みちのく童話会スタッフの野泉マヤです。
『東北ふしぎ物語』で、宮城県の「渡り鳥のサンクチュアリ」を書きました。
昔は、日本全国で見られた渡り鳥のガンが、なぜ今は、東北とごく一部の地域でしか見られなくなったのか? それが、この物語の不思議です。
なぜ多くのガンたちは、越冬地として宮城県を選ぶのでしょう? もしも自分がガンだとしたら、と想像していただければと思います。
この物語を書くために、わたしはすごい人に取材をしました。呉地正行先生という、世界的なガンの研究者です。ラムサール賞、山階芳麿賞、環境大臣賞など、価値ある賞をいくつも受賞されています。そんな呉地先生は「ぼくは、ガンの僕です」とおっしゃるくらい、謙虚でガンが大好きな方です。
もともとわたしは、ガンの知識はほとんどなかったのですが、先生の話を聞いているうちにどんどんガンが好きになってきました。今では、冬の時期に「キャワ、キャワ」とマガンの鳴き声がすると、ベランダに飛びだすほどです。そして素早く、V字飛行するガンの群れを探し、ほれぼれとながめるようになりました。
実際、ガンという鳥の立ち姿や、一生懸命に飛ぶ姿には、なんともいえない可愛らしさがあり、見れば見るほど愛着を感じます。そんなガン達が、あと一カ月もすると宮城県にやってきます。わたしは、秋に初めてガンを見た日を「初かり記念日」としています。ガンは「かり」ともいいます。昔の急行「はつかり」は、ガンからきていたのですね。
さて、今年の初かり記念日はいつになるのか、今から待ちどおしいです。