ビストロ レアール

石川県小松市にある「ビストロ レアール」のシェフがつづるあんなことこんなこと

今日は大漁だな

2005年07月05日 | シェフのコラム
夏に美味しいすずき

ノルマンディーのレストランで
朝注文もしていないのに
仕込み台の上に
獲れたてのスズキが置いてある事が
しばしばありました


数日後
レストランに釣ってきたばかりの
スズキを持ってくるムッシューがいました
シェフパトロン(オーナーシェフ)が
「おっ おやじ 今日は大漁だな!」と
そのムッシューは得意げにシェフと話をして帰っていくのでした

その釣ったばかりのすずきは
その日のメニューに載せて
お客様が喜んでお召し上がりになっていました

ポワレしてノルマンディー産の
焦がしバターにアーモンドと
たっぷりのハーブを加え
ライムの絞り汁で仕上げたり

ワイン蒸しにして
これもノルマンディー産の生クリームを使って
クリームソースにカルバドス酒で香りをつけたりと
今で言う 
スローフードがそこにはありました

どこの地方にも
その季節その食材を使った料理や
調理法があって
私達料理人は
いろいろな思い入れや思い出があります。

私の場合何といっても

バター、生クリーム、林檎、シードル、カルバドス、
ノルマンディーには美味しい食材が
いっぱいあって とてもいい思い出がありました。

オーベルジーヌは茄子じゃない!

2005年07月05日 | シェフのコラム
フランスでオーベルジーヌという
茄子に似た野菜があります
味も形もそっくりです
でも 茄子ではないのです

料理人と話す機会があると

必ず

「向こうのきゅうりは>>>>」

「向こうのなすは>>>>>>」

「向こうの>>>>>>>>>」

と聞いてきます
一応 私も
「あっちのは何々で ここが違う」とか
「こっちのは何々で あーだ こーだ」と
言ってはいます が

フランスの茄子に似た野菜は
ナスではなくて
オーベルジーヌという
「植物」なのです!

比較してもしかたないのです
その土地で育ち その土地の気候風土になっている
「ナスに似た植物なのです」

ちなみに
和食を食べるなら日本!
中華料理を食べるなら中国!
フランス料理を食べるならフランス!

フランス風惣菜を買うなら
レアール!

バターの籠はランプシェード 

2005年07月02日 | シェフのコラム
ノルマンディーと言えば乳製品!
初めてノルマンディーで口にした
バター 生クリーム 牛乳 チーズの
美味しいこと
バターはちょっと黄色がかった乳白色で
かすかな酸味があり コクがあるのに さっぱりしていて
料理にもデザートにもふんだんに使っていました

生クリームは
何種類かあるとおもいますが

二種類の生クリームを使い分けて使っていました
クレーム フルーレットはさらさらタイプ
クレームドゥーブルはトローとしていてコクのあるタイプで
ちょっと泡だて器でホイップしただけで
つんと角が立つ程濃厚で
それで作ったアイスクリームは
想像出来ると思います。

生クリームをホイップして
熱々のタルトタタンに添えたり

べりーをクレープに乗せ
ヴァニラの香りをつけた
ホイップした生クリームを上からたっぷりのせて包み込み
口に頬張れば

新しい空気を鼻から取り入れなければ
美味しさに 
押しつぶされてしまいそうになり
気を取り直して
息を鼻をとうして出す時に
鼻の粘膜を
クレープに使った
上質の焦がしバターの香り と
酸味と甘味のバランスの取れたベリーを
ヴァニラの香りのなめらかなクリームが
涙腺を刺激して
思わず涙する事でしょう。

さて 
生クリームの美味しさはこれ位にして
私の部屋は
裸電球と
やたらにやわらかくて
横になると
体がくの字に曲がるベッドに
洗面台が一つのがらーんとした
部屋でした
あまりにシンプルすぎて飾り気も無く
日本人ひとり
裸電球がやたら
心細く寂しく感じました

ある日

カマンベールチーズ
の入った箱の様に木で作ってある
バケツ型のバターの入れ物を
部屋に持ち帰り
底の部分に穴を開け
裸電球をおおい
手作りランプシェードがノルマンディーに
よくなじんで
いい感じでした

雑貨屋さんにあったら
さぞ人気がでることでしょう と
思うのは私だけでしょうか?

迷信

2005年07月01日 | シェフのコラム
むかし むかし
ある レストランのランチタイム

ある会社の
課長と部下がお昼を食べに来ました

課長はいつものビジネスランチをライス大盛りで
部下は課長に合わせてビジネスランチを
部下は本当はシェフのおすすめデジュネを注文して
パンにしたかったのですがここは
上司に合わせる事にしました

サイドサラダには
ホワイトアスパラときゅうりの飾り切り
トマトの櫛切りがのっています

きょうのメインは虹鱒のムニエル アーモンドソースです
付け合せには 粉ふき芋と隠元のソテーにんじんのグラッセ

デザートにはアイスクリームにウエハース
缶詰の黄桃がのっています
もちろんコーヒー付き

食べながら自慢げに上司がいいました
洋食を食べる時にはフォークの背中に
のせて食べるのが正しい食べ方なんだぞ

部下は知っていたけれど
課長に合わせて フォークの背中にライスを乗せました が
うまく乗りません

あははーぼく不器用だから こんどはうまく乗せられるように
練習してこよう といってふぉーくの内側にのせて食べました

上司は得意げに
フォークの背中に
ライスをナイフで
まるで左官屋さんが
壁に塗るセメントをこねるかのように
フォークの背中にのせるのでした。

よいこのみなさんは
けっして真似はしないでくださいね
それから
えらくなっても
サイドサラダやデザートのお皿を持って
最後の一口だからといって
お皿に口をあててすすってはいけませんよ

そして
フランス料理店と看板にかいてあったら
ライスはやめましょうね!


南仏の香りはラベンダー

2005年07月01日 | シェフのコラム
いまでこそ
この季節になると
あちらこちらの庭先にラベンダーの花が咲いておりますが
私が渡仏した頃はホームセンターなどに
苗が売っている事がなかったと思います

スッーと伸びた穂先に
紫色の小さな花をいっぱいつけて
香水の原料になるのも うなずける
ラベンダーの香り いいですねー

サントロペでは家の石作りの階段や玄関先
プールサイドなどに沢山ありました
強い日差しに目を細めて見る
ラベンダーは
印象派の絵を見るような感じでした

日本に植え込んであるラベンダーより
倍位の長さがあったように思います

そういえば
日本の知人に押し花にして手紙に同封した時には
とても喜ばれました。

また サントロペで目に付いたのは
ブーゲンビリアで
そこここの家の壁にありきれいだなーと思って
近くに行くとあの赤い色は
花ではなく葉の色なのには 
驚きました

ブーゲンビリアは
小柳ルミコの歌詞にでてくるのを覚えていたので
なぜかブーゲンビリアを見ると

南フランスと小柳ルミコになってしまいます。