相変わらずチマチマとヤフオクのお品を落札しております。以前と比べて落札件数は大幅に減り、入札件数に対する落札率は1割程度になっております。これはいいな、といったものに「ウオッチ」のチェックを入れて、実際に入札するのは半分程度、値段が吊り上がっていくものはパスしています。原則として上限が1万円としているので、高額なものは手を出さないというのが散財やエスカレートした後の後悔を防ぐ防波堤であります。
ためしに過去10回分計算したら、落札価格は平均3千円でした。これではお父さんが帰りに一杯、というレベルなので、週に2,3回落札してもどうということはありません。宝くじで月に何万円も買い込んだりスクラッチくじをこすっているのに比べたらなんぼかましでしょう。
当然ながら、箱を開けてみると値段相応で、中途半端なもの、自分が想像したものと様子がちがうものも多いのです。写真と短い説明だけで応札するのですから情報が限られます。何万円にもなるような品ならば、海千山千の大勢の人が高値で入札するのですから、だいたいは貴重で価値があるに相違ないのです。しかし、オークションにポンと大金を出すほど懐に余裕があるわけも無し、安物に手を出せばお宝に巡り合う確率は下がります。そうは甘くないのです。
それでも、十把ひとからげの「印材まとめて」の数千円のオークションなどに惹かれる理由は、良品が紛れ込んできたりして、ささやかな「儲けた感」が得られることにあります。自分が「これはひょっとすると」と思った貴重な印材、プロの篆刻家さんの手になる名刻などがかなりの確率で混入しているのです。
最近落札した品物がこれです。
これだけで、6回の落札分の一部を並べてあります。
まず中央の印泥、これは詰め替え用の印泥で、容器(印合)は以前あった空のものに詰めました。これは印泥の中では品質がいいと言われる「式熊印泥」というブランドで、高価で流通量が少なく、数十年前のものはヤフオクでも滅多に出品されません。その時代や等級と容量(目方)で値段も相当違いがあるのですが、ワタシの手許には無くどうしても欲しかったのです。オークションの写真では、包んだビニールに¥3000,30gの表記がありました。よく見ると30gの3に手書きで5と書き直されていたのです。日本で現在市販されている「式熊上品30g」が箱と印合つきで6千円位。これを3200円で落札しました。定価3千円なら損になる計算ですが、届いたものを量ると50g、つまり2,30年前に5千円相当であったと思われるのです。これはちょっと得した気分なんですね。
次は下に敷いている半紙で、「麒麟」と命名された三椏の国産手漉2箱で、4980円でした。ワタシのひいきにしている伊予半紙です。手漉きの半紙は安い外国産でも一枚最低4円、高い国産だと20円近く致します。届いたものを見てみると非常に薄く、肌理が細かい紙質でした。滲みが少なく繊維が細いため仮名書きに適しているのですが、なんと一箱2000枚、入っていたのです。一枚1円強で入手できたのです。
更に真ん中にある印材二つは、小さいながらワタシが収集対象にしている「鶏血石」でありました。この大きさでも一個5千円は下らないのです。これがまとめて76点の印材8500円の中に隠れていました。
真ん中左の小さな印箱、これは残念ながら失敗の部類でありました。20個で4400円、箱が浅くて普通の印材が収まらないのです。なんでこんな物を作るかなぁ?まぁ仕方ない、そのうち使い道があるでしょう。
左の小さな木箱に入った印は32個で1500円の印材でありました。ワタシはよく見ないで、安いからつい入札したのですが、想像したものの1/4くらいのサイズでした。一個平均30gで47円!「うわ、ちっちゃ!これなら他の人も手を出さないわけだ」と思いました。ところが、実際に小さいもので5㎜前後の印面を見てみると、精緻で丁寧な出来なのです。上手な方が彫ったもので参考になる印ばかりでした。
一つだけ側款があり「鬼游 」と刻名されていました。埼玉県の篆刻家さんで、いくつか賞も取っている人のようです。こうした専門家の彫った印は、中古品としての取引価値などは問題でなく、真似して彫ることで技術を高める(盗める)のです。
これで、同じ出品者さんがまだ同様のお品を「まとめて」で6、7件出品してるのです。今度は、一個当たり100g~200gあります。印材そのものは普及品の青田石・寿山石主体なのですが、ワタシの読みでは、伊東鬼游さんの作が多数含まれているはずなのです。(おそらく鬼游さんの遺品整理かご自身の終活かでしょう)
今日のヤフオクは、ガーンといこうと思います。篆刻の技術向上の為であります。2万円の特別予算を組むことにいたします。
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