植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

栄寶斎さんいらっしゃーい 最高レベルの印泥を探す

2023年10月16日 | 篆刻
先日お目にかかった書道家さんたちのお一人が「栄豊斎」の小筆を買ってきたと、見せていただきました。千代田区神田司町 にある書道店・中国美術品を商う老舗であります。(行ったことは有りませんが)

紛らわしいことに、中国では「栄宝斎」(榮寶斎)という名店があります。こちらは、北京市西城区の琉璃厰に ある書道関連・書画骨董品を扱う老舗中の老舗であり、日本で言えば「銀座鳩居堂」みたいな名店であります。恥ずかしながらどちらも行ったことがありません💦。
ワタシが、本格的に書道を始めて、専らその消耗品・書道用具を調達したのがヤフオクで、書道紙・筆・墨と片端からひとからげで大量に落札しておりました。そして、次に始めた篆刻では石印材と合わせて落款を書いて印を捺すための「印泥」もばんばん集めることになりました。印泥のメーカーとしては「(上海)西冷印社」がもっともメジャー、一般的であります。しかし、調べてみると「八寶印泥」「北京一得閣」「苏州姜思序堂 」など様々なメーカーやブランドがあることを学びました。

その中で発見したのが「栄寶斎印泥」であります。これが、中国では最も高価で高品質なトップブランドの印泥であるらしい、という事を知り、ヤフオクで物色するようになりました。あるその道の専門家さんによると、偽物が9割以上だそうです。その方は30万円で出品されている「真正・最高級」の印泥を見かけますが、さすがに落札者は現れません。

その後、見つけると入札し、数年がかりで都合4個の栄寶斎印泥を入手しました。
おおよその特徴は、他の印泥の布箱と違って、商品名などのシールが貼られていない、また、いかにも上品で古風でしぶい模様であります。印合は、原則的には「七宝焼き」が多く、その裏に「北京栄寶斎新記製」という金属ラベルが貼られています。現在の新商品はどうかは知りません。
偽物が多いのは、そこでしか売っていないので真正のお品がそうそうは手に入らない、非常に高価だからであります。箱を入手して違う印合を入れる、七宝焼の空容器に違う印泥を詰め替える、金属ラベルを印合の裏ブタ張る、などいろいろな手口があるようです。

これが手持ちの4個であります。上の二つには「定製印泥」「特製印泥」の紙が貼られているので、時代によっては一目でわかるようにした品物もあったのかもしれません。前者は、普段使いの一般品で後者がお高いものですよ、と表示したのかも。

外観だけで言えば、右の2個が箱・印合ともに風情がある良品と見えます。

このようなラベルが裏に貼られてます。

陶製の印合もあるようです。何しろ箱には種類や等級などの記載は一切ないのです。

実際押捺するとやはりかなりはっきりと色合いが違います。
少なくとも、左下の印は明らかに色合いがどす黒く、べたつきがある粗悪な押し心地で、偽物であろうと判断できますが、他の3個の真贋は明らかではありません。ひいき目に観て右の二つはおそらく本物だろうと思います。

さて、そして、先日久しぶりに栄寶斎をヤフオクで見つけたのであります。それも一度に二つ!。これは見過ごせない、と入札いたしました。すると16千円でめでたく落札できました💖。本物ならば大変お買い得であります。
そして届いた現物がこれ↓
基本的な要件はほぼ満たしております。残念ながら右の印合のフタには金属ラベルは付いていません(剥落した跡はありますが)


下の写真は左右あべこべになっています。左の印が薄茶色の下地に「梅」の絵が描かれたものです。
実際に捺してみれば違いは歴然としています。左の「黄口」は格調のある美しい色で、メンテナンスも行き届いております。残念ながら右の赤みが強いものはべたべたして「ダマ」になりました。多分よほど状態が悪いか中身を違う印泥に変えたかでありましょう。

結論的に言えば、片方、左が本物の時代がある約2両装(6g)の榮寶斎、右の青い蓋のものは、中身の印泥は使えない(偽物)が、印合は本物の七宝で榮寶斎であろう、としておきます。
価値は・・・・、うーん分かりません。まぁいいでしょう。
古い骨董品ですし、現在榮寶斎でどのくらいで売られているのかも知らないからであります。

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