イエロー・サブマリン
おすすめ度
原題:The Beatles Yellow Submarine
製作:1968年 イギリス
製作:アル・ブロダックス
監督:ジョージ・ダニング
脚本:リー・ミノフ アル・ブロダックス ジャック・メンデルソーン エリック・シーガル
ビートルズの名曲「イエロー・サブマリン」をベースに製作された長編アニメ映画「ビートルズ イエロー・サブマリン」です。
昔々、海底にペパーランドという小さな王国がありました。ある日、サージャント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブが音楽会を開いていると、ブルー・ミニーたちがミサイルを打ち込んできます。彼らは世界から音楽と幸福と愛をなくしてしまおうとしています。命からがら逃げ切った指揮者のオールド・フレッドは、市長の命令で黄色い潜水艦で助っ人を探す旅に出掛けます。そして彼が辿り着いたのはリバプール。まず彼はリンゴに会いペパーランドの危機を訴えます。話を聞いたリンゴは、仲間のジョン、ポール、ジョージに紹介し、四人はペパーランドを救うべく、潜水艦にのりこみ旅立つのでした。
この作品は、凄い!
ビートルズファンでなくとも充分楽しめる作品です。くるくると目まぐるしく変わる映像にビートルズのサウンドが見事に調和したアニメーションは、イマジネーションを掻き立てられます。アニメ・イラスト・映像・音楽を融合させた実験的な映像はまさにサイケデリックな60年代のポップアートそのものです。
登場人物は、それぞれ現代社会に見られる様々な事象のパロディで、
ペパーランドを襲うブルーミーニーズは
よくいる「悪玉」の典型。
詩人、作曲、小説、絵画にと時間に追われて忙しがっているジェレミーは
「えせインテリ」。
音楽をこよなく愛するペパーランドの市町は
古い時代の「カリカチュア(戯画、風刺画)」。
そのほかのユニークなキャラクターたちは
「来るべき時代の象徴」。
を表しているのだそうです。
また、メンバーたちの登場のしかたや歩き方にまでこだわっています。
リンゴは、小学生のチャップリンのようなイメージ(?)で登場。みんなが32歩のところを足を引きずるように24歩で歩きます。心優しい愛されキャラです。
ジョージはカウボーイのような歩き方で、登場も瞑想のもやの中から超然と現れます。掴みどころが無く、どこか神秘的な雰囲気を持っています。
ポールは自信溢れる若い重役のようにさっそうと歩き、現代のモーツァルトのようなエリート風。
ジョンは即興師のように軽やかに歩き、生まれながらの創造者のような天才気質。
製作サイドの意図を知るとまた違った目線で楽しめますねっ。
とってもハッピーになれる作品。
おすすめです!
・前田有一の超映画批評