徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

ゆれる

2008年06月03日 | ★★★★



ゆれる
おすすめ度
製作:2006年 日本
製作:熊谷喜一
監督・脚本:西川美和
出演:オダギリジョー  香川照之  伊武雅刀 早川 勇 新井浩文  真木よう子
キャッチコピー:あの橋を渡るまでは、兄弟でした。

やっと観ました。色んな人からおすすめされていた西川美和監督の「ゆれる」です。

故郷を離れ、東京で写真家として活躍する弟・猛(オダギリジョー)。母親の法事で久々に帰省し、兄・稔(香川照之)と昔の恋人・智恵子(真木よう子)と再会します。猛と智恵子が一夜を過ごした翌日、3人は渓谷へと向かいます。猛が智恵子を避けるように吊橋を渡り林の中で写真を撮っているとき、智恵子が渓流にかかる吊橋から落下します。その時、近くにいたのは稔だけ。事故だったのか、事件なのか。そしていよいよ裁判がはじまりますが…。

足元がおぼつかない古い吊橋から
下を見た時に沸き起こる不安や恐怖のような——。
まさに「ゆれている」ときの心理を見事に描いた作品。
これ以上ないぴったりなタイトルですね。

香川照之の演技が凄いです。
哀愁漂う背中の演技は本当に惹き付けられました。
洗濯物をたたむ後姿なんてもうたまりません。

幼馴染みの死により今まで封印していた思いが爆発してしまう兄。
華やかな弟の人生とは対照的に家業を継ぎ、いつも人に為に地道に頑張ってきたはずなのに。
淡い恋心を抱いていた幼馴染みの気持ちは弟に傾いていた。
彼女の死に対する罪悪感。

対して

自由気ままに生きてきた自分とは対照的に地元に残り信頼関係を築き上げ周囲からの人望も厚い兄。どんなに頑張ったってあんな風には生きられない。
そんな兄に起こった「事件」
兄の変貌に戸惑う弟。
兄を助けたい、と弁護士の叔父の事務所や刑務所に通うも
それは兄を助けいという純粋な気持ちからなのか?
今までの兄への負い目をこの事件を機に解消したかったのか?
あるいは自分への影響を恐れての行動なのか?
建て前か?本音か?
(全部正解な気もするが。)

物語がすすむにつれ、ふたりに感情移入してしまい何とも言えない気持ちになりました。兄の居る私。自分ならどうするだろう、と考えずにはいられません。



ラストの稔の笑顔がこの作品の唯一の救いでした。


ゆれる@映画生活
前田有一の超映画批評



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