こんにちは! スタッフの田沢五月です。
『東北ふしぎ物語』では、岩手の「ヤマセの中で見た町」を書きました。
私が生まれ育った町は、岩手県沿岸の小さな町です。
帰省する際には小高いところにある三陸鉄道の駅で降り、そこから15分ほど実家に向かって歩きます。道々、町の人たちに、「おかえりなさい」「いつまでいるの?」と声をかけてもらえるのも楽しい時間でした。
黒砂糖の香りが漂う菓子店のところで左に曲がり、旅館の角を右に曲がり、山際の道を少し進むと、実家の赤い屋根が見えてきます。
東日本大震災が起こったあの日、その町は姿を消しました。もう元のような町を見ることはできません。
「ヤマセの中で見た町」の舞台になった乃々花のおばあちゃんが住む町と私のふるさとの町は、似たところがあります。でも、ちょっと違います。沿岸のどの町にも通じるところがあるように書きました。
私は幼い頃、父から太平洋戦争の話を何度も聞かされました。でも、ずいぶん遠い昔のことだなと、思っていました。私が生まれるわずか十数年前のことなのに。
震災のことも、もしかしたら小学生の皆さんにとっては、ずいぶん昔のことのように感じるかもしれません。
このお話を読んで、乃々花と一緒に、ふしぎな体験をしてみませんか?(田沢五月)