goo blog サービス終了のお知らせ 

美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

日本にとって、移民問題とは何か(美津島明)

2015年09月27日 23時54分10秒 | 政治
日本にとって、移民問題とは何か(美津島明)

またもや、チャンネル桜の討論会の動画をアップいたします。タイトルは、「移民問題とグローバリズム」です。有益な討論を展開しているので、「またもや」でもしょうがありません。

登場した七人の論客のなかで、私見によれば、日本人が移民問題を考えるうえでの、核心になる視点・視座を提供しているのは、三橋貴明氏でした。氏の議論の要点を述べておきます。氏の議論は、あの竹中平蔵氏が、「日本は人口が減少しているのだから、移民をどんどん受け入れるほかはない」と発言しているhttp://www.huffingtonpost.jp/2013/07/24/immigration_n_3642850.htmlのと、真っ向からぶつかるものです。好対照と言えるでしょう。竹中氏は、いま政府産業競争力会議で民間議員を務め、また国家戦略特別区域諮問会議で有識者議員を務めていて、アベノミクスの新自由主義化の陣頭指揮を執っている人物です。

三橋氏によれば、総人口はたしかに減少しています。しかし、生産年齢人口はそれを上回る勢いで減少しています。つまり、生産年齢人口の総人口に対する割合は、どんどん低下しているのです。以下のとおりです。



これが、経済的に何を意味するのか。それは、「総人口=需要」に対する「生産年齢人口=供給能力」が相対的に低くなりつつある、すなわち、現状におけるデフレギャップが近い将来インフレギャップに転化することを意味するのです。そうしてそれが拡大することを意味するのです。インフレギャップが生じた場合、それを移民の推進で解決しようとすると、日本人の実質賃金は現状よりさらに低下します。それに対して、移民に頼らず現有の日本人で対処しようとすると、人手不足が生じるので人件費は上昇します。つまり、実質賃金が上がります。その場合、インフレギャップを埋めるには、一人当たりの生産性を向上させるほかはありません。そのためには、投資をどんどん増やすほかはなくなります。すると、GDPが力強く増えることになります。つまり、高度経済成長が実現することになるのです。そのことで、実質賃金は相乗的に増加することになります。

だから、生産年齢人口の総人口に対する割合が低下しているときに移民政策を推進することは、大企業の人件費は確かに抑えられるでしょうが、国民の実質賃金を増やし、国民経済がいまよりもはるかに豊かなものになる絶好の機会を逃すことを意味するのです。

国民の実質賃金が向上すれば、少子化問題は次第に解決されることになるでしょう。少子化問題とは、要するに、結婚を断念せざるをえないほどに若者が貧困化しているということなのですから。

以上を要するに、人口問題に関して最も有効な政策はなにもしないことである、となるでしょう。なにもしなければ、デフレギャップはおのずとインフレギャップに転化し、高度経済成長と少子化解決の前提条件がおのずと整うのです。これを天祐と言わずして、なんと言えばよいのか。

以上が、三橋氏の基本的論点です。

私は、これが日本の移民問題を考えるうえでの基本的視座であると考えます(「なにもしなければよい」というのは、むろん説得術としてのレトリックです)。竹中平蔵の議論は、大企業の、人件費を削減したいという要望に応えるためだけに編み出された方便にほかならないのです。前提が間違っているのです。みなさまは、どう考えますか。

そのほかの論客でパワーを感じたのは、川口マーン恵美氏です。ドイツの移民問題を語る氏にとって、ドイツは頭のなかでこねくり回したものではなく、すべて身体に織り込まれてしまっているものであって、氏はそれをどうにか言葉にしているような、もどかしさを伴った自然体が感じられて魅力的です。いまが旬、の論客ですね。

それと、安倍首相がグローバリストかどうかという議論がありましたが、私見によれば、明らかにグローバリストです。この点で議論が分かれている限り、保守陣営は大した力にはならないでしょう。 (参考 http://saigaijyouhou.com/blog-entry-2196.html

では、アップします。

1/3【討論!】移民問題とグローバリズム[桜H27/9/26]

2/3【討論!】移民問題とグローバリズム[桜H27/9/26]

3/3【討論!】移民問題とグローバリズム[桜H27/9/26]
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

BABYMETAL(ベビーメタル)は、クールジャパンの王道を歩んでいる(一年後の再アップ) 美津島明

2015年09月27日 16時15分57秒 | 音楽
BABYMETAL(ベビーメタル)は、クール・ジャパンの王道を歩んでいる
つい最近のことです。ひょんなことから、BABYMETALなるグループの存在を知りました。このグループは、日本の芸能における特有の文化としてのアイドルの可愛らしさと欧米で生まれた...


一年前に、私が初めて取り組んだBABYMETAL論を再アップします。あのころは、「なんだ、これは」と驚いて、インターネットでいろいろと検索してみて、とりあえず思うところをアップしてみただけでした。ところがその後、DVDを3枚、ブルーレイを1枚、CDを2枚購入し、そうしてCDを1枚予約中、というけっこうディープなファンになってしまうとは、当時思ってもみませんでした。ちなみに、ライヴ参加の抽選には5回申し込みましたが、すべて落選です。顔の白塗りを条件とするライヴにまで応募しました。まあ、そんな感じです。年甲斐のない振る舞いとは思っていますが、この音楽ユニットには、往年のロックファンを引きつけてやまない魅力が横溢しているのです。どうぞ笑ってください、と開き直っておきましょう。

ところで最近、昨年の7月のソニスフィア・フェスティバルで披露された「イジメ ダメ! ゼッタイ!」がオフィシャル・ビデオとしてyoutubeにアップされたことに気づきました。テレビ番組にBMが出演してIDZを歌うときは大幅に短縮されてしまって、この曲の本当の魅力がBMを知らない一般人には伝わりにくくなっているので、とても残念に思っていました。だから、当動画を見つけたとき、私は心がパッと明るくなりました。「これで、IDZの凄さとBMの魅力が一般人にも伝わるはずだ」と思ったからです。

当動画の見どころについては、次のURLのブログ「オッサンの喫煙所」のなかの「伝説のソニス IDZ」で、簡にして要を得た秀逸な解説がなされていますので、ぜひご覧ください。彼女たちの緊迫感に満ちた表情が、その場の雰囲気を伝えて余すところがありません。 http://blog.goo.ne.jp/19630131/e/8cdd3157937aa89ea786ef28fe0ed3b0?fm=entry_awp


BABYMETAL - Ijime,Dame,Zettai - Live at Sonisphere 2014,UK (Official Video)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする