自民党の安倍派は100人の規模を誇る第一派閥だが、1年を過ぎるが未だに後継者が決まらない。
要するに、後継者はどれも「帯に短したすきに長し」か、「どんぐりの背比べ」なんだろう。
そこで何とか格好をつけたのが、塩谷座長と5人衆を中心とする「常任幹事会」で話し合っていくということだ。
(松野博一・高木毅・西村康稔・萩生田光一・世耕弘成)
山本七平によれば、「日本型組織」における物事の決め方は、「当事者同士で話し合って決める」やり方だという。
「もう1年経ったのだから会長は多数決で決めようや」などとは絶対ならない。
大企業でも町内会でも似たようなものだ。いつの間にか決まっている。
今回の決定で大きな不満を持ったのは下村会長代理だ。
早くも分裂含みの観測が出ている。
5人衆の後見人を自称?するのが森喜朗元首相だ。
安倍派の後継会長は、森元首相だという笑えないジョークが本当らしく聞こえる。
この人は知性はありそうに思えないが、誰が物事を決めるキーパーソンかということをかぎ分ける動物的感を持っている。
今回、安倍派を仕切ろうと思ったら「誰が入閣するか決めるパワー」を持つことだ。
岸田首相と同窓だというパイプが物を言う。
塩谷座長より森元首相にごまをすった方が確率は数段高い。
しかし自民党の最大派閥が、江戸時代よりもずっと前の鎌倉時代に確立した「決定方法」をいまだに踏襲している。
「日本的うやむや」のスタイルから抜け出せないようだ。