「世界№1の報道写真」
❤秋はもう去ろうとしている早朝のモミジの指もふるえていたり (松井多絵子)
ふるえる指でめくった朝日朝刊2頁上段の ひと がきりっとした目で私を見ている。「アナタは呑気ね。短歌なんか作っていて」 この ひと に載るのは女でも女ではない。逞しい男のような女である。林典子さんだってそうだ。本格的な写真をはじめて4年で世界最大規模の報道写真の祭典「ビザ・プール・リマージュ」の最高賞を受賞、日本人で初めてである。しかも、まだ29歳。
ある日突然誘拐され、見知らぬ男性と結婚させられる。中央アジアのキルギスで起きている「誘拐結婚」の現実を林さんは撮影したのである。被写体のほとんどが10~20代の同世代の女性。レイプ後に結婚させられ、3日後に自殺した女性もいる。「私が彼女だったら」と考えながら撮っているそうだ。だから林典子さんの写真は人の心を捉えるのだろう。
キルギスでは4か月間、村々を回り、誘拐を企てる男性に接触。現場を撮影後、「事実を伝えたい」と被害女性から許可を得て作品化した。「ニュースにならない、普通の人々の苦悩を伝えたい」林典子さん、くれぐれも男性には気を付けてね。見知らぬ男と結婚しないように。
10月29日 未婚の女よ、知ってる男だって結婚はくれぐれも用心してね。 松井多絵子