昨日、このブログで「円安」について私見を述べました。ワタシ達は知らない間に、その悪影響を受けていて、電気料は上がりガソリンが高くなり、パン屋のコッペパンが小さくなり、回転ずし店の100円の皿が無くなったりしております。年金など、一定の収入源しかない庶民にとっては、円安のメリットはないので一方的に支出増を余儀なくされています。「食べる事にも窮する」無辜の人たちが増えていることを、国会の先生方や、テレビでいい洋服を着ている華やかなマスコミ関係の人たちにはわからないのでしょうね。
ワタシは、健康の為ほとんど自家用車に乗らないようにしています。おやつは自分で育てた果実、野菜物もいくらかは自給しております。しかし、寒ければ暖房を付けますし、食事のほとんどが外から買ってきたものですから、やはりじわじわ支出増となってるはずなのです。
そこでヤフオクであります。そのほとんどの対象が「石印材」を集めることにあります。①自分で彫るための練習用の石(刻印・使用済みの再利用)、②人から頼まれた時用の上質な印材、③田黄・芙蓉石など希少価値のある高級材、④古今の篆刻家さんの作(側款など在銘)の骨董的・美術文化財的価値があるものの蒐集、と色々な目的で幾つあってもいいのです。
既にして在庫は恐らく4千個を超えております。落札したその大半は10個~50個まとめての出品物で、書道篆刻をやっていた人の遺品整理、書道店の在庫整理、と思しきものであります。廃品処理業者さんからの出品物も多いのです。これらは専門家の作による見事な篆刻の印から、素人が力任せに彫った自用印までピンからキリまででありますが、ほとんどは十把一絡げで、一個当たり100円からせいぜい200円程度で入手出来ております。こうした印の中には、時々「鶏血石」などの銘石や素敵な紐(持ち手の飾り彫り)があるものが紛れ込むので、そんなお宝を掘り出すのが楽しみなのです。
問題は、古美術商・中国関係の文物の輸入業者・あるいは収集家からの放出品など、1点物の印であります。従来から安定的にこうした珍品・高級石材・時代物の逸品がヤフオクに出て来るので、ワタシに限らず篆刻家さんや印のコレクター・美術商などが虎視眈々と狙いをつけてお宝に殺到するのが常であります。
以前は、そんな多くの人が注目する価値が高そうな品物でも、たまにワタシの手の届く金額で落札できたのです。大変なお値打ち品・希少な石材に見えるものでも5千円程度で落札出来たのは人造石や粗悪品・まがいものが多く、ワタシもさんざんその手の石をつかまされてはおりますが、一方でちょっと手が震えるような本物感がある品物も入手出来ているのでトータルでは、十分払ったお金以上の石を収蔵出来ています(あくまで手前みそですが)。
そこで本題に入ります。
石だけで200回以上落札してきたヤフオク(印材)中級者としては、見る目がだんだん出来てきています。蒐集家の断捨離で出してきたような本物の掘り出し物に気づく確率が、上がってきているのです。しかし、このところそうした品物が殆ど落札出来なくなりました。原則1件1万円以内という自主ルールで札を入れるので、一定レベル以上の品物には手が届かないのは致し方ありません。しかし、中にはこれは!と思うものには2万円位いってみよう、と試みているのです。
例によって夜9時半には就寝するので、自分でこの位なら落札出来るか、と大きめの金額を出して、一旦は一時的「最高入札者」には入るものの、その後上回る入札があっても上乗せして追いかけない、これが大損をしない(散財しない)コツでもあります。翌朝チェックすると、例えば15千円で上値にしていたものが5万円位で落札されるというようなことが多くなりました。数日前から通算で40件程入札しましたが、一つも落札出来ておりません。大体自分の設定した金額の10倍くらいで他の方が落札するか、さもなくば深夜に少額を乗せ合う入札合戦が延々と続いて「出品者都合で取り消し」という事例も頻発しています。こうした現象は「円安」と無縁ではないと思います。中国人が、円安によって割安感の出ている「日本」を買いたたいているのであります。
そのちょっと前に落札した石が2件、先日届きました。一つは、黄土色の自然石に薄意があるものの、その半分以上が擦り削られている未刻印Aで、4,100円。もう一つが丸石の上半分に2匹の獅子紐、側面は皮付き(自然石の風合いや形を生かすためにわざと表面を残す)の大型印Bでありました。これは、1,300円(笑)。つまり、専門家・蒐集家さんが目もくれないような様子の品物(ガラクタレベル)だから私が落札出来たということになります。
しかしながら、現物はワタシの期待通りなかなかの品物でありました。
Aは、その石材の種類は寿山石の銘石の一つである「黄高山(高山凍)」と見ました。
半透明、薄灰色の下地に飴色の層が混じり、うっすらと朱も見える艶やかな美しい石です。底部は平面で磨かれていて印を刻んでいたかは不明です。側面4面の内、一面だけは無傷で丁寧な薄意が残っていますが、2面は意図的に削られ、背面にあったと思われる側款が奇麗に削り取られたように見えます。かなり年数がたった古材であることは一目でわかります。なんでこんな勿体無い事をしたのかは見当が付きませんが、完品であれば軽く5万円以上はする秀麗な材であります。
もう一つのBは、高さ8㎝弱、横幅5,6㎝という大型の丸石で、赤みが強い半透明の材質は「馬肉紅」あるいは老嶺石の類で、切り出した岩塊ではなく、土中から出土する自然石であります。この材質の石は、大きめの紐つきの工芸品によく見られるもので、ワタシの収蔵品の中にも共通した特徴の石が3点あります。恐らく彫りやすく、粘りがあって精密な細工に適した良材なのでしょう。側款は「壬戌 竿 〇謙」と読めます。また、印面には「天下為公」(政治や権力は個人一人の血統・系統によるものであってはならない、等しくすべての民のものとすべきである)といった意味で、非常に手馴れた繊細な印の彫りようであります。
これが、たった1,200円の価値しか無いとは到底思えません。というのは、同じ日に出品者によって他に2件の印が出品されていたのですが、いずれも夜中まで3万円まで吊り上がったあと「出品取り消し」になっていたのです。
一つは薄意がある3種類の印3点、もう一つは全体に薄意がある半透明の緑石1点で、もしかすると「艾葉緑」や田黄緑といった超高級な石とも見まごうような素晴らしい石でした。
再出品されたなら、恐らくその2件は、スタート時点で3万円ほどの値をつけ、5万円以上でないと落札出来ないでしょう。そうした品物と一緒に出された1点物が「ガラクタ」であろうはずがないのです。
「天下為公」の言葉は、中国の人民が、長い間皇帝制度に隷属してきたことを戒めようとした孫文さんが好んで書いたそうです。日本ではあの麻生太郎さんがこれを揮毫するとか。意味が分かってるのか疑問ですが、あまりにも皮肉でちょっと笑えませんね。
その中国で、新皇帝とも言うべき「習近平さん」が3期目に突入しました。前職の「胡錦涛」元国家主席を万座の中でつまみ出させたのは、短い無言劇を見るようでした。これは、ひょっとしたら、これから世界に大きな影響を及ぼしかねない大国の「危険極まりない」転換点であったかも、と危惧するのはワタシだけでは無かろうと思います。
麻生太郎氏のくだりは、つい笑ってしまいました。
胡錦涛元国家主席の「摘まみだし」に過去の北朝鮮の身内でさえの静粛が重なりまして恐怖を感じました。
胡錦涛さんだって現職の時チベット民族の迫害を推し進めました。歴史は繰り返し、因果はいつか自分に降りかかるのだとも思います。