維新による「大阪都構想」は、あえなく潰えてしまった。
大阪市を廃止して4つの特別区を作るという提案だが、NOを突き付けた大阪市民は賢明な選択をしたと思う。
もしこの住民投票が賛成多数となれば、住民サービスの低下は明らかだったからだ。
「二重行政の解消で、さらなる経済成長を」との訴えも虚しく響いた。
1996年を起点にして関西の実質地域内生産(実質GDP)は、一貫して他の地域より劣る。
北海道・東北よりも低いのだ。
維新が政権を獲った10年前からこの傾向は変わらない。
(さらに2015年大阪府内の総生産は愛知県に抜かれ3位になった)
そのわけは、強みとなる成長産業がないこと。
カジノとか万博誘致に奔走したようだが、極めて目線の低い施策だった。
維新の会は旗印を失った。衰退過程に入ったと考えるべき。
野党でも与党でもない「ゆ党」という位置取りだった。
しかしその実態は安倍・菅政権の別動隊。
掲げる政策は、大阪都構想、二重行政解消、規制緩和、統治機構改革などだが、目玉政策が飛べば、もう存在理由はない。
公明党の混迷が極まる、結党の原点に戻るべきだ。
公明党の支持者は、反対が54%だ。
「公明は風見鶏じゃないか。維新におびえを感じたと、なぜはっきり言わないのか。私は不信感を持っている」
これが創価学会員の正直な声だろう。
菅政権に打撃、「カードを1枚失った」
与野党対決法案で維新は、しばしば与党案に賛成してきた。
その見返りに、カジノや万博誘致にメリットを見出したのだろうが、目先の策に溺れてしまった。
「大阪都構想」の消滅で、自民、公明、維新の間の複雑な関係がねじれてしまうだろう。
今後、公明党の支援団体である創価学会から、「自民べったり」の見直しが出てくる可能性がある。