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宮部みゆき「火車」~現在もまだ残る、多重債務者の悲劇

2007-08-21 18:49:08 | 読書感想文
レイクの経営悪化の記事を読んで、宮部みゆき「火車」を思い出す。
グレーゾーン金利の返還請求が急増、消費者金融各社の業績はのみなみダウン。
それでも多重債務者200万人、自己破産者数は20万人以上と言われる。

内容(「BOOK」データベースより)
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
(以上、アマゾンより)

個人的には、なぜ直木賞をとらなかったのかが不思議だ。
私が読んだはじめての宮部みゆき作品。

重いテーマを情感と悲しみをこめて、丹念に描く。
行方不明の女性を捜している過程で、いろいろな事が分かっていく。
幸せを追えば追うほど深みにはまるひとりの女性のあまりにも悲しい人生。そこに破滅が待っているとわかっていても、不幸な運命を振り払い、逃げ続ける人間の悲しい性。
彼女にめぐりあえた喫茶店。憐憫と同時に「もう逃げなくていいんだよ」と思った。

ちなみに「火車」とは生前悪行を働いた亡者を乗せて地獄へ運ぶという、火の燃えている車のことだそうだ。
宮部みゆきはいつもタイトルのセンスがいい。
これは本当に秀逸な題名だが、あまりにも本質をとらえすぎて、言葉もない。

いまだ増え続ける自殺者の中には、借金苦の方も多く含まれるそうだ。


火車 (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社

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