ロシアによるウクライナ侵攻やアメリカのペロシ下院議長の台湾訪問などに触発されて、防衛費増大に歯止めがかからない。
しかもその増大分をどのような財源で賄うかの議論もなく、またもや安易に国債でという意見が増えている。
軍事費を歯止めなしに増大させてソ連が崩壊したように、多くの世界帝国は過大な軍事予算で崩壊した。
自民党はストレートに、
「増税してでも防衛費を強化すべきか」国民に問うたら良い。
大部分の国民は反対するだろう。
文芸春秋10月号、軍事アナリストの小川和久氏の「台湾危機は正しく恐れよ」という寄稿文がある。
台湾上陸の能力がない中国、という部分は大いに参考になる。
台湾に侵攻して上陸するためには百万人規模の陸軍部隊を投入する必要がある。しかし中国にはそれだけの部隊を運ぶ船がない。
よって中国による台湾侵攻は起こりえないと結論づける。
蒙古が1274年(文永の役)と1281年(弘安の役)日本に攻めてきたことがある。
蒙古は高麗を属国化し朝鮮半島から北九州に攻めてきた。
この時日本には神風(台風)が吹いて助かったと言われているが、これだけを強調するのには問題がある。
一つには肥後の御家人竹崎季長や肥前の御家人白石通泰などが奮闘した。
二つには博多湾沿岸に約20㎞にわたって高さ3メートルの防塁を築いた。
まさに「専守防衛」であろう。
小川和久氏も指摘するように日本の「防衛論」に欠けているのは「冷徹なリアリズム」。
その意味では「敵基地攻撃能力の保持」などは浅はかな素人考えだろう。
わが国の領海内に侵入してきた相手に反撃する能力の保持が必要なのだ。
アメリカがウクライナに貸与したと言われる「ハイマース」などの能力保持だ。
さらには、急を要するのが世界最低レベルで、ネットワークは穴だらけという「サイバー防衛能力」
国大なりと雖も戦いを好めば必ず亡ぶ。
天下安しと雖も、戦いを忘るれば必ず危うし。 司馬法