普段から何と無く思っていることを、人様の本を読んでいて似たような考えを発見した時に、そうだよね、うん そうだ そうなんだよねと一人で盛り上がって、本を読む愉しさも読む喜びをグイッとつかんだ感じがするのも、案外読書の楽しみの一つかもしれない。
「スロー・イズ・ビューティフル」 辻信一著 20001年刊の本だが、すべてにおいてスローなぼくは今頃読んでいて、とてもうなずける点が多いのだ。
中に、多田道太郎の怠惰の思想 という節や ブラブリズムのすすめ の節 いずれも第6章、 は読んでいて大いにわが意を得たりの喜びっぱなし。
ぼくに器用に本著をまとめて紹介する力が、すみませんけれどもありませんので ご興味のある方は本書を読んでいただきたいが、「勤勉の思想」ばかりはびこって、なぜ怠惰のイデオロギーがないのか。(どうですか、面白そうでしょ?)ということから、・・・・・・・やっぱり、興味のある人にはこの名著を読んでいただきたい。
ブラブリズム、とは ブラブラすることを指しているようで、どうも世間ではえらく評判が悪いけれども、生産的でない、効率的でない、 頑張っているときにブラブラしているのはけしからん という共同体の社会の無言の圧力に 息苦しさを感じている、というのでもない ただの怠けていたいだけのぼくなんかにはすんなりと入ってくるのだなあ、この本は。今の時代に息苦しさを感じているあなた、どうかこの本のように 降りちゃえば?
ぼくはこの十余年、貧乏してみて貧乏でも愉しく生きられることが分かったから、もう戻らない。ブラブラ、だらだら散歩とカメラで創作と趣味に生き、残りの時間はほかの好きなことに時間を割いて生きていこうとますます思ったことですよ。
どうにも、うまくまとめられなくてごめん、これは現代に嵐のように吹きすさぶグローバリズムに対するノー、という意思表示にはなる生き方であるとだけは分かりました。
写真・文 石郷岡まさを