マサチューセッツ工科大学名誉教授ノーム・チョムスキーによれば、
「誰が世界を支配しているのか?」を理解するには、アダム・スミスのいう「人類の支配者」を無視することができない。彼の時代における人類の支配者とは、英国の貿易商や工場主だった。
私たちの時代では、多国籍企業や巨大な金融機関、超巨大小売業者などだ。
アダム・スミスといえば、彼のいう「邪悪な処世訓」にも関心を向けるべきだ。人類の支配者たちが信奉する、「すべては自分のもの、他者には何も与えない」という処世訓だ。
彼の指摘は鋭い。
トランプやバイデンが「世界を支配している」様に見えるが、実際は国家以上に大きくなった多国籍企業だ。
突き詰めれば「誰がお金を支配しているか」であろう。
日本においても安倍・菅政権が8年以上にわたってこの国を支配しているが、この間国民の生活は豊かになったであろうか?
大手企業のみが500兆円近くの内部留保をため込んだ。
一方で国民は5%の消費増税で苦しんでいる。企業には法人減税が大盤振る舞いされたのにだ。
このような結果を招いたのは国民の側にも責任がある。
国民の意志を伝える最終的な手段は選挙である。半数の人間が棄権するような国がまともな「民主主義国家」と言えるであろうか?
「国民が豊かになる政策」を目指している政党を選択しなかった、あるいは育ててこなかった咎は結局国民が負うのだ。
ノーム・チョムスキーは述べる、
米国の支配層の見事な業績の一つは、怒りの矛先を企業からそらし、政府に向けさせたことだ。政府は私企業が考えたプログラムを実施するだけなのだがーーー