パラティーナ礼拝堂(Cappella Palatina)は、パレルモのノルマン王宮内に位置する、12世紀の建築物だ。この礼拝堂は、1130年に建設が始まり、1143年に完成した。シチリア王ルッジェーロ2世(Roger II)の命により建設されたこの礼拝堂は、その美しさと複雑さにおいて、当時の芸術的および宗教的な頂点を象徴している。日本の平安時代と比較してみるとその凄さがわかる。
ノルマン、ビ . . . 本文を読む
ふと視線が古い建物のファサードに止まる。そこに刻まれているのは、威厳ある表情で前方を見据えるひげをたくわえた男性のレリーフ彫刻だ。石の中に永遠に閉じ込められたかのようなその顔は、静かな威圧感を放ちつつも、どこか物悲しさを漂わせている。
この男性は誰だったのだろう。何世紀も前に生き、ここボローニャの街で重要な役割を果たした人物かもしれない。彼が見ていた世界は、今とはまったく異なるものであったに . . . 本文を読む
パレルモの影
18年前、ホテルの窓から見下ろしたこのスラム街の光景は、シチリア島の首都であるパレルモが抱える課題いやイタリアの課題を象徴している。崩れかけた建物、無造作に積み重ねられた廃材、荒れ果てた庭―これらは、長年にわたる貧困と無視されてきた地域の現状を物語る。
18年前のパレルモは、まだ多くの地域で貧困が根強く残っていた。古い建物が立ち並ぶ地域は、長い間、都市開発の波に取り残されてい . . . 本文を読む
小さなホテル
巨大なシェパードの吠え声がするこのホテルの一角にはアグリジェントそのものを象徴する何かが感じられる。シチリア島の乾いた大地に立つこの街は、古代からの栄光と、歴史の荒波に耐え抜いた遺産を今に伝える場所であり、その背後には数千年にわたる壮絶な歴史が隠されている。
アグリジェントの歴史は、紀元前580年に古代ギリシャ人によって築かれた植民都市アクラガスに遡る。この街は、マグ . . . 本文を読む
巨大なオリーブ
遺跡に生えるオリーブの巨木は蝋化したように見える幹と荒れ地に蟠る力強い根。見ているだけで生命の力が与えられる。
シチリアの5月の太陽は、すでに真夏のような強烈さを帯びている。空には雲一つなく、照りつける光が大地を焼き付けるようだ。妻に借りて頭に巻いたスカーフでどうにかこの陽射しをしのぎながら乾いた地面を歩いていると、ふと目の前に現れるのが、一際存在感を放つ一本のオリーブの木 . . . 本文を読む
タオルミナとジャルディーニ・ナクソスは地理的に近接しており、歴史的にも密接に関連している。ジャルディーニ・ナクソスが最初のギリシャ植民地として発展し、後にタオルミナがその影響を受けて発展した。タオルミナはその後、古代ローマ時代や中世を通じて重要な都市として栄えた。
ボローニャのボルゴ・パニガーレ空港からカターニアのフォンタナロッサ空港に着陸体制に入る前にエトナ山が姿を見せる。活火山で標高 . . . 本文を読む
古代ギリシャ劇場
「胎内潜り」は日本の伝統的な宗教儀式の一つで、通常は神社や寺院にある洞窟や穴を潜り抜けることで、再生や浄化、そして新たな出発を象徴する。この儀式は、母親の胎内を再現し、それを潜り抜けることで新たな命を得る、という深い象徴性を持っている。
タオルミーナの劇場を前にしたとき、この「胎内潜り」の儀式が頭をよぎった。古代のアーチをくぐるという行為は物理的な通過ではなく、精神的な再 . . . 本文を読む
小さな島の頂上部にも別荘らしき建物が見える。イゾラ・ベッラ(Isola Bella)は、イタリア語で(Isola=島、Bella=美しい)イタリアにはこの名称の島は幾つかあるが、タオルミーナのイゾラ・ベッラは、フランス映画「グランブルー リュック・ベッソン監督 1988年」のロケ地として使われた美しい小島。タオルミーナで開催されるフリーダイビング競技でエンゾ、ジャック、ジョアンナが出会う。
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フェラーリとフェラーラ
フェラーリ「こんにちは、フェラーラ!僕はフェラーリ、イタリアが誇るスピードの王者だよ。君も名前が似ているけど、もしかして僕と何か関係があるのかい?」
フェラーラ「あら、フェラーリさん!残念ながらわたしたちは全然関係ないのよ。わたしはエミリア=ロマーニャ州の歴史ある街、フェラーラ。自転車が大好きで、街の人々は毎日サイクリングを楽しんでいるわ。」
フェラーリ「え、自転 . . . 本文を読む
古代の闘技場に足を踏み入れたとき、胸の内に奇妙な感覚を抱いた。この場所はかつて、熱狂と血の匂いに満ちていたはずだった。しかし今はただの静寂が支配している。陽光が石柱の隙間から差し込み、草の匂いがかすかに漂っていた。
回廊を抜け、大体育場へと進むと、彼は自分が遥か昔の人々と同じ道を辿っていることに気づいた。彼らもまた、期待と不安を胸に、戦士たちの命を賭けた戦いを見届けるためにここを歩いたのだろ . . . 本文を読む
アディジェ川を渡り、ベローナの古代遺跡を訪れたときのこと。石造りの階段が私を誘うように、その先へと導いていた。階段を登るたびに、背後に広がる街の喧騒が徐々に遠ざかり、目の前には遺跡と自然が織りなす静かな空間が広がっていた。
階段の両側には、古代ローマ時代の建築物の残骸が無造作に積み上げられ、まるで歴史そのものが生き続けているかのような錯覚に陥った。緑豊かな木々と植物が、崩れかけた石碑や壁と絡み合 . . . 本文を読む
若い元気なガイドが案内してくれる。22歳くらいかな。ちょっと軽いけどまあいいか。
さあ、アルノ川を左手に、いよいよピッティ宮殿に到着だね!ここ、地元でも人気の観光スポットだけど、そんじょそこらの観光地じゃないんだ。歴史好きにはたまらない場所なんだ。フィレンツェっ子の僕らにとっても、メディチ家の物語を思い起こさせてくれる特別な場所なんだ。
え、メディチ家って何だって。ううん、こいつを話し出す . . . 本文を読む
2006年のイタリア旅行を回想し紀行文にまとめました。58歳の時に行ったイタリア、スペイン、モロッコ、東南アジア、パタゴニア、マチュピチュなどの紀行はそのうち書けるだろうとたかを括って伸ばし伸ばしにしていたが既に76歳になってしまった。
ブログとして写真中心のまとめは一応していたのだがやはり文章が少なすぎる。
性根を入れて書かねばと決意しています。そしてアマゾンで電子出版を計画しています。長期 . . . 本文を読む
イタリア紀行の思い出の中にベネツィアのグラスがある。当時買い求めたものの一つはグリーンの取っ手がついた素敵なものだったが取っ手が折れてしまった。どうやって折れたものか記憶にないのだが、どうも都合の悪い記憶は遠くなるものらしい。
ムラーノ島に渡り工房で手品のような吹きガラスの技を見せられた。
中世のベネツィア共和国は、ガラス製造の技術が非常に貴重であったため、ムラーノ島に . . . 本文を読む
ティベリウスはローマ帝国の2代皇帝だ。不思議なことにローマから遠く離れたカプリ島のヴィラ・ヨヴィスで統治を続けた。18年前にカプリ島を訪れて以来なぜそのような複雑な統治を行ったのかとの疑問が居座り続けた。現代的な視点から推測してみると面白い。
ティベリウスがローマから遠く離れたカプリ島のヴ . . . 本文を読む