旅の途中で

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ルーブル美術館展

2006年10月24日 22時50分18秒 | アート
先週の土曜日の話ですが、京都の美術館に「ルーブル美術館展」を見に行って来ました。
本当言うと、巨大な美術館の展覧会ってあんまり期待しないんです、いつも。
なんていうか、よっぽどうまくテーマを絞らない限り、緩慢な感じになっちゃうというか、目玉作品が1,2点あって、後は・・・っていう感じになることがあって。

ところが今回はなんと、ギリシャ彫刻のみ!という潔さ(笑)
これがなかなか見ごたえあって、良い展覧会でした。

会場に入ると、昔の英雄やら神話の登場人物やらの像がずらっと並んでいる。
長い年月が経って、ほとんどは鼻がぽっきり折れていたり、片腕がなかったり、首から上がすっぽりなかったりと、完全な状態のものは無いに等しい。

だけどなんでだろう。完全なものよりも、どこか欠けている彫刻の方が美しく、奥深く見える。

今回は来てないけど、例えばルーブルの有名な「ミロのビーナス」。もしあのビーナスに両腕がついていたら・・・あんなに魅力的に見えたかな・・・?
少なくとも、神秘的には見えなかったと思う。
今回のもそうで、女性の彫刻の鼻がぽっきり折れていても、やっぱりそれは美しい。


おもしろいなぁと思ったのは、「お手玉をする少女」という題のついた彫刻があったんだけど、なんと両腕が肩から無い!
なのに、その体の傾け方とか肩の筋肉とかで、「お手玉をしている」ということがわかってしまう・・・(のだろうね、専門家には)

他にも、お酒をついでいる少年の像があるんだけど、やっぱり両腕がない。
でも、何もない空間に、お酒をついでいる光景が見えてくるから不思議だ。
そしてそれは、見る人ひとりひとりによって少しずつ違う光景なんだろう。

想像力を働かせながら見ると本当におもしろい。

今回の作品の中で、私が一番好きなのは「ニケ」の像。
ニケというのは背中に大きな翼の生えた女神のこと。
小さい像だったけど、翼を大きくはためかせ、どうどうと足を前に踏み出している姿は、まるで空を歩いているかのようだった。

ルーブル美術館には巨大な「サモトラケのニケ像」がある。
実は私、ルーブル美術館の作品の中で一番好きなのがこのニケ像だったりする。
「モナリザ」より「ミロのビーナス」より。
大階段の上に堂々と立っている姿は、本当に神々しいとしか言えなくて、初めて目の当たりにした時はすごい衝撃を受けた。

そしてこのサモトラケのニケも、首から上が無いからさらに神秘的に見えるんでしょう。


ギリシャ彫刻といえば、私は美術学校に通っていた頃を思い出す(笑)
ほんと、死ぬほど描かされたもんなぁ。
でも、人物を描くのって好きです。特にギリシャ彫刻は人間の理想の体を再現したものだから、筋肉のつき方とかが美しくって。
そしてやっぱり、完全な状態よりもどこか欠けているのが良いんです(笑)
人間だってきっと一緒。と思ってみたり。