植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

石集めはもうやめます

2024年02月18日 | 篆刻
ここ数年、毎晩の日課の一つがヤフオクでありました。

5年前書道の修練の延長で始めた「篆刻」その制作に伴って必要になる「石印材」をヤフオクで収集することが手っ取り早く魅力的でした。それは単に青田石や寿山石に分類される、篆刻を彫るための初級者用の印材がスタートで、書道具店で1本数十円から高くても2,3百円程度のものです。これを摸刻や練習用に大量に必要としたのです。それが未刻・未使用印であろうが既に刻印・刻字ありのものまでお構いなしに集めました。

また、そのうちに、持ち手側にある龍や獅子などの飾り彫(紐)、更には表面に薄く浮彫レリーフを施した「薄意」というものがあり、いずれも石の価値を高める効果、あるいは非常に美しく珍しい石に更に付加価値を与えているものがあることを学びました。つまり石印材は奥が深く、蒐集価値の高いものだと思い始めたのです。

そこで、ヤフオクに出品される石に対する目の付け所が①有名作家さん・篆刻家さんの側款ありのもの ②田黄・鶏血石・芙蓉石という銘石 ③紐や薄意が美しく精密に作られている ④石自体の透明度が高い凍石、ツヤ感がある石・・・といった落札額・提示額が高くウオッチが大勢いて何人もの方が入札に参加する、といった印材にシフトしていきました。

それまで10本で2千円とか「使用済み印材まとめて3千円」とかを喜んで落札していたのが、原則1~3顆(か)と一本単位の落札に変わり、数百円が一桁上がって数千円というふうにエスカレートしていったのです。また、最初は週一度くらいの入札が、だんだん毎日入札し多い時で一日数件、という落札も出始めました。週に10件位落札してもまぁいいか、といった心境に陥り、当然その落札額が月間で10万円を超えることも度々となりました。

こうした高額で質のいい石、珍しい石、側款に著名な名前があるもの(ただし本物)に目が行って落札するようになれば目も肥えていきます。従って入手した石は「消費した」のではなく「価値がある在庫」と見做せるのだと感じるようになりました。つまり買ったものは同じくらいの値段でヤフオクで売れるだろうと。

さて、そこで昨年末頃から始めた「終活」であります。残りの人生が何年かを考えた時、自分の気力・体力、そして記憶力がまだぎりぎりましな今、身辺整理を少しづつ行って、自分の普段の生活の負担を減らし、また万一の時残された家族が「途方に暮れる」ことのないように「カタ」が付くものは片づけてしまおう、というわけです。

そこで各方面に着手しぼちぼちと始末が付き始めております。来月には整理・清掃の専門家さんに実際片づけ仕事を依頼しました。その対象の中には当然「石印材」も含まれております。なんとか捨てずに、ヤフオクでお金に変えていきたいと虫のいい考えでいるのです。

従って、すでに1月からもうヤフオクでの入札・落札はすっぱりやめました。12月までは踏ん切りがつかなかったので、数万円の落札品が届きましたが。
片や余剰で処分・換金をしなければならない在庫(石印材)を人を使ってまでも成し遂げようというのに、一方で知らん顔して新たに石を入札して集める、というのは明らかな矛盾であります。これは、経済合理性から完全に逸脱しております。

一定の在庫減らし(出来れば安いもの中心)が70%くらいまで到達するまでは絶対にヤフオクを見ない、と固く誓っております。
コメント (4)
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