美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

株価の「大底」は、年内にはやってこないだろう

2022年05月11日 17時04分30秒 | 経済


いつ来るかと固唾を飲んで注視していたのですが、どうやら株価の下落プロセスが始動した模様です。それが正しい判断であるとするならば、4月の長短金利逆転(逆イールド)からひと月足らずで早速動きが生じたことになります。
で、気になるのは、今回の株価下落のゴールすなわち「大底」はいかほどの値で、下落プロセスはいつまで続くのか、です。

「グローバル・マクロリサーチ・インスティチュート」掲載の最新論考は、そういう興味関心に対して歴史的な資料を明示しながら答えようとしています。その意味で、とてもタイムリーな内容なので紹介することにしました。


***

2022年インフレ株価暴落はいつまで続くか
WWW.GLOBALMACRORESEARCH.ORG/JP/ARCHIVES/24209

2022年5月10日 GLOBALMACRORESEARCH

アメリカも日本も株価の下落が続いている。世界的なインフレでアメリカのFed(連邦準備制度)が強力な金融引き締め政策を行なっているからである。

*米国中央銀行FRBは、5月のFOMC会合で、通常の倍の0.5%利上げを行うとともに、2018年に世界同時株安を引き起こした時の2倍の規模の量的引き締めを発表しました。〔引用者 注〕

2022年世界同時株安
これは予想されていたことだった。少なくともここでは年始から次のように書いておいた。

• 2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する (2022/1/6)
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18367

株を買っている人は、自分が何故株を買っているのかもう一度考えた方が良い。少なくとも筆者には今株を買うべき理由が何1つとして見当たらない。

それで米国株の推移は次のようになっている。



そろそろ最高値から20%の下落になりそうだが、それでもこの下落相場はまだまだ始まったばかりである。

株価暴落はいつまで続くのか
さて、ここで投資家にとって問題となるのは株価暴落がどこまで行くのか、そしていつまで続くのかだろう。

比較対象になるのは常に過去の相場である。例えば同じようにパウエル議長による金融引き締めで下落した2018年の世界同時株安では、最高値から20%の下落となっている。



しかし当時はインフレではなかった。だから結局パウエル議長は自分の金融引き締めが株安を引き起こしていることを認め、引き締めを撤回した。だから20%で済んだのである。

だが今回は引き締めを止めるとインフレが止まらなくなってしまう。

• 3月のアメリカのインフレ率は遂に8.6%に
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/22933

だから中央銀行は金融引き締めを止められない。しかも量的引き締めの規模は2018年の2倍となっている。

• 5月FOMC結果、2018年世界同時株安時の2倍の規模の量的引き締め開始
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24032

*2018年のFRBバランスシートの縮小幅つまり量的引き締め額が月間300億ドルであったのに対して、今回は月間600億ドルの縮小です。それゆえ今回の量的引き締めは、2018年の世界同時株安を引き起こした時の2倍の規模ということになります。〔引用者 注〕

1970年代のインフレ株価暴落
それだけでも今回の株安が20%の下落では済まないことは分かる。では、過去に同じようにインフレで金融引き締めを止められなかった時の株価暴落はどうだったかと言えば、1970年代の物価高騰時の株価下落を見るべきだろう。



丁度半値になっている。ちなみにインフレに弱いNasdaqは60%の下落である。今の相場でもNasdaqの下げは大きい。

• ハイテク株の決算後株安はインフレ暴落相場の始まりに過ぎない
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/23641

*ハイテク株はなぜインフレに弱いのでしょうか。インフレは貨幣価値の減少をもたらします。たとえば、米国3月CPIの上昇率8.6%が5年間続くと約50%のインフレになります。とすると、5年後の100万円の収益の現在価値が100万円÷1.5=666、666円と大幅にダウンすることになります。インフレとはすなわち将来のキャッシュフローの実質的価値(現在価値)がそれだけ下がることを意味するのです。実質的価値の下落は、将来のキャッシュフローを織り込んでいた成長株(グロース株)にとっては大打撃となります。だからインフレはグロース株としてのハイテク株にとって天敵なのです。〔引用者 注〕

天井から大底までの下落幅を厳密に予想することはできない。だが今回の株価暴落の規模は2018年の20%というよりは、1970年代の50%に近いものになるということは間違いなく言えるだろう。

株安はいつまで続くか
一方で、「どれだけ下がるか」ではなく「いつまで下がるか」についてはもう少し厳密な予想が立てられるだろう。

中央銀行はインフレ抑制のために利上げや量的引き締めをしているが、以前も述べたように株式市場は住宅市場や実体経済よりも先に反応する。

だからこれから、株価がかなりの程度急落しても、インフレや住宅バブルが収まらない期間が続くことになるだろう。

その時中央銀行はどうするか? パウエル議長がある程度の株安を許容するだろうということは、以下の記事を読めば分かる。

• ガンドラック氏: アメリカ金融引き締めでソフトランディングは無理
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24193

だからFedは株価が下落していても金融引き締めを一定期間そのまま続けるだろう。

それが終わるのがいつかと言えば、インフレが鈍化し始める時である。実際、1974年の大暴落で大底となった1974年終盤は、アメリカのインフレ率(以下)がピークに達した時である。



だから株価がいつ大底に達するかということは、インフレ率がいつピークになるかを見ていれば分かるということになる。

インフレ率の推移
だが現在のアメリカのインフレ率はピークにはほど遠い直線的な上がり方をしている。



このインフレ率はジェフリー・ガンドラック氏が言うように、今後数ヶ月数字が鈍化する統計的要因がある。

• ガンドラック氏: インフレはピーク
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/23164

だがそれはあくまで統計的要因であり、今後数ヶ月のインフレ鈍化で中央銀行が引き締めを躊躇すれば、それは長期的にはより酷いインフレへと繋がってゆくだろう。

*「今後数ヶ月数字が鈍化する統計的要因がある」とはどういうことでしょうか。現在のインフレ率の比較対象となった2021年3月は、アメリカで最後の現金給付が行われた月です。それゆえ、今後発表される4月以降のインフレ率は、高騰した後の2021年のインフレ率と比較されてゆくことになります。とすると、2022年4月以降のインフレ率が「見かけ上」鈍化します。それが上記の「統計的要因」の意味するところです。〔引用者 注〕

結論
実際にはインフレ率が落ち着くのは(もし落ち着くとすればだが)今年中は無理であり、来年ということになるだろう。

それはつまり来年までは株価が下落しても金融引き締めが止まらない期間が続くということである。株式市場は地獄絵図となるだろう。

大底までの下落幅は1970年代の50%が大まかな目標水準である。しかしドル建てで米国株に投資している日本の投資家には、そこに更にドルの下落分が加算されることを指摘しておきたい。
(後略)


***

以上を端的にまとめれば、次のようになるでしょう。

株価の「大底」までの下落幅は、1970年代の50%が大まかな目標水準である。「大底」に達するまでの時期は、量的引き締めが続く時期であり、それはすなわちインフレが終息プロセスに入るまでである。インフレが今年中に終息プロセスに入るのは無理であり、少なくとも来年まで待たねばならない。それゆえ「大底」に達する時期は最短で来年中である。

けっこう恐ろしい話です。

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FRBパウエル議長の胸の内

2022年05月10日 20時42分32秒 | 経済


今回は「グローバルマクロ・リサーチ・インスティチュート」に掲載された最新の論考の紹介記事です。FRBパウエル議長は、5月3・4日のFOMC会合に関連して、タカ派的な利上げ政策を遂行しても株価暴落を避けることができるかのような発言をしました。が、実はそれはいわゆる「タテマエ」であって、「株価暴落は避けられないだろう」というのが本音である、というお話です。

「グローバルマクロ・リサーチ・インスティチュート」のもろもろの論考を読んできた者としては、そうだろうなという感想が浮かんできます。

***

ガンドラック氏: アメリカ金融引き締めでソフトランディングは無理
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24193
2022年5月9日 GLOBALMACRORESEARCH

債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューで金融引き締めの経済への悪影響について語っている。

金融引き締めとソフトランディング
Fed(連邦準備制度)は5月のFOMC会合で、通常の倍の0.5%利上げを行うとともに、2018年に世界同時株安を引き起こした時の2倍の規模の量的引き締めを発表した。

• 5月FOMC結果、2018年世界同時株安時の2倍の規模の量的引き締め開始
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/24032

アメリカでは現金給付と脱炭素政策のために物価が高騰しており、インフレ抑制のためには他に選択肢がないのである。

だがこの規模の金融引き締めはどう考えても株価と実体経済を殺してしまう。

そしてそれはパウエル議長も分かっている。分かっていないのは一部の個人投資家だけである。だからパウエル氏は聴衆を安心させるように記者会見で次のように言った。

ソフトランディングか、ソフトランディングのようなものを達成できる十分な見込みがある。

ソフトランディングのようなもの(原文:soft-ish landing)とは何だろう。

もうこの時点でかなり苦しいのだが、この表現に関するガンドラック氏のコメントを見てみよう。

記者会見のあの場面はパウエル氏が輝いていた瞬間ではなかった。

パウエル氏はそう言うしかない。それは理解できる。だが「ようなもの」という言葉からすでにアキレス腱が露出している


パウエル氏はそう言うしかなかったのだが、それでも彼はこれから市場と経済がどうなるかを知っているだろう。

何故ならば、パウエル氏は2018年に今の半分の規模の量的引き締めで世界同時株安を引き起こしているからである。

• 世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7959

パウエル氏はそれがトラウマになったために、インフレが明らかに高騰しても金融引き締めをやりたがらなかった。それで「インフレは一時的」と言い続けていたのである。

• ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14522

だがインフレが止まらなかったのでパウエル氏も諦めざるを得なくなった。それが「ソフトランディングのようなもの」が可能だという虚しい決意表明に表れている。

ガンドラック氏は次のように言う。

その見込みが五分五分よりも悪いことを彼は理解しているだろう。


景気後退へ
何度も言っているが景気後退と株価暴落は避けようがない

• 世界最大のヘッジファンド、アメリカ経済がもう手遅れであることを認める
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/22771

司会者は巨大ヘッジファンドCitadelのケン・グリフィン氏の「われわれは恐らくリーマンショック以後最大の不確実性のただなかにいる」という発言を持ち出し、ガンドラック氏にコメントを求めた。

ガンドラック氏は次のように答えている。

ポール・チューダー・ジョーンズからほとんど同じ言葉を聞いたよ。ジェフリー・ガンドラック、ポール・チューダー・ジョーンズ、ケン・グリフィン。これでハットトリックだ。

ちなみに筆者にとって2022年は未曾有の高リターンの年である。投資法を1月の時点でこれほど詳しく公開していたのだから、誰でも同じことが出来たはずなのだが。

• 2022年のスタグフレーションに投資する方法 (2022/1/20)
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18949

***

では、いつ株価暴落は起こるのでしょうか。基本的に「それは神のみぞ知る」というよりほかはありません。

しかし、FRBが量的緩和から金融引き締めへ政策転換し、インフレ対策としてのタカ派的利上げ政策の推進をしている現状からすれば、今後、株価が急降下する要因はあっても株価が継続的に上昇する要因はないとはいえるでしょう。一時的な上昇局面に惑わされて、大局を見誤らないようにしたいものです。

そうして、そのような米国株の、おそらくは今年から来年(の少なくとも半ば)にかけての数度の暴落局面を含む下落傾向に、長期インフレと基軸通貨ドルの地位低下と中露の台頭という長期的な「地殻変動」が複雑にからむことになるのでしょう。
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2022.5.8 国連安保理でロシアによる非公式会合【及川幸久−BREAKING−】

2022年05月09日 00時28分47秒 | 世界情勢
説明抜きで、とりあえずアップします。ぜひ、ごらんください。この動画は、アンチロシア派の方々であっても、到底無視できないものを含んでいると思われます。私たちは一日でも早く、自分たちが異常な言論空間に棲んでいることに気づくべきです。ロシア発の世界核戦争という、目前に迫った惨事を防ぐために。

2022.5.8 国連安保理でロシアによる非公式会合【及川幸久−BREAKING−】
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ゼレンスキーは、本当にバイデンの傀儡なのか

2022年05月05日 21時25分31秒 | 世界情勢


当方が、ネオナチ愚連隊であるアゾフ連隊がウクライナ正規軍であることをはじめて知ったのは、「グローバル・マクロリサーチ・インスティチュート」に掲載された論考を通じてです。

「アゾフ連隊: ウクライナ国家親衛隊に実際に存在するネオナチの暴力集団」
WWW.GLOBALMACRORESEARCH.ORG/JP/ARCHIVES/210974

そのアゾフ連隊が、MSMにおいてなんと「精鋭部隊」と紹介されています。唖然とするほかはありません。MSMの偏向報道ここに極まれり、との感想を抱いた次第です。

言い訳じみますが、当方はプーチンを擁護したいわけではまったくありません。ウクライナ戦争において本当は何が進行しているのか自分なりに見極めたいと思っているだけです。

ウクライナ大統領ゼレンスキーを「バイデンの傀儡」とする次の論考も、そういう思いで紹介します。

当論考の主張には到底無視できないものがあります。

というのは、もしも本当にゼレンスキーがバイデンの傀儡であるならば、当方が心から望む露宇戦争の早期停戦が実現することなどありえないからです。というのは、この世界でだれよりも露宇戦争の継続を望んでいるのは、バイデンであるだけでなく彼の意を汲もうとするゼレンスキーでもあることになるからです。

***

ウクライナ、ドイツ首相を「すねたレバーソーセージ」呼ばわりする
WWW.GLOBALMACRORESEARCH.ORG/JP/ARCHIVES/23979
2022年5月4日 GLOBALMACRORESEARCH

ドイツのシュタインマイヤー大統領がウクライナの首都キエフ訪問を断られた問題で、ドイツのショルツ首相がキエフ訪問を断ったことに対し、在ドイツウクライナ大使のアンドレイ・メリニク氏はショルツ氏を「すねたレバーソーセージ」と呼んだ。

ドイツとウクライナの軋轢
問題の発端はキエフ訪問を考えていたシュタインマイヤー大統領がウクライナ側に拒否されたことにある。

ウクライナによれば、理由はシュタインマイヤー氏がロシアの天然ガスをドイツに運ぶパイプラインの「ノルドストリーム2」計画を支援してきたことにあるという。

これはドイツ側にとって衝撃となった。日本とは違い、ドイツはウクライナに直接的な軍事支援をしている。その援助をしている国のトップが、支援している相手に門前払いされたのだから、ドイツ人の困惑は小さくないだろう。

ウクライナ側はドイツで実権を握っているのは象徴的な大統領ではなく首相だとして、ショルツ首相のウクライナ訪問を求めていた。しかしショルツ首相はシュタインマイヤー氏が拒絶されたことを理由に訪問を断った。

ウクライナ大使はショルツ氏の対応について次のように述べた。

すねたレバーソーセージのように振る舞うことは政治家らしくない。

ドイツの反応
レバーソーセージ(言うまでもなくドイツの特産品である)扱いされたショルツ氏は冷静に次のように述べている。

ウクライナの未来にとって安全保障が重要である状況で、ドイツがウクライナに対してこれほどの軍事的・財政的援助をし、それはウクライナに必要とされているにもかかわらず、「だがドイツ大統領は訪問するな」と言われて上手く行くはずがない。

恐らく、多くの日本人がウクライナのゼレンスキー大統領を(彼について何も知らないにもかかわらず)熱狂的に歓迎しながら、心の何処かで違和感を感じていたのはここではないか。

要するにウクライナ政府は相手を自分にとって役に立つかどうかでしか判断していない。しかも自分にとって役に立つ人間を「善」、役に立たない人間を「悪」とし、善であるウクライナの言う通りに振る舞わない人間をレバーソーセージ呼ばわりする。

明らかにこの部分が日本人の常識的感覚に引っかかったのである。

ウクライナ政府の望むもの
そしてゼレンスキー大統領が一貫して他国に求めてきたことは、ウクライナに武器を呼び込むことである。

そしてそれはアメリカの目的でもある。第2次世界大戦の被害に懲りた西洋諸国は、長年自国に戦争を呼び込むことなく他国に戦争をさせ、そこに自国の軍需産業が武器を売ることで商売をしてきた。戦うのがウクライナ国民ならアメリカ国民の犠牲は出ないということである。

ゼレンスキー氏とアメリカの利害は一致している。当然である。2014年にアメリカが支援した(事実である)ウクライナでのクーデター以後、ウクライナにはアメリカの外交官ビクトリア・ヌーランド氏が選んだ政権が据えられ、ウクライナでその後大統領が代わった後も例えばバイデン氏はオバマ政権下でウクライナを好きなように使っていた。以下の記事で報じている。

• ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20314

ドイツは元からアメリカの軍事的都合とは一線を引いていた。EUはアメリカほどNATOの東側拡大に積極的ではなかった。ロシアと戦争になれば被害を受けるのは自分だと分かっていたからである。

だが上記のヌーランド氏はアメリカの言いなりにならないEUに対し、「Fuck the EU」と発言し謝罪に追い込まれている。そして結局アメリカの都合でNATOは拡大し、そして今ロシアとぶつかったのである。

• ジム・ロジャーズ氏: 米国のウクライナ支援はロシアが米国直下のメキシコの反米を煽るようなもの www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20487

結論
上記の事情をゼレンスキー氏の態度と合わせて見れば、状況がようやく見えてくるだろう。日本では報道されていないが、そもそもゼレンスキー氏がロシアに対して核ミサイルを向けると発言したことが戦争の発端なのである。

• 真珠湾攻撃に言及したゼレンスキー大統領が広島の原爆には言及できない理由
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/21836

*「ゼレンスキー氏がロシアに対して核ミサイルを向けると発言したことが戦争の発端」は、聞き捨てならない言葉です。上記の「真珠湾~」から該当箇所を引用しましょう。長くなります。

《2月19日のミュンヘン安全保障会議でゼレンスキー大統領は「ブダペスト覚書」はもはや無効だと宣言した。何故西側のメディアに報じられていないのかまったくの謎だが、これが現在の戦争の直接的な原因である。

マスコミに踊らされて熱狂的にウクライナを支持している日本の人々は、当然ブダペスト覚書のことは知っているだろう。

1994年にハンガリーのブダペストで纏められたブダペスト覚書は、ウクライナに核兵器を放棄させる代わりにアメリカやイギリスにウクライナの安全保障を委ねるという意味の覚書である。ウクライナがこれを「無効」だと宣言することの意味は、ウクライナがその覚書に書かれた義務をもはや負わないというゼレンスキー大統領の宣言である。(中略)ゼレンスキー大統領は核兵器の保有を宣言したわけである。

2014年以降アメリカの傀儡となったウクライナ政権が核ミサイルを保有するとすれば、向けられる先は当然ながらロシアである。

ベルリンの壁崩壊以後クリミア併合までは何も言わずに西側の勢力拡大を黙って見ていたプーチン氏の堪忍袋の緒が切れるのは分かりきっていたはずだ。ウクライナの大統領がそれを知らないはずがない。

ぜレンスキー氏はそれを承知でロシアを核兵器で挑発し、ウクライナ国民を危険に晒した。誰のためかと言えば、バイデン氏の個人的事情のために検事総長を解任したウクライナ政権が誰のために動くかは言うまでもないだろう。》

仮に、百歩譲って上記のゼレンスキー発言が意図に反した失言の類であったとしても、大統領はその重過失を犯した責めを負うというよりほかはないのではないでしょうか。その後、自分の発言の「真意」を伝える努力をしていないところを見ると、事実上の確信犯と言えそうです。〔引用者 注〕


彼は自分で戦争を引き起こし、ウクライナ国民を犠牲にしながらアメリカの都合に従ってウクライナに武器を呼び込み続けている

昭和天皇をナチス扱いされ、感謝国リストから外され(誰も気付いていないがこの感謝国リストの取捨選択は人種差別的である)、ウクライナ政府を支持している日本人も流石に自分が何を支持しているのか分かってきたのではないか。真正のネオナチの愚連隊を正規軍として迎え入れている時点でウクライナ政府の思考はおかしいと何度も言っておいたのである。

今年の株価暴落もそうだが、何故この程度のことが人に分からないのか筆者にはまったく理解できないのである。

***

仮に、当論考の主張が的を射たものであるとすれば、ひたすらに可哀そうなのは、悲惨な目に遭い続けているウクライナ国民です。ゼレンスキーとウクライナ国民の利害は、本当に鋭く対立したものなのでしょうか。
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エミン・ユズマルさん動画【ただいま進行中の円安の真因】

2022年05月03日 20時03分25秒 | 経済


円安がとまりません。直近の動きを見ていると「円の暴落」と言っても過言ではありません。

日銀は4月28日、大規模な金融緩和策の維持を決めました。その結果、東京外国為替市場では円相場が1ドル=131円台をつけました。20年ぶりのことです。

日銀は、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を毎日実施することも決めました。「10年債利回り±0.25%堅持」というわけです。それが実は、急激な円安をもたらした決定的な要因です。

「指値オペ」を当動画ではYCC(イールド・カーブ・コントロール)と呼んでいます。以下、それに従いましょう。

今回は、当動画を参照しながら、円安の本当の原因や問題点をYCCを導きの糸にして掘り下げてみます。

まずYCCとは、日本銀行があらかじめ決まった利回りで金融機関から10年物国債を無制限に買い入れる公開市場操作(オペレーション)のことです。要するに、長期金利を想定内に抑え込むために金に糸目をつけない低金利政策です。

YCCを時系列で見ておきましょう。

日銀は2016年9月、10年物国債の金利の許容の幅(YCC幅)を±0.1%に設定しました。2018年7月、YCC幅を±0.2%に拡大し、2021年3月に±0.25%に再拡大し今日に至っています。

「4月28日に再々拡大があるのでは」との予想に反して、日銀が「±0.25%堅持」とアナウンスしたため、円安が加速したのです。

アメリカの直近3月の消費者物価指数8.5%(前年同月比)を筆頭に、世界はインフレの渦中にあります。それゆえ、利回りが極端に低い10年物日本国債の人気はガタ減りです。日本国債など誰も欲しくないのです。全世界が日本国債を売りたがっているのです。だから、日本国債の価格は下がり、利回りは上がります(国債の価格が下がると利回りが上がるのは、ざっくりと言えば「利回り=国債の表面利率+国債の売買益」だからです。同じ理屈で、国債の価格が上がると利回りは下がります。国債の売買損が生じるからです)。

YCCとは、「全世界がそんなに日本国債を売りたがっているのならば、全部日銀が買い取るよ」という政策です。

では何で買い取るのか。円に決まっています。それはどこにあるのか。日銀は通貨発行権を独占しているのですから、刷りたいと思った分だけ新たに刷ればいいだけのことです。

このようにして円の供給量がダブつき円安が進行します

それだけではありません。

アメリカの10年物国債を世界で一番保有しているのは目下日本です。その日本の通貨・円が価格を下げることによって、円の購買力が低下します。それは米国債に対する需要が減るのと同じことです。その分だけ米国債の価格は下がり、利回りは上がります。

その結果、日米金利格差は拡大します。つまり円安がさらに促進されるのです。

目下の日銀YCCが円安を加速させていることが、以上でよく分かるのではないでしょうか。

それにしても日銀は、「円の暴落」と言っても過言ではないような事態を招いてまでも、なにゆえYCCを堅持するのでしょうか。

それはYCCを継続しなければならない事情があるからです。

その事情とはいったいなんでしょうか。

おそらく日銀は、量的緩和とYCCの継続をしなければ株価が暴落すると考えているのでしょう。言いかえれば、量的緩和による潤沢な円が株式市場に向かい続けるには、低金利政策を継続するよりほかにないと考えているのでしょう。でなければ日銀総裁ともあろう者が、トルコ・リラの暴落を招いたエルドアン大統領のような経済のド素人と同じようなことをしでかすわけがありません(ちなみにエルドアン大統領は、インフレ状況下にもかかわらず利下げを求めました。それがトルコ・リラの暴落を招いた主因です)。

では日銀は、なにゆえ量的緩和とYCCの継続をしなければ株価が暴落すると考えているのでしょう。それは日本経済がデフレ不況下にあると考えているからでしょう。めぼしい投資先としての日本企業が見当たらない、と。

さて、日本がデフレ不況下にある主たる要因はなんでしょうか。それは、日本経済がデフレ不況の泥沼から顔を出そうとするたびに、日本政府が消費増税を繰り返してきたからです。

それゆえ、消費税の凍結もしくは百歩譲って消費減税の断行が、日本経済のデフレ脱却の絶対条件であることは自明でしょう。

ここまで考えを進めてくると、次のようにまとめることができそうです。

日銀がYCCを続行することによって、トルコ・リラと見まがうばかりの円の「暴落」ともいうべき事態を招いているのは、消費増税に代表される、日銀の緊縮財政を堅持するためである、と。

当方によれば、これが円安加速化の真因です。そうして円安の加速化は、輸入品価格の上昇を招きます。つまり円安は、物価高を促進するのです。

日銀は、財務省の緊縮財政を守り抜くためなら、一般国民を未曾有のインフレに丸裸でさらすことなどヘッチャラのようです。


急激な円安、その背景とは 〜20年来の円安水準、そして今後の展望〜
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