旅の途中で

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片想い

2006年10月12日 21時38分11秒 | 
東野圭吾作「片想い」を、お友達から借りて読みました。

前々から、東野さんって半端じゃなくすごい人だと思っていた。
どこでどうやって調べてきたんだろう?というくらい、扱う題材についての深い知識がすごい!って。

たとえば「天空の蜂」では原発の仕組み・問題点を提示したし、「鳥人計画」ではスキーのジャンプの世界を描いている。
かと思えば、まったく正反対のようなクラシックバレエを取り上げた作品もあるし。


全部、なんとなくの知識で書いているんじゃなくて、その世界の専門家のようなタッチで書いているのがすごい。

そして、今回読んだ「片想い」でもまた、改めてそのすごさに脱帽です。
片想いで扱う問題は・・・まあそれを詳しく書いてしまうと、物語の重要な部分を語ってしまうことになるので・・・書きづらいんだけど・・・
おおまかに言うと、「人間にとって、男性・女性ってどういう意味があるんだろう?」ってことかな・・・

簡単に言いすぎだけど、そんな人間の基本的なテーマを、ものすごい情報量で問いかけてくれる。

何より私が感動したのは、東野さんの女性に対する目線。
東野さんは一応「男性」というカテゴリーに入ると思うし、そういう育てられ方をしてきたんだろうと思うのに、どうしてこんなに女性の立場を良く理解してくれているんだろう?


お話は殺人事件を絡めて進んでいく。
殺人事件に男女の問題がどう関係してくるのか・・・推理物としてもすごくおもしろいです。
これを題材にして、よくここまで書けるなぁと興奮しながら読めます。

私が今まで読んだ東野作品の中でも、これは傑作だなぁと思ったのは「秘密」。
この「片想い」も、秘密と同じような感動を呼び起こしてくれます。