ケ時々ハレ・2

楽しむために、「晴れ」のために「褻」を生きてます。左脚も人工股関節にしました。右人工股関節はライト、左はエルといいます。

2021年6月3日(木) 「ビッカビカの一年生」

2021-06-04 12:09:00 | 演劇
ネタバレがあります。







小林晴香改め秋月はるかさんの舞台「ビッカビカの一年生」を観る。


最近はどこでも感染対策で、ペットボトルの水は飲んでもいいと言われるので助かる。

東京医大の研修では、10分おきに口内の汚れを胃に流し込めと教わったものね。


シュールだけど、おもしろかった~!

なんだこれ、なんだこれ、と思っている間にどんどん引きずり込まれる。


「土曜日の深夜の1:00に子どもの学芸会を観に来たつもりでご覧ください」

という脚本・演出の女性の前説。


「ミュージカル オニ―」

鬼の女の子、小練ネコさんの歌がうまいと思ったらミュージカル畑の方だった。


「役者がものすごく暴れます」

という説明通り、本当にはるかさんはじめ全員が大暴れ。

むしろ暴れていないはるかさんを観たことの方が少ない。


「接吻」

演出助手役のまるさんを見て、渡辺芽以を思い出した。

おもしろい。


すごく好みだったのは、3回に分かれていた「だ~れだ」

これもシュール。

焦っておびえながら怒り出す男性がめちゃくちゃ笑えるし、真顔で目を隠し続けるネコさんとはるかさんの表情が怖くて最高。

ネコさん、どこかで観たことがあるような気がするんだけど。


「これからのひと」

これも大好きだった。

暇で暇で騒がずにいられない女1(舞薗ミチルさん)。

おとなしくしててと言う女2(まるさん)。

この人たち、監禁されてるのかなと思いきや女3(小練ネコさん)が散歩から帰ってきたところで気づく。


散歩といってもそんなに歩く場所ないじゃない。

紐がからまったら大変なんだよ。

そして壁の外から聴こえてくる「乙女のポリシー」。


(『はばたくチャンスが食べたいよう』とカレーのことだと思い込んで言っていた4歳の頃の娘を思い出す)


三つ子なのね!

胎内で退屈してるのね!


壁の外で始まる両親の喧嘩。

あ~、きついよね。

胎動止まるぐらいのショックだよね。


いや、おもしろいな~~!


換気休憩後の「PEEPER!」、これもおもしろかった。

あいのり、ラブワゴンを彷彿させる。

見ながら解説する舞薗ミチルさん、おもしろかった。


はるかさんのスピ村さんが、また最高におもしろかった。

はるかさんも歌ったのよ。

そしてうまいのよ。


ああ、歌うまくなりたいなぁ。


世にも奇妙な物語的な展開になったあとの、はるかさんのサービス精神満点なスケベ先生。


旦那様、観にいらしたりするのかしら。

背が高くて、胸も綺麗だから、いいなぁ。


ちょうど、どの年齢でもできるお年頃だね。


全体的に圧倒されつつもおもしろかったのだが、気になることが2つ。


ひとつは、みんなが本当に暴れて大騒ぎするので、聞きたい台詞を言っている人の声が聞こえないこと。

最後の最後の舞薗さんの台詞も、前半が聞き取れなくて残念だった。

あれ、決め台詞なのに。

なんて言っていたのか知りたい。


あと、もうひとつは芝居とは関係ない話なのだけど、最近よく見聞きする丁寧語の誤用。

(若い方だけでなく、じいさんばあさんでもやる)


とても誠実な丁寧な主宰の方だったので、そこだけ残念でした。


「いる」の丁寧語  「います」「おります」

「ある」の丁寧語  「ございます」


「お願いしています」  「お願いしております」 

「思っています」  「思っております」〇

「お願いしてございます」、「思ってございます」は日本語として妙です。


具体例が思い出せないけど「おります」の場面で「ございます」が頻発されていたので、気になりました。


芝居自体がおもしろかったので、日本語を生業とする方々には美しい日本語を使っていただけると嬉しく存じます。(こんな感じ)


テアトルエコー「ら抜きの殺意」のDVDを観ると、わかりやすいです。

けっこう詳しく説明されております。

(これも『ございます』ではなくてね)

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3月9日(金) 「LOST PIANO CHILDREN」

2018-03-09 22:22:24 | 演劇
「LOST PIANO CHILDREN」を観て来た。
先月、石川寛美ワンコイン演劇ワークショップを行なったワテラスのコモンホールにて。








キャラメルファンのマルコさんからのお花が。





キャラメルボックスの真柴あずきさんが脚本家。
石川寛美ちゃんが演出、と同時に出演。
「ピアノを巡る物語を一緒に作ってほしい」
と、寛美ちゃんが真柴あずきさんに頼んで生まれた物語であるらしい。

私はキャラメル慣れしていないのだが(今までに4〜5回しか観ていない)、すっと入れた。
客席にはファンであろうリピーターの方が多く、最初のシーンからすでに泣いている。
きっと反芻しているのだろうね。

坂口理恵さんには引き込まれた。
甘露のような余韻のある声と芝居。
エコーの澤山さんは、昔の寛美ちゃんに似ている。

終始、ピアノが鳴っているような世界で、あまりに綺麗なので私はきっと泣かないだろうと思っていたが、終盤、坂口さんにやられた。
坂口さんの内面が唐突にバッと溢れる場面で、胸の痛みも眉間の皺もなく、あれっ?と思うと涙がこぼれていた。
こんな泣き方したの2度目だ。
(前はいつだったか覚えていないが、たぶん映画か舞台を観たとき)

劇団ぷちの演出家に強く勧められて観たのだが、観てよかった。

3月3日には、おこちゃんプロデュース、おこちゃん原案の芝居を観て来た。
今日は寛美ちゃんプロデュース、寛美ちゃん演出の芝居を観て来た。
魅力的な大人になっている2人。
多くの後輩を育てている2人。
同期生たちの上に流れたのと同じ長い時間を、私はどう過ごして来たのだろうね。
でも大丈夫、今からでもできるから。
これからの人生で、今が一番若いから。

蛇足。
今日のキャラメルボックスの若い俳優さんが、話題の人物によく似ていたなぁ。
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7月7日(金) 小さな短編演劇祭

2017-07-13 18:40:30 | 演劇
呆然と1日を過ごし、終業後は下北沢へA☆MWのほびっとの出る芝居を観に行った。

「小さな短編演劇祭~『きみにときめく』・『屋上のおとこ』・『水の器』」










ほびっとはA☆MWの誇るワーキングアクター。
立派な企業の正社員としてフルタイムで仕事をしながら、アフター5や週末をフルに使って芝居をしている。
1本の芝居の稽古中に、別の1本の本番があったりする。

彼の活動を見ていて、仕事をしながらでも俳優でいることができるんだと初めて気づいた。
俳優でありながら、副業をしている人は山ほどいるのに逆の発想がなかった。
ほびっとに限らず、A☆MWにはワーキングアクターが何人もいる。
彼らのおかげで私は発想の転換ができて、勇気が湧いた。
時間の配分がハードで、若いからこそできる部分もあるのだろうが。

閑話休題。

ほびっとは1話目の「きみにときめく」に出演。
男性2人の芝居。
(元々は女性2人の芝居だったとか)

ここでちょっとだけ(マチネでもないのに)マチネの呪いにかかってしまった。
ほびっとのナチュラルな芝居は耳に残っているが、相手役に多少の違和感あり。

「屋上のおとこ」は男性2人の芝居に、女性が加わる。
これはわかりやすいし、好きなテーマだ。
ただ、屋上に見立てた舞台の端に俳優が立つと怖くて悲しくなった。
落ちないで、落ちないでと思う。
屋上のおとこの芝居はまたナチュラルで好き。
私はナチュラルな芝居ができる俳優って好きだ。

「水の器」はちょっと凄かった。
最初から出ている女性2人の会話が、ちっともわけがわからなかったのだけど、途中から「お?」となって、「おおお!」となって、思わず一緒に来ていた仲間と顔を見合わせたら、向こうも「おおお!」という顔をしていた。

聞き流してしまった、それまでの会話が気になってしまい、上演台本を購入。

なぜ水を頭からかけねばならなかったのかはわからないけど。

こんなに舞台の台本を書こうとしている女性がいるのね。

ふと我に返るたびに思い出す。
しゅうちゃん・・・。
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6月18日(日) 「パーマネント野ばら」

2017-06-19 20:40:22 | 演劇
横山清崇先生が出演なさっている「パーマネント野ばら」を観て来た。








ぴろちゃん、よっこさん、めいちゃんと一緒。
劇場でホビットとシゲちゃんにも会った。

劇団た組。
「たぐみ」かと思ったら「たくみ」と読むようです。

ご存知西原理恵子さんの名作が原作です。





ずいぶん前に読んだものなので、観劇前に読み返した。

ダーリンは70歳とか、画力対決とかをイメージしているととんでもない。
毎日かあさんももちろん違う。

原作ではサイバラの絵とネームのインパクトの陰にいろいろキラキラした物が紛れてしまっている。
そしてたぶんサイバラはわざとそうしているのだけど、舞台化したことで、その紛れたキラキラがとても観客によく見えるようになっている。
二次元を三次元に起こす作業というのは大変だ。
真似できない。

ぴろちゃんの隣、最前列センターの席にジャケットがかけられていて、いつまでも人が来ない。
これはあれだ。
配達人のおじさん席だ。
横山先生がいらっしゃるのだ。

出戻ったなおこは、母の営むパーマネント野ばらを手伝っている。
母の愛人やら、そのまた愛人やら、昔の同級生やらがいるが、女たちの会話はえぐい。
あまり幸福でない女たちなので、なおえぐい。

横山先生は「なおこの好きな人」。
「なおこの好きな人」がいる浜辺だけは清涼な風の吹く綺麗な風景。

とても静かで、とてもやさしくて、女の気持ちを逆なでしない話し方。
すべて受け入れてくれる相槌。
そっと肩にかけてくれるジャケット。
それがあまりにも綺麗で、あまりにも静かで、あまりにもやさしくて、かえって違和感を感じるのだ。
たぶんストーリーを知らずに観た人にも、あの違和感は伝わると思う。
横山先生が、正確に醸し出している違和感なのだと思う。

その違和感の正体については、ここでは書きません。
読むなり、再演実現を祈るなりしてください。

とにかくサイバラは凄い。

ずっとなおこを見つめ続けていて、隣にぴろちゃんがいるのにも気づかなかった横山先生も凄過ぎる。

娘のモモちゃんのオチは原作にはなかったような気がするが、あれでとどめを刺された。

観てよかった〜!

私が一番好きなエピソードは割愛されていた。

ゆきママのお母さんが
「じいさんがたおれたで。今、虫の息じゃ」
と言いに来る。
「救急車は?」
と聞かれると
「いんや、今日は天気がええけん、今日死なしちゃる」
というエピソード。

舞台を観て再確認した「パーマネント野ばら」の良さ。





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2月24日(金) 劇団ヨロタミ「代役!」

2017-02-27 19:54:25 | 演劇
終業後、シアターグリーンへ。

劇団ヨロタミ「代役!」を観た。
南井貴子さんが気に入って、また観たいと思ったのだ。
(会社の同僚の同級生でいらっしゃる)

フライヤーにまず惹かれた。
裏と表でこんな感じ。











この裏の5人が代役なんだなとはわかる。

真ん中の赤い方が作・演出の坂本直季さん。
彼だけは二役なのだ。
アイドルと、そっくりな父親。
この父親の出現で代役をたてようという案が浮かぶ。

5人のアイドルは生牡蠣にあたって食中毒、本番の舞台に立てるかどうかの瀬戸際。
スタッフは、大人の紙おむつを用意し、袖口上下に各2個ずつのバケツを用意した。

年末に感染性の胃腸炎にやられた私は、まさにどっちを先にするか状態だったのだが、舞台の本番中の役者がこういう状態に陥ったらどうするのだろうと私はかねがね心配していたものだ。
(自分の数少ない経験から言うと、どんなに下痢していても本番中だけは痛みも下痢も止まり、終わった途端にまた始まるということがあったが、それはただの「冷え」だったわけで、本当の感染症の胃腸炎だったら、そうのんきな状態ではいられないだろう)

その長年の謎が解けた舞台。

5人のアイドルが命からがら劇場に到着するまでのスタッフの右往左往っぷりや、スポンサーの寿司チェーンの社長や株主たちが観に来るという日に、ナマモノにあたったとは口が裂けても言えないマネージャーの苦悩がおもしろかった。

歌って踊って、吐き気や腹痛に襲われるアイドルたち。
その都度代役(劇中でのスタッフ)が交代してダンスやアクションをこなす、そこはおまけのショーで、観客サービス。

作・演出・二役の坂本直季さんが最高。

9月に観た「硝子の途」のような、じっくりした会話の中に笑いが紛れ込む芝居も好みだが、こんな風に出演者が追いつめられて、困って、パニクるのも大好き。

おもしろかった〜!
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1月27日(金) 「鯨よ! 私の手に乗れ」

2017-01-29 14:38:58 | 演劇
シアタートラムへ。
オフィス3◯◯の「鯨よ! 私の手に乗れ」を観に行った。








ものすごいキャストで、フライヤーを見るなり予約した。

渡辺えり、鷲尾真知子、久野綾希子、木野花、絶対観たい!

田根楽子さんが体調不良で出演できなくなり、初日12日前に銀粉蝶さんが代役に。

3◯◯を観るのは初めてなのだが、こういう芝居だとは知らなかった。

認知症の老女の施設で、元劇団員たちが過去に上演できなかった芝居の稽古を始める。
過去と現在と妄想と現実が交差して、観ている方もどの世界が実在するのかわからなくなって来る。

久野さんが鮮やかなワンピースにスーツケースを持って現れ、歌い出したところはエビータにしか見えない!
若い俳優たちはタップも披露するし、ミュージカルになってる。

急な代役の銀粉蝶扮する白髪の認知症のおばあちゃんは、ものすごくカッコよかった。

ところどころ深く響く台詞があって、特に鷲尾さんの台詞は、役者になれずに年老いつつある我が身にビシビシ響き、思わず脚本購入を申し込んだ。
申し込みした人の人数分だけ印刷するそうだ。

最初はなじめず難解だったが、なんだかものすごい圧を持った芝居で、胸のあたりにドーン!と叩きつけられた感じで、なかなか動悸が治まらなかった。
これは観てよかったよ。

鷲尾さんや久野さんが出ていなかったら、観ようと思わなかっただろう。
感謝。
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11月9日(水) 大森カンパニー「いじはり」

2016-11-15 19:35:53 | 演劇
横山清崇先生出演の舞台、大森カンパニープロデュース「いじはり」を観に行った。







演出しながらご自身が舞台の本番、凄くないですか。

演出できる役者さんって本当に尊敬する。
俯瞰で見る目を持っている役者ということだもの。
熊倉さん、賀原さん、川端さんもそうだ。
私には無理。

閑話休題。

坂本明さん、私の大好きな某俳優さんにそっくりになっていた。
まだ、そんな年齢ではないはずだが。

笑う気満々で行ったのだが期待を裏切らない。

まもなく千秋楽だが、再演がないとも限らないのでストーリーには触れない。

横山先生は踊る踊る。
ダンサーの役であるわけだが、ダンサーを志したきっかけを語るシーンがあり、その理由に爆笑。
とても変な人で、とてもおもしろい。
そして、本気で「げっ、マジか!」と言わされる。
横山先生のしたり顔が憎い。

笑わせるだけでなく、泣かせるだけでなく、よく動く。
JACかと思うほどのアクション。
その中にバレエ、日舞。

ちょっとでも間が狂ったらケガ人が出るだろうというほどの動き。
特に若い女優さん、仲村星凛さんの動きに目を見張った。
カッコいいわ。

人間レーダー・レッドの伽代子さんも素敵だった。
声が綺麗。

山口さん、老けたなぁ。
若い頃から老けていたけど。

客席にエコーの先輩、小宮さんがいらした。
(愛ちゃんの隣の隣。ちなみに愛ちゃんの隣は五東由衣さん)
仕事帰りのお芝居、元気が出ます。
特に笑うのが一番、心身ともにいい。

いいお湯でした。




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9月29日(木) 笹塚放課後クラブ「容疑者Xの献身」

2016-09-30 14:52:06 | 演劇
中野ザ・ポケットで、演劇集団 笹塚放課後クラブの公演「容疑者Xの献身」を観た。






元ジェイのすーちゃんが出ている。

すーちゃん、よくテレビで見ているのだが会うのはすごく久しぶり。
幡ヶ谷で純さんワークショップに参加していた時以来かもしれない。
震災前だな。
すーちゃんの台本芝居を観るのも初めてだ。

東野圭吾の「容疑者Xの献身」の舞台化。

容疑者Xのみならず、ガリレオシリーズは未読である。
映画の「真夏の方程式」を見たことがあるだけ。

観る前に原作を読んでおきたかったが、時間がなくて全然読めず。
積んでいた「探偵ガリレオ」の2~3話分を読んだだけだったのだが・・・。

凄かった。
東野圭吾だなんて、あんな緻密なミステリーをあそこまでわかりやすい舞台劇にするとは。
脚本に起こしているのは、針ヶ谷修さんという役者さん。
すーちゃんによると、ここは原作のあるものしか上演しないという。
浅田次郎だったり、荻原浩だったり。

映画化されているとはいえ、東野圭吾の難易度は高いのではないかと思う。

未読でもすごくよくわかる。
小さな伏線まで、さりげなくちゃんと見せてくれている。
言葉で説明し過ぎない。

すーちゃんはナチュラルな芝居が魅力の素敵な女優さんだが、全体的にそんな感じだった。
そして、ちゃんと台詞が聞こえてくる。

原作を読まずに見始めて、知っているのは湯川のキャラぐらいだったが、最初からグイグイ惹かれたのが石神役の佐藤太さんだった。

人気作とはいえ、私のように未読の人もいるだろうから詳しくは書かないが、あまりにも石神が魅力的過ぎた。
パッと花が咲いたような魅力ではなく、もっとこの人を見ていたい、もっとこの人の話すのを聞いていたい、そんな風に思う。

途中で、
「えっ、この人がそんなことを? そんな、まさか、そんな人だとは思わなかった」
というシーンがあったが、それも後に必要になってくる小道具とエピソードの周到な準備だったのだとわかる。

女性の方が、くだらん隠し事さえしなければなぁ、とちょっと思う。
最後は守ろうとした相手が耐え切れずに、牙城に穴があいて崩れた。

こんなに感情移入できる芝居は珍しい。
しかも感情移入の相手は、自分とは共通点のないおじさんなのだ。
(『手をすり抜けて』を歌うドナに感情移入するのとはわけが違う)

石神の慟哭に激しく胸を打たれた。
あの慟哭を観ただけでも、この芝居、観に来てよかったと思う。

すーちゃんはいつも、確実な人というイメージのある役者さんだが、その彼女のいる集団も、やはり確実なのだった。

帰宅後、ホンスキー倶楽部のみんなが言うには、原作でもやはり石神は超魅力的なんだって!

笹塚放課後クラブ、今更ながら注目して行きます。
読まなきゃ、原作。

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9月16日(金) 劇団ヨロタミ「硝子の途」

2016-09-21 18:57:24 | 演劇
劇団ヨロタミ「硝子の途」を観てきた。
ヨロタミとは、よろしくたのみますの意だそうだ。










同じ部のN女史の同級生が出演している。
池袋演劇祭受賞記念の再演。

同僚のN女史と、歌って踊るリーダーとあうるすぽっとで待ち合わせた。
(みんな同じ部なのだが、それぞれ仕事で外出なさるので待ち合わせということになる)







前から2列目だった。
嬉しい。

N女史の同級生・雪絵役の南井貴子さんは、とてもおもしろい女優さんだった。
しゃべり方に説得力がある。
一言一言、ちゃんと話してくれるので気持ちよく耳に届く。
それでいて個性的で魅力的。

両親を同時に失った時のことを
「感謝ですよ。悲しさよりも感謝ですよ」
と語った雪絵の言葉の意味は、あとではっきり見えて来る。

あらすじは書かない。
重いテーマだが、登場人物が誠実で前向きなのでドヨンとした感じにはならない。
時々笑わせてくれるし、時々歌ってくれる。
皆さん、いい声で歌がうまい。

「どんなことがあっても歌っていれば前を向いていられる」
というのも、いい台詞でした。

少し年配の女優さんも出ていらしたが、こんな芝居ならやってみたい。
60、70でもできるだろうか。
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7月6日(水) 月刊ギィ・フォワシィ

2016-07-10 11:32:08 | 演劇
「月刊ギィ・フォワシィ」を観に行った。









川端さん、「ペンキ塗りたて」に出ていらして、昨日が千秋楽。
そして今日が「関節炎」。
劇団四季か!
というぐらいの切り替えぶりだね。

月刊ギィ・フォワシィは、すごく役者泣かせの企画で、とびとびの1回の上演のたびに稽古をし直さなければならないという過酷さ。
お客は毎月、いろんなギィ・フォワシィの作品を入れ替わり立ち替わり観ることができる。

川端さんは、ゆうべはちゃんと最後まで打ち上げに出ていたそうです。

まずは「椅子について」。
山田宏平さん、すごくおもしろい声の持ち主。
母音法かと思うほどくっきりと聴こえる。
不思議な声の魅力に聴き入ってしまい、演説があまり入って来なかった。

「動機」
村松恭子さんと小林千恵さん。
誘拐、監禁、脅迫、殺人、最後にあきらかになる動機。
女2人の芝居って、凄みがあって怖い。
カーテンコールでニコッと笑ってもらえるとホッとする。

川端さんと中島久之さんの「関節炎」。
一昨日の美術評論家とは、まるで別人。
川端さんのうまさが際立つ。

美術評論家は、観客サービスで川端さんが出て来たようなイメージだった。
「関節炎」では、常に身体に痛みを抱えていて、小心で、傷心で、変な人で、粘着気質で、殺し屋を洗脳しようとまでする、川端さんのひとりトライアスロンみたいに、気の抜けないおもしろさ。
中島久之さんといえば、ちょっと悪いイメージだが、川端さんにはかなわない。
なんだか殺し屋が気の毒になって来て、かばってあげたいぐらい。

私はこういう川端さんをもっと観たい。
これ、できればリピートしよう。

関節炎の痛みは本当につらいです。
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12月11日(金) 「謎解きもディナーも清算もパーティーのあとで」

2015-12-12 22:10:05 | 演劇
インプロ友達のバクロが出演する舞台を観てきた。

「謎解きもディナーも清算もパーティーのあとで」





構成がおもしろいと思う。
オープニングからいきなり5年経過して、さらに最後にまた5年経過してしまう。

脚本を書いた役者さんは、まだお若いと思うが、5年、10年たつと、価値観も何もひっくり返ってしまうことがあるという現実をご存知な(あるいは想像している)のが凄い。
私なぞ、この歳になってようやくわかりつつあるというのに。

その脚本を書いた役者さんに、役者としても最も惹かれた。
兄貴との会話の浮き足立ったアタフタな感じに血が通っている。
丁寧に自分の身に塗り込んだ感じがして、思わずプッと笑わされた。
お酒の名前を列挙するところなんかよかったなぁ。

でも脚本がちょっと惜しい。
よく隅々まで考えられているし、凝っているのだが、キャラクターがあまり、人間として魅力的でない。
比較的いいなと思ったのが、終始ポジティブだったトナカイの女の子。
(美香かな?)
あと脚本家自身が演じたミルク。

それでも、とてつもなく惹かれるというほどでもない。

ストーリーも悪くないし、ところどころに秀逸な台詞があるし、シェルブド的に使われると観ていて嬉しい。
一言一言、相手に「聞いて」「聞いて」とうるさく言う女の作り方もよくできていると思う。
ところどころ光っているが、全体的にあまりワクワクしない。

舞台が3段階に(階段状に)分かれていて、場面を使い分けているが、フォーカスされる芝居が一番上の段(客席から一番遠い一番奥)で行われると、現実感が希薄になり、遠い世界の出来事のようで集中できない。

あと、やっぱりキャラクターの問題かなぁ。
愛すべき人々にもっと出てきてほしいんだ。

そういう点では、キャッツアイにこだわる松田優作なんかは愛すべき人格かもしれない。

それでもあまり絶叫はしてほしくないんだよな。

非常に残念なのが、このような劇場で若い役者さんが芝居する時にありがちな(特に女性に多い)のだが、早口でまくし立てたり、激怒して絶叫したりする時に何を言っているのかまるっきり聞き取れないことだ。
共演者たちは台本で稽古しているのだから、何を言っているのか理解できるのだが、客席に言葉が届かない芝居はまずい。

まずは言葉を届けることという大前提で母音法を使っている某劇団ばかり観ていると、役者の台詞は聴こえてあたりまえになっているので、
「え、今なんて言ったの?」
「全然聴き取れなかった」
ということになるのは、見ていてストレスたまる。

母音法を嫌う人もいるが、徹底的に訓練された光枝さんや末次さんぐらいになると、母音法でありながら妙な違和感のないナチュラルな芝居ができるわけだから問題ない。
基礎訓練としてはものすごく有効だと思う。

小劇場で芝居する人たちにも、最低限言葉が聞き取れるだけの訓練はしてほしい。

バクロの台本芝居は初めて観たが、真面目な子なんだなとよくわかった。
誠実に取り組んでいるのが好感が持てる。

潜入捜査官というのもよかった。
相棒のアイちゃんは、ものすごく綺麗なお顔立ちの女の子で、つい見とれた。

主演女優さんが声を張ると、元ジェイのはっぱにそっくりな声だった~!
そして猫の絵がとてもうまい。

いろいろ勝手に感想を書きましたが、この脚本を書いた役者さんには期待できるということが言いたいわけです。

ダンスも凄かったよ。


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6月27日(土) 金春円満井会定例能

2015-06-27 21:03:07 | 演劇
招待券が当たったので金春円満井会の能を観に行った。
矢来能楽堂。




こじんまりとした中に、きれいな舞台。
清廉な空気で、魂がきれいになりそうな感じだった。

しかし土曜日のお昼、食後とあっては当然のようにマチネの呪いに襲われた。

「忠度」(ただのり)は、ほとんど寝ていた。
夫も寝ていたし、他のお客さんも寝ていた。

狂言「寝音曲」(ねおんぎょく、と読むらしい)、これはおもしろかった!
善竹十郎さんと大二郎さん父子が最高のコンビネーション。
古典においても私はコメディが好き。

「 半蔀」(はしとみ)の夕顔上の中村昌弘さんという方、ものっすごいいい声だった!
面をつけているので顔は見えない。
面の下から、地謡や鼓を圧倒するよく響く声。
ちょっと下村さんみたいな。
惹き付けられた!

一番楽しみにしていた「葵上」はシテもツレも地謡も女性。
女性も能の舞台に立てるの?
それともお弟子さんなの?
シテの葵上の声が小さくて聞こえない。
大鼓小鼓の「ヨーッ」「ホーッ」にかき消される。
も少しなんとかなんないの。
シテがもっと声を張るとか、鼓が遠慮するとか。
身体が小さくて、動きも小さい。
やっぱり男性の方がいいんじゃない!?

さらに地謡と一緒に歌いだす後ろの席のオバサンとかさ、なんなの。

どこにでもいるのね、舞台と一緒に歌う客。
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2月18日(水) 「奇跡を起こした犬」

2015-02-19 20:52:28 | 演劇
仕事帰りに夫と待ち合わせて、あさこの芝居を観に行った。









はー。
仕事帰りに芝居を観るとか、すごくいいわ。

こんなに気分が上向くとは思わなかった。

最初に神と仏が出て来た時はどうしようかと思ったけど。
あのポーズは何?
照れる太一の絵とダブった。






さらに仏のたび重なる投げキッスに困惑した。

タイムスリップはもうちょっとあっさりしてもよかったような気がする。

あさこはすごくいい役だった。
誰に聞かせるでもなくボソッと鋭い台詞を吐く。
きびだんごを食べた指を人の着物でそっと拭く。
前を歩く人の着物をつかんで歩く。
あさこそのものな感じ。

一瞬だけ女の子になってしまう場面があった。
変貌を見せたいのだとは思うが、あの演出はあまり好きじゃない。
でも、あさこがやっているだけで可愛くていとおしい。
もはや我が子だ。

あさこたちの仲間(男の子5人+あさこ)が、毎日を一緒に過ごして仲良くなって行く様子をスナップ写真のようなストップモーションで表したのはよかった。
その中で、あさこがいっつも寝ていたのもよかった。

みんなそれぞれが一癖ありそうな可愛い若い男の子たちなのだが、あさこがあんなに大勢の男の子に囲まれてちゃんと渡り合っているのに、また驚き。

これじゃ芝居の感想じゃなくて、あさこ観察日記だよね。

鬼と呼ばれる山賊のボスは「犬夜叉」の奈落みたいで怖かった。

黒い鬼の目と眉と右肩がよかった。
好きなタイプ。

聞き間違いばっかりする黄鬼もおもしろかった。

キジは「犬夜叉」の蛇骨みたい。
きれいだなぁと思ったが、だんだん男らしく見えてくる。

サルは、なんだか知らないがずーっと目が離せなかった。
あちこち削れて整理されるとずっと良くなりそう。

あさこがなついていた龍は、殺された後のあやつられっぷりと無表情がよかった。
これも「犬夜叉」の神楽の屍舞いみたい。

あやつられている死者なのに、ふいに元に戻った笑顔がよかったね~。
そうなると次にはただの屍に戻るしかないのが切ない。

しかし、とにかくみんな動きがいい。
よく鍛えられているわ。

エンディングも「その後の彼ら」みたいなショットが流れて、その時のあさこもよかったな~!

あさこが書き残した記録が後の世の「桃太郎」だったという。

しかし、やたらに犬夜叉と重なる舞台だった。

いいもの見せてもらいました。

あさこみたいないい子がこの世にいる。

客席にいたさーやの、あさこへの愛情もいとおしい。

こんな風に可愛くていい子たちばかりと接して生きて行きたいよ。

浄化されるわ。
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10月24日(金) 兎団「星月夜」

2014-10-27 18:52:17 | 演劇
南阿佐ヶ谷で夫と待ち合わせ、マサヒロの出る芝居を観に行った。

兎団「星月夜」。







好きなテーマだったが、最初ちょっと入りづらかった。

演出家でもある斉藤可南子さんが、開演前に踊って歌っていて、それはなんだか恥ずかしそうにも見えたりしたのだが、芝居に入った途端に彼女の周りの空気が変わった。

ぐっと惹きつけられた。

その後、マチネでもないのにマチネの呪いに襲われたが、砂漠の国の王子のマサヒロが出て来たら頭がスッキリした。

なんていうんだろう。
小劇場の若い役者さんがよくやるような、何も見ていないような目だったり、フォーカスから外れている時にも芝居を続けているんだよ的な声なき会話だったり、意味がよくわからない不機嫌顔だったり。

そういうのがマサヒロの芝居には一切なくて素敵なのだ。
真剣勝負というかね。
小手先の技を使わないというかね。
そう、半端じゃないのだ!

力強さを感じる。
身びいきじゃなく。

その後の大学のコーラス部の若者たちが全員、死に至るまでのやり取りにも惹かれた。

銀河鉄道がサウザンクロスに着いた時に降りて行く人々の表情が実に誇らしげでよかったなぁ。

エンディングのラジオのナレーションが、彼らの死に様について報道している部分にうるっと来た。

死はさほど遠くにあらず。

マサヒロには改めて感心したし、斉藤可南子さんはちょっと好きになった。

劇中歌もよかった~。

観たいと思ったものは観るべし。
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9月6日(土) ギィ・フォワシィ・シアター

2014-09-07 18:30:57 | 演劇
仕事の後で夫と一緒にカレーランチ。
最近カレーにハマっています。

それから縮毛矯正。

髪が短いと美容院の回数が増えてめんどうだ。
伸ばそう。

夜は世田谷線に乗って松蔭神社前へ。

ギィ・フォワシィ・シアターの公演を観に行った。
「相寄る魂」と「ファンファーレを待ちながら」。










「相寄る魂」には川端槙二さんが出演している。

「相寄る魂」はクスリと笑えるが、なんだか切ない。
川端さんの目の動きや、コクッと息を飲むしぐさや、意識が行き届いた指先、はぁぁ、実にうまいなぁとしみじみじっくり観て来た。

「ファンファーレを待ちながら」の別府康子さんは素敵だった。

入院仲間のなんちゃってさん(仮名)に言動がそっくり。
いるんだ、ああいうおば(あ)ちゃん。

会話だけの舞台、難しい。

終演後、お腹がすいてまたカレー。
なんだか旅行から帰って来たような気分になったのだ。
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