植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

偽物大国から「本物」が届くか?

2022年02月11日 | 篆刻
 芸術やら文化、スポーツ全般に共通する、重要な上達の要素は、「本物」あるいは超一流の人や作品に交わり触れることにあります。まがいものやCGで作られたものをいくら眺めてもなんの勉強にも感動にもなりません。いくら上手な物まね・歌真似でも本人を凌駕することはなく、あくまで笑える対象になるだけです。

 中国のパクリ文化も、昔のディズニーランドランドのキャラクターや、日本製品の模造品を見るまでもなくお粗末極まりないものであります。中国では、SF映画が最近お得意のようですが、最近の映画を観ても雑なCGと古典的なワイヤーアクション、そして早送りとスローモーションを組み合わせたカンフーアクション、どれをみてもリアリティーがない偽物臭がいたします。起用する女優・俳優も、能面を被ったような人工的な顔で、明らかに細工をした容姿は全く美しく見えません。聞けば、口パク・アフレコなので発声による「表現力」は不要、見た目だけでいいのです。

 書道の源流は中国にあり、古代殷の時代に生まれた甲骨文字から漢字が発展し、これを単なる記録用の文字から芸術に昇華させたのも中国であります。
 書道だけは中国が本家の本物、一流の芸術文化として誇れるものと言えましょう。
 
 篆刻で言えば、公文書を遺すために用いた官印が篆刻の起こりで、昔は無名の印工によって作られていました。印材が非常に硬い金属・象牙・木・竹などで、書道家とはなじまない分野であったのです。書道でも落款を入れることが常識となった後でも、専門の職人が偽物が出ないように複雑な字体で彫るのが一般的でした。
 しかし、その印材の固さゆえ、書道に造詣が乏しい職人による印が、繊細な篆書の字をそのまま反映させるのが困難であったと言います。

 そうした、篆刻印の不都合な状況を打開しようとしたのが、中国明の時代の書家で文徴明の子供である「文彭」さんであります。彼は、それまで象牙に布字したものを人に彫って貰っていたのです。ところが、偶然入手した青田石に自分で彫ってみて、留飲を下げたのです。印は自分で彫ればいいのだ!と叫んだそうかどうかは分かりません。
 以来、書家・文人自身が印石材に刻するようになり、篆刻が職人の手を離れて一級の芸術分野になっていったのです。これには青田石はじめ、彫りやすい印材(ヨウロウ石)の発見が大きな要因ともなっております。

 さて、そこでヤフオクであります。素敵な古印や良質な印材に目が無いワタシはヤフオクで毎日チェックをして出物・掘り出し物探しをしております。そこで発見したのが「 文彭」刻字のある古印2件であります。別の人が出品していて偶然本日が最終日。片や小さな傷がついた古い青田と思しき「関防印」、片や「〇長于它」と刻まれた黒い角印で亀の紐があります。すでに多くの方が「ウオッチ」いたしておりますので、注目度はかなり高いのです。

 これらが、本物かどうか、その一点が衆目を集めるところで、もし本物ならば約500年も前に彫られた、「篆刻の祖」の手による大珍品で、博物館レベルかもしれません。

 このところのヤフオクでは、金額はちょっと言えませんが「徐三庚 」の印を落札しました。1890年生まれ、清代で活躍した中国の最も技巧にたけたと言われる篆刻家さんであり、その印譜集にある200個の印を摸刻しております。摸刻を通じて、かの達人が遺した印と同じレベルの印が彫れるようになれば、「刀法」を会得したことになる、と考えています。それには何より本物を触り感じる事が大切だと思うのです。

 間もなく手元に届くことになるであろうその篆刻印が、真正の徐三庚さんの手によるか否かは、恐らく掌中になっても確信は持てないでしょう。また、文彭さんの側款入りの印も模造品であってもなんら不思議はありません。かなりの「偽物」の可能性のリスクは承知したうえで、応札するかどうか悩ましいのです。

なにせ、偽物大国の中国由来のお品でありますから。

 

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