徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

青春残酷物語

2008年06月20日 | ★★★★




青春残酷物語
おすすめ度
製作:1960年 日本
製作:池田富雄
監督・脚本:大島渚
出演:桑野みゆき 川津祐介 久我美子 渡辺文雄 田中晋二

松竹ヌーヴェルヴァーグの代表作。大島渚監督の「青春残酷物語」です。

真琴(桑野みゆき)は友人の陽子と夜遊びの帰りに車で自宅まで送ってもらおうと見知らぬ男に声をかけます。陽子を降ろした後、中年男は真琴をホテルに連れこもうとし、揉み合いになります。そこへ偶然通り掛かった大学生、清(川津祐介)に救われ、翌日二人は男から貰った「口止料」でデートをします。その日清は貯材場の木の上で、強引に真琴を抱きます。真琴は戸惑いながらもどんどん清に惹かれていき、ふたりは周囲の反対を押し切り間もなくして同棲をはじめる事となります。そしてお金に困ってはふたりの出会いと同じシチュエーションをつくり中年男から金を巻き上げる犯罪に手を染めていくのでした。

大島監督怒ってますね〜。
そして若者も怒ってます。
大人になのか、社会になのか。
自分の中で昇華しきれない何かになのか。



とにかく怒ってます。

清は初デート(?)で真琴に乱暴しちゃいます。
あらあら。
でも、ここから二人の愛は芽生えるんですね〜。



1960年という年は新安保条約を締結した年でもあり、社会は大きく揺れていました。学生運動も盛んで、やはり若者は怒っていました。その一方で経済は大きく上向き、まさに高度経済成長期を迎えようとしています。作中にもそれを反映させるように、本物のデモ行進や工事現場のシーンが数多く見られます。

この作品に出てくる若者2人は、そんな時代に青春を過ごしていました。ふたりは恋に落ち、お互いを傷つけ合うように愛しあいます。そして、真琴を「餌」に中年男を陥れお金を巻き上げますが、ふたりには罪悪感は全くありません。喧嘩、中絶、犯罪…いつしか破滅の道を歩んいきます。

うーん。
なかなかしょっぱいです。

今はこんな「怒れる若者」はほとんどいないかも。
私はまだ生まれていなかったので、この時代に対してあまり現実味がありませんが、政治・経済共に激動の時代だったんですね。
この作品の中には、戦後間もなくして育んだ愛も夢も志半ばで挫折した姉が登場します。彼女の過去の「失敗」と対比させながら妹、真琴の恋を描いてもあるのですが、その姉と、元恋人の間にもなにかやり切れないものを感じます。

観て爽快感のある作品ではありませんが、青春時代の若者特有の捨て身のひた向きさや、モヤモヤ・イライラ感がよく表現された作品だと思います。


青春残酷物語@映画生活
前田有一の超映画批評



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