ふとした発言に、元ビジネスマンだったことが滲み出る福田さん。財源について語ったときに「選択と集中」という言葉を使ってたね。
「選択と集中」(Selection and Concentration)は、経営戦略用語(でいいのかな?詳しい人つっこんでね。)自社の得意とする事業分野を明確にして、そこに経営資源を集中的に投下する戦略のことらしい。
1980年代にGEのCEOであった、ジャック・ウェルチ氏の戦略として有名。
企業が行っている事業のうち、ナンバー1ないしナンバー2の事業に注力する一方で、弱小事業は他企業へ売却ないし廃止等のリストラを行うというもの。
GEはこの戦略に基づき、事業の再編成に伴う資源の再分配を行うことで、業績を飛躍的に向上させた。
我が国企業は、1980年代のバブル経済期はむしろ多角経営が是とされ、この経営手法が注目されるようになったのはバブル崩壊後の1990年代半ば過ぎ。
企業は人、物、金、情報の4つの資源を事業に投入する。この資源には限りがあるので、効率的に使わなければならない。
企業が拡大してその後ブレークスルーできるかどうかは、この選択と集中がポイントだ。しかし、いま我々メディアがおかれた状況はその「選択」じたいが難しい。
話をウェルチ氏に戻すが、彼に関する本は膨大。
その中で私が読んだのは、唯一これだけなので紹介しておきます。
選択と集中とは少しはなれてしまうけど、ブックレビュー社のレビューを書いた、ミネベア 顧問 竹中 東聖氏のコメントは非常に鋭いと思う。
↓
以下、アマゾンより
ブックレビュー社
巨大企業の中で全社員が,学習し実践する文化はいかに創られたか。ウェルチの情熱と経営哲学
ジャック・ウェルチ――日本のマスコミにもたびたび紹介され,近年シックスシグマ(品質運動)はつとに有名だが,20年の長きにわたり巨大企業GEを情熱的に指導してきた,いまや米国を代表する経営者であり,カリスマとして,創業者エジソンとならんで名前をとどめることになろう。著者のボブ・スレーターも本書で同人を対象にとりあげて3冊目の著作になるので,周辺はもちろん,本人にも信頼をおかれての丁寧な取材ぶりで,GE内部の動きもビビッドに伝わってくる。今年の暮れまでには第一線を退くといわれているウェルチの情熱と経営哲学の集大成を語るにふさわしい内容だ。
時期によって変わってきているが,彼のキーワード(フレーズ)をいくつか本書からひろってみると,以下のものが例としてあげられるが,これらが"アヤ"をなして社の内外に織り込まれていくのが良くわかる。
▽「リーダーになれ,管理はするな」……社員側からすると「ボスの要素をつまみだせ」
▽「ディレイヤリング」……組織の階層の削減,境界のないコラボレーション
▽「大企業の体力と小企業の魂」……小さな会社のように身軽に動く
▽「学習する文化」……最高のアイデアをみつけて実行すること,毎日学習するにはどうするか考える
▽「ストレッチ」……些細な数字より夢に興奮したい
▽「シックスシグマ」……単に品質向上ではなく,顧客との距離を縮める
▽「ナンバーワン,ナンバーツー」……市場を支配できる企業の構築。
企業のリーダーに求められる資質は洋の東西を問わずそんなに変わらないはずだ。要は,自分の方針をどこまで徹底できるか,全社員がそれを理解させるかにかかっていると思われるが,ウェルチの能力は,20年前も優良企業だったGEをあえてリストラを行うところから始めた,変化に対する「柔軟な力」であり,CEOの仕事は「人」であると言い切って,教育投資を巨額に行い,コミュニケーションを執拗にとり続けたところにあるようだ。
巻末の索引に,「誠実さ」等の普通名詞が引用されているのも珍しいが,これもアナリストが「文化」を評価する会社に仕立て上げ,社内に語ると同時に株主に発信を怠らない(Letter to Share Owners)彼の姿勢が表われている。翻って,わが国企業の「営業報告書」はその内容の無味乾燥さはどうしようもない。ウェルチに習って改善する余地は十分にあろう。 (ミネベア 顧問 竹中 東聖)
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