ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月の円ドル為替レートは115円程度だった。
この後、ジリジリ円安に傾きピークには160円を突破した。
エネルギーの需要不安から日本のような資源輸入国は円安に傾くとともに物価の上昇が始まる。
こうなると政府は打つ手なしだ。
日銀の黒田総裁はアベクロミクスにこだわって金融超緩和を続けるのみ。
政府は、電気・ガス代やガソリン代の補助で一時しのぎをいまだに続けているが、国民の生活実感は悪化の一途。
日銀の植田総裁(2023年4月就任)は、勇気を振るってゼロ金利政策を修正して金利引き上げに動いた。
ところがこれを見た投機筋が大慌てだ。
水鳥の羽音に驚く平家の軍勢のように、円キャリートレードの修正に動いた。
金利の安い円を借りて金利の高いドルを買って利ザヤを稼ぐというせこいやり方なのだが不意打ちを食らった格好だ。
昨日の円ドルは145円程度になっている。
9月にアメリカのFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が利下げを決定すればさらに円高が進むだろう。
円安で労せずして収益を上げていた輸出企業は打撃だろうが、国民生活にはプラスだ。
「疾風に勁草を知る」という言葉があるが、厳しい環境に立ち向かうから企業は強くなれる。
甘い環境に慣れれば努力をしない。さらには不正検査で隠蔽までする。
これからが企業の本当の実力が試されると腹をくくるべきだろう。