解釈に関する参考書を紹介してみたい。
やはり、英語の勉強法で一番の悩みは、英文解釈の仕方がわからないということではないだろうか。
次の参考書を参照しながら、英文解釈について考えてみたい。
〇桑原信淑/杉野隆『基礎英文解釈の技術100』桐原書店、2008年[1994年初版]
【桑原信淑/杉野隆『基礎英文解釈の技術100』(桐原書店)はこちらから】
桑原信淑/杉野隆『基礎英文解釈の技術100』(桐原書店)
〇桑原信淑/杉野隆『基礎英文解釈の技術100』(桐原書店、2008年)の目次は次のようになっている。
【もくじ】
はじめに
本書の構成と利用法
日常のおすすめ勉強法 英文解釈の勉強はこうする!
学習の基礎知識
学習の基礎知識プラス
■SとVを発見する技術
1 文の骨格SVを時制でキャッチ!
2 前置詞句は( )に入れて意味を取れ
■文の主要素をつかむ技術
3 動詞を見たら自・他の区別をつける
4 be動詞の後の名詞・形容詞は補語
5 for/asの後ろのSVが決め手
6 OとCにあるSP関係
7 <V it C to V>のとらえ方
8 <not ~but...>を見落とすな!
9 相関表現をマークして文の骨格をつかめ
10 従属節は [ ]に入れて構造をつかめ
11 動詞の後の thatは名詞節の目印
12 他動詞の後の [S+V+X]は目的語
13 疑問詞は名詞節発見の決め手
14 補語になる名詞節のつかみ方
15 前置詞の目的語になる節をキャッチ
16 <前置詞+名詞>の修飾先を探せ!
17 代動詞 doの正体を突き止めよう
18 <否定語+as節>の訳し方
19 過去完了を見たら「基準となる時」を探せ
20 代不定詞 toに隠れた原形を突き止めよう
■関係詞節の把握
21 関係詞の支配範囲は離れたVをマーク
22 which, that は後がVなら主格と決める
23 which, that は直後がSVなら目的格
24 先行詞の直前の that, thoseは和訳不要
25 隠れた関係代名詞の見つけ方
26 関係代名詞の前の前置詞はパートナーを探せ
27 前置詞を見たらその目的語を探せ
28 隠れた関係代名詞が演じる補語の役
29 副詞の働きをする関係詞をキャッチ
30 関係副詞が隠れた<the way SV>を見落とすな
31 代入法で離れた先行詞を追え
32 what 節を [ ]に入れてSVOCを確定
33 <what S be>は「(いついつの)S」と訳す
■共通関係の把握
34 共通関係<A and B>はBからキャッチ!
35 Vを共有するSやOを探せ!
36 Vがつながる共通関係を見抜け
37 前置詞句がつながる共通関係を見抜け
38 名詞をつないだ X(A+B) Y型を見逃すな
39 前置詞が共通語となる共通関係の発見
40 副詞をつなぐ共通関係を見落とすな
41 節をつなぐand, but, or
■省略の見抜き方
42 助動詞の後の隠れた動詞をキャッチせよ
43 副詞節で省略する<S + be動詞>
44 and/butの後ろの構造が不明なら前を見て比較
45 「否定語は省略されない」の原則に注目
■埋没 SPの発見
46 <There is S + P>は<S is P>
47 <名詞+ that節>、格なしthatなら同格節
48 < It+ V ~>ときたら中身がくるぞ!
49 補語がない< It+ V + that>に注意
50 < It is + 副詞(句/節)+ that ...>か、thatの後にS/Oなしは強調構文
51 強調構文の疑問形を見抜け!
■副詞的 so thatの把握
52 < so ~ that ...>のいろいろな訳し方
53 that 節から訳すべき< so ~ that ...>
54 意味の上では< so ~ that ...>=< such ~ that ...>
55 that や助動詞のない目的の< so that節>
■準動詞のSP関係の把握
56 形容詞的<to V>は名詞に後置
57 形容詞的<to V>「~すべき」がダメなら「~という」
58 < be+ to V >=< 助動詞+ V >ととらえる
59 < too ~ to V >の構造をつかめ
60 < enough + to V >の構造をつかめ
61 < for O to V >のSP関係をつかめ
62 文頭の to V はまず「目的」と考える
63 文頭の to V は「目的」でなければ「条件」
64 現在分詞は「形容詞」役の -ing形
65 動名詞の意味上の主語をつかめ
66 名詞の後の -ed形は過去か過去分詞か
67 分詞構文は「副詞」の役割
68 beingの隠れた分詞構文
■with構文の把握
69 < with OP >にSP関係をつかめ
■名詞・名詞構文の把握
70 < of + 抽象名詞 >は形容詞に換えられる
71 同格 of は「すなわち」・後ろから訳して「という」
72 < 名詞+of + 名詞 >のPS/VO関係をつかめ
■仮定法の把握
73 仮定法は「事実」と「時」をキャッチせよ!
74 < were to >は「ありそう」から「まずない」まで
75 < as if >は「~ならば…のように」が元の意味
76 < If ~>に代わる条件は不定詞・名詞をマーク
77 条件は副詞句をマークせよ!
■比較表現の把握
78 比較級/< as + 原級>は「比べる相手」をチェック
79 名詞をゼロにする< no +比較級 >→最上級
80 関係代名詞に変身した as /thanをキャッチ
81 no bigger than =as small as
82 「鯨の公式」は「馬は魚だ」との比較
83 < the +比較級、the +比較級>の the は副詞
■複雑な修飾関係の把握
84 関係詞節に潜るSVを< >で囲んで文型キャッチ
85 先行詞が二重に修飾される構文をキャッチ
■否定構文の把握
86 no の否定の仕方をつかめ
87 < 否定語+100%>の部分否定を見逃すな
88 二重否定 (-)×(-)=(+)
■倒置構文の把握
89 否定の副詞が文頭にきたら語順をマーク
90 文頭の< Not only >は倒置の仕掛け人
91 文頭の< Only+副詞(句/節) >も倒置の目印
92 副詞(句)が強調された倒置をキャッチ
93 as/thanの後の倒置を見抜け
94 < so V S >は「~もまた…である」
■挿入構文の把握
95 挿入 SVは文頭に置いて主節に仕立てよ
96 カンマにはさまれた挿入 if~の訳し方
■そのほかの重要表現
97 主節の内容を指す関係代名詞 as 節に注目
98 名詞の後にくる as 節は名詞を制限
99 <or>の訳し方に注意!
100 <文修飾の副詞+ SV>は「~なことに」
■復習トレーニング
さくいん
さて、今回の執筆項目は次のようになる。
・はじめに
・日常のおすすめ勉強法 英文解釈の勉強はこうする!
・6課 OとCにあるSP関係
・32課 what 節を [ ]に入れてSVOCを確定
日常のおすすめ勉強法 英文解釈の勉強はこうする!
「日常のおすすめ勉強法 英文解釈の勉強はこうする!」において、著者は、おすすめの英文解釈の勉強法について、述べている。
まず、おすすめできない勉強の仕方について、次の点を列挙している。
・英文を見ると未知の単語に眼がいって、すぐに辞書を引く
・本文全体に眼を通さずに、授業に臨む
・わからない単語の訳を本文と無関係に辞書から書き抜いて、本文を読み出す
・テキストに日本語を書き込む
どんな英文でも、まずは自力で解読して、辞書は予習のまとめの段階で引くように努力すると力がつくという。
そして、効果的な予習・復習の手順を挙げている。
①新しい課を2回ぐらい通読し、大体の内容を把握する
(速読力がつく。とくに、名詞・動詞・否定語をマークせよ)
②1頁ぐらいずつ、音読を2~3回する
(CDなどの音声教材を利用すると効果的)
③段落ごとの大意を大雑把に頭の中でまとめる
④各文の構造をSV…を中心に品詞を考えながら分析する
⑤ and /but/orに着目し、頻繁に使われる「共通関係」「共通構文」を意識して語・句・節どうしの関係を立体的にとらえる
⑥節や句を単位に語順にそった理解を心がける
⑦未知の単語や熟語も、最初は自力で文の流れ(文脈)から判読する
⑧辞書を使って未知の部分を確認する
(発音、品詞、訳語、できれば例文も)
⑨ノート左頁に英文・文構造を書き、和訳は右頁に書いて授業中に添削する
(左頁下に単語・熟語・構文・例文・語法などを整理する)
⑩復習として、全文暗記を目指してひたすら音読する
(また和訳を見て英語を書いてみる)
(桑原信淑/杉野隆『基礎英文解釈の技術100』桐原書店、2008年、xi頁)
とりわけ、従来から言われているように、「⑥節や句を単位に語順にそった理解を心がける」は、日頃から意識して、英文解釈してほしいと思う。
本書では、基礎英文解釈の技術が100にわたって解説してある。
ここでは、そのうち、次の2課を紹介しておきたい。
〇6課 OとCにあるSP関係
〇32課 what 節を [ ]に入れてSVOCを確定
6課 OとCにあるSP関係
「6課 OとCにあるSP関係」には、次のような英文解釈を解説している。
次の英文の下線部を訳しなさい
A temple like that of Olympia was surrounded by statues of
victorious athletes dedicated to the gods. To us this may seem a
strange custom for, however popular our champions may be, we do
not expect them to have their portraits made and presented to
a church in thanksgiving for a victory achieved in the latest match.
(東京都立大)
≪語句≫
・statue (名)像
・victorious (形)勝利を得た
・athlete (名)競技者
・dedicate (Vt)を捧げる
・in thanksgiving for N 「Nに感謝して」
・achieve (Vt)を達成する /achieved (過去分詞)達成された
・latest (形)最近の
≪全文訳≫
オリンピアの(寺院の)ような寺院は神々に捧げられた勝利を得た競技
者の像に囲まれていた。私たちにとってこのことは奇妙な慣習に思えるかもし
れない。というのは、現代の優勝者がどんなに人気があったとしても、私たち
は彼らがごく最近の試合で勝利を達成したことに感謝して肖像画を作ってもら
い、教会に献じてもらうのを期待したりしないからである。
≪解法≫
〇SVCの文型を作っている補語(C)は、文の主語を説明する役割をする
(⇒特に「主格補語」ということがある)
〇これに対して、
SV+OX. O is X
のように、<SVOX>の型の文からOXを抜き出して、Oを主格に変えて、<O is X>が文として成立するとき(Xが不定詞なら時制を持たせて文が成立するとき)、Xを「Oに対するC=目的格補語」と呼ぶ。
⇒このように、OとCの間に意味上S(主語)とP(述語)の関係があることを念頭におき、解釈するのが、この課で学ぶ技術である。
〇第1文は、まずA temple was surrounded.
「1つの寺院が囲まれていた」が骨格になる。
・that はthe temple の繰り返しを避けた代名詞
・dedicatedはstatuesを修飾する過去分詞
〇第2文のfor
・カンマにはさまれた譲歩を示す however~beを[ ]でくくると、
for we do not expectとforの後にSVが続くから、forは接続詞
・this は第1文の内容を受けていることがわかる。
(To us)this may seem a strange custom
S Vi C
for, [ however popular our champions may be ],
(等) (副)譲歩 C S Vi
we do not expect them (to have their portraits
S Vt(否) O C (O)
made and presented to a church~)
(C①) (C②) M
〇ここでのポイント
・expectのOであるthemとto haveの間にSとPの関係が、
またhave のOであるportraitsと過去分詞made とpresentedの間にも、やはりSとPの関係があることを見抜くこと。
⇒わかりやすくするために不定詞を現在時制にして説明すると、以下のようになる。
expect them to have their portraits made and presented
O X O (X①) (X②)
They have/Their portraits are made and presented
S V S 助 過分① 過分②
※このように、Oを中心に意味を考えたときに、
Oと意味上のSとPの関係を持つ語・句・節(X)をOに対するCと考えてよい。
・なお、<have+O+過去分詞>は、「Oを~させる[してもらう]」という意味の重要構文。
(桑原信淑/杉野隆『基礎英文解釈の技術100』桐原書店、2008年、12頁~13頁)
32課 what 節を [ ]に入れてSVOCを確定
「32課 what 節を [ ]に入れてSVOCを確定」には、次のような英文解釈を解説している。
次の英文の下線部を訳しなさい
The prosecuting counsel began by telling the court what he
intended to prove by evidence. Then he called his witnesses.
These persons can say what they know only in answer to
questions, so the examination of witnesses is very important.
(関西大)
≪語句≫
・the prosecuting counsel (名)原告側代理人、検事
・begin by Ving 「Vすることから始める、始めにVする」
・the court (名)裁判官
・evidence (名)証拠
・witnesses (名)証人
・examination (名)尋問
≪全文訳≫
検事は裁判官にまず証拠によって立証しようとすることを告げた。そ
れから検察側の証人の出廷を求めた。(証人となった)この人たちは、ただ尋問
に答えることでしか、自分たちが知っていることを証言できない。したがって、
証人尋問はきわめて重要なのである。
≪解法≫
〇関係代名詞、関係副詞には先行詞があった。
この課には、「先行詞を内蔵した」whatが登場する。
⇒内蔵された先行詞が「事物」なら、what=the thing(s) whichと言い換えられる。
「(~な)こと」と訳す。
〇では、第1文。
・counsel「代理人」など法律用語が出てくる。
裁判を傍聴したつもりになって、読み下していくこと。
・The prosecuting counsel began (by telling the court )
S Vi M→(動名)(Vt)(O1)
[ what he intended (to prove (by evidence))].
(O2)→(関代)(O) S Vt O→(不)(Vt) M
⇒what節を[ ]でくくると、what節は動名詞tellingのOになっている名詞節であることがわかる。
・では節内はどうか。
[ what he intended (to prove ~)](what はproveのO)
(O) S Vt O(Vt)
となる。
what はthe thing(s) which「~なこと」である。
このように、節内の文型を考えると、文意がはっきりする。
〇第3文にも、関係代名詞whatが登場する。
このwhat節は can sayのOになる名詞節であるが、whatの支配範囲はどこまでだろうか。
・ These persons can say
S Vt
[ what they know ]
O→(関代)O S Vt
only (in answer)(to questions),
(副) (M) (M)
このwhatは節内でknowのOとして用いられている。
またknowとin answer~はつながるだろうか。
⇒「~に答えて知る」は非論理的である。
in answerはknowを修飾していないから、what節はknowまでである。
in answerが修飾するのはsayである。
・so the examination (of witnesses)
(等) S (目的)M
is very important.
Vi (副) C
examinationは「試験」であるが、法廷では「尋問」という意味であることをお忘れなく。
(桑原信淑/杉野隆『基礎英文解釈の技術100』桐原書店、2008年、64頁~65頁)
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