中国武漢市発の「新型肺炎問題」は、燎原の火の如く広がり止まるところを知らないようだ。
習近平政権は威信をかけて立ち向かっているようだが、初期対応の失敗により簡単に収まりそうもない。
世界保健機構はようやく緊急事態を宣言したが、中国への配慮があって遅れたとの批判が上がっている。
この十数年、中国経済は順調に拡大してきた。
しかしアメリカにトランプ政権が出来て、明らかに「中国たたき」のモードに入っている。
中国の内需は着実に増加してきているが、未だに輸出に頼る比率は高い。だから米中の貿易戦争はダメージになる。
そこへ今回の「新型肺炎」騒動だ。
2~3月中に抑え込めれば経済への打撃は少ないだろうが、だらだらと続くようであればダメージは大きい。
このような災害に近い状況に対して、世界からあまり中国擁護の声が聞こえてこない。
どちらかというと「お手並み拝見」といったところか。
この辺は今まで傍若無人に振舞ってきたツケが出てきたのかもしれない。
このような状況にある中国に対して米国がどのような対応をするか、注視しておく必要がある。
世界のリーダーとしてのプライドを捨てて中国たたきに進むのか、それとも支援に回るのか、今後の世界経済を占ううえで極めて大きな要素だ。
日本は近隣国だから完全な「水際作戦」は不可能だろう。
もうすでに破られている。
国内の感染拡大阻止のための施策を緻密に行うと同時に、中国に対しては人道的立場で十分な支援策を実行すべきだろう。
本田宗一郎の右腕としてホンダの成長を支えた藤沢武夫に次のような言葉がある。
「たいまつは自分の手で(Carry our own torch)」
1959年に米国販売会社として設立されたアメリカン・ホンダ・モーターで語り継がれている言葉だという。
同じことは国についてもいえる。
大きなたいまつを掲げる大国に何も考えずについていくのは簡単だが、それは自国の未来を他人の手に委ねていることでもある。
おそらく今回の「新型肺炎」問題は、中国の拡大に歯止めのかかった転機点だったと記録される可能性大だ。
日本はバブル崩壊で成長が止まったが、中国は「新型肺炎」になるかもしれない。