松下グループは、森林生態系保全や、持続的な森林の利用を目指して、FSC 認証紙を積極的に活用していくことを決め、2008年9月26日発表しました。
具体的には、まずショールームでの配布物やアニュアルレポートなどの印刷出版物で採用し、2010 年には使用量を約100 トンまで拡大するとのこと。
FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)は、国際的な森林認証制度を行う第三者機関のひとつで、生態的、経済的、社会的側面などを包括的に評価する森林管理基準に基づいて森林の認証を行い、継続可能な森林管理を推進することを活動の目的としています。
FSC 認証紙とは、こうした適切に管理された森林から生産された木材を材料に、製造されていることが証明された紙であり、昨今の古紙偽装問題などによって、持続可能な森林の木材を原料とした紙の利用への関心が高まる中、その活用が紙のグリーン購入の有力な取り組みの一つとして注目されつつあります。
同社は、世界自然保護基金(以下WWF)のコーポレートサポーターとして、FSC 認証紙の活用促進を奨励するWWF と紙の購入方針について昨年から意見交換を行い、検討を進めてきました。
そしてこのほど、FSC 認証紙の積極的な使用を全社方針に定めアニュアルレポートなどの各種報告書や企業カレンダーなどコーポレート部門が制作する印刷物について、可能な限り採用することを決めました。年度ごとに調達実績を把握し、2010 年度には約100 トン分をFSC 認証紙に切り替えることを目指します。
また、従来通り、紙資源節約の取り組みを始め、商品カタログなどの必要な紙資源利用については、古紙利用の推進、紙の原料の確認、有害物質の含まれないインクの使用など印刷を含め環境に配慮された購入活動も継続するそうです。
■プレスリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn080926-1/jn080926-1.html?ref=news
■WWF ジャパンより同社の取り組みに対するコメント
松下グループによるFSC 認証紙の利用拡大を歓迎します。世界の自然林の面積は毎年約1300 万ha 減少しているほか、生物多様性が減少している森林もあります。その原因の一つとして、紙や木材の原料を採取するための不適切な伐採が指摘されています。しかし、環境を保全しながら、森林資源を持続的に利用してゆくことも可能です。森林生態系を含む生物多様性の保全、原産地での地域社会や人権への配慮を行うFSC 認証紙の使用は、森林の利用と経済活動を両立させる好例といえます。
WWF ジャパンは、WWFインターナショナルの国際的な企業パートナースキームである「コーポレートサポーター」の松下電器産業株式会社と、森林保全の観点から日本における松下グループ全体の紙のグリーン購入方針について、昨年から意見交換を継続してきました。
FSC 認証紙の利用について、時期を定めた定量的な目標を社会にコミットする松下グループの姿勢は、環境・社会配慮の模範的な取組です。今後は、取組結果のコミュニケーションを通じ、消費側からの“責任ある”紙調達のあり方を広く社会に伝えるリーダーとしての役割にも期待しています。
■企業のみなさまがWWFに協力するには・・・
http://www.wwf.or.jp/corp/index.htm