ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

2013年1月 最後の隊員総会&ホーンコレクション@Nantaku

2013-02-16 08:40:20 | チューク州
今年の八王子は特に雪が多いようですが、いかがお過ごしでしょうか。山あいの地域でごみ収集が安全に行えているか心配です。今年になり早くも1か月が過ぎましたので、先月の活動を報告していきます。


その前に突然ですが、ここでクイズ。

Q. チューク語に多く残る日本の言葉。次のうち、チューク人の間で実際に使われているものはどれでしょう。
①デンキ(電気) ②セキニン(責任) ③ゾウリ(草履)

<正解は最後で>


1.平成25年1月の活動
先月は首都ポンペイでボランティア総会がありました。私にとっては4度目で、今回が最後。活動報告会では、これまで1年半の活動を最終報告という形で発表しました。振り返ると様々なことを行わせていただきましたが、まだやるべきことはたくさんあり、残された期間で同僚にしっかりと引き継いでいくことをこの報告を通じて決意しました。

また、職種別分科会では、環境教育と廃棄物処理を職種とするボランティアで集まり、これまで話し合ってきた商業系ごみの発生量調査(J-AWARE3)について詳細を詰め、2月から実施していくことを決めた他、現在ミクロネシア全4州で課題となっているリサイクル可能な有価物(廃車や廃家電など)の海外輸送について、各州で連携していくこと等を確認しました。
特にリサイクル連携については、ヤップ州のシニアボランティアが運搬船会社との調整を実際に進めており、今後の進捗に期待しています。



最終日にはこのメンバーでOEEM(環境に関連する連邦政府機関)を訪問し、意見交換も行いました。(詳しくは「最後のボランティア総会@ポンペイ」)




さらに嬉しい改善が。昨年の夏より定期的に訪問を行っていた州立病院で、医療ごみと一般ごみの分別を容易にするためにアドバイスしていた異なる色のごみ袋の使用が始まっていました。医療ごみを透明なごみ袋に、それ以外の一般ごみを黒色のごみ袋に入れるようになっています。これにより、以前にあった勘違いによる埋立場への医療ごみの投棄を防ぐことができます。
注射針や血液が付着したチューブなどの医療ごみは、病院で所有する焼却炉で焼却してから埋立場へ。この適切な処理方法を継続するよう今後もフォローしていきます。


2.ホーンコレクション@Nantaku
先月は、3つ目の村となるNantaku(ナンタク村)でホーンコレクションをスタートしました。



Nantakuはウェノ島中央の山あいに位置しています。「ナンタク」は日本統治時代に用いられていた南洋開拓もしくは南洋拓殖という言葉に由来しているとのこと。現在は住居の他に政府庁舎が集まっており、州立病院や学校もあります。そして山あいというロケーションから、家の周りや川にごみが散乱している様子が目立ちます。(逆に言うと、海に面している村では、海にごみを捨てているということでしょう・・・)





このような状況を一刻も早く改善するために、ボスからも急かされながらこの地域での収集を先に行うことを決定しました。


収集開始前日に行ったワークショップでは、これまで同様に短期大学の他、先月より新たに地元のNGOに配属されたJICAボランティアも来てくださりました。今回は同僚に任せ、ラジオのみで周知を行ったために、参加者が少人数となってしまったことが、内容が良いものだっただけに残念でした。




2月1日から開始したホーンコレクションですが、周知不足にも関わらず初日から105袋を収集。どうやら一部の世帯では、日常的にごみをごみ袋にため込んでおり、定期的に車で40分ほどかかる埋立場へと独自に運んでいたようです。



このエリアはほとんどが坂道であるため、収集員にとってはハードとなりますが、これからホーンコレクションを周知していくことにより、収集量を増やしていきたいです。


3.この一カ月を振り返って
 協力隊の2年間で最後となるボランティア総会を終え、残りされた期間の課題は現地スタッフへの引き継ぎであることを認識しました。そこで、目前に控えていたNantakuでのワークショップを同僚に任せることを決意。場所の確保から日時の設定、住民への周知全てを同僚に行ってもらいました。

これまでの私のやり方では、その地域の中で積極的に活動している方、協力してくれる方を探し出し、その方と話し合って詳細を決め、住民にも周知を行ってもらっていたのですが、今回の同僚が行ったのはラジオでの周知のみ。アドバイスを何度もしてみたものの「これでうまくいく」との一点張りでした。それなら一度やらせてみようということで当日を迎えましたが、ラジオを聞いて来てくださった方はわずか2名。これまで4回行ったワークショップでは20~30名程集めることが出来ていただけに残念な結果となってしまいました。

私としては今後もサポートはしつつも、彼らに主体的に行ってもらおうと考えています。任期の最後には首都での表敬訪問等があり、6月中旬にはチュークを離れることになるため、残された期間は4カ月余り。この間に、MechitiwとNeauwoという2つの村にまでホーンコレクションを拡大したいと思っています。今後は今回の教訓を活かして、仕事に責任感を持って取り組んでくれると良いのですが。。。彼らを信じて、彼らと共に挑戦していきます。


<冒頭のクイズの答え>

A.正解はすべて
 ①デンキ(電気) ②セキニン(責任) ③ゾウリ(草履)の3つともチューク語として使われている言葉です。チューク語には多くの日本語が残っていて、そのほとんどは日本人が持ち込んできたものがそのままチューク語として残っているそう。会議に出ている時に「セキニン」という言葉をチューク人の口から何度も聞いた時はビックリ。チューク人はもともと「セキニン」感が足りなかったのでしょうか・・・。(笑)


収集スタッフとともに


平成23年度1次隊チューク州 前川健一

2012年12月 ホーンコレクションの評価&クリスマスパレード(チューク州)

2013-01-07 19:29:44 | チューク州
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

ミクロネシアでは、新年から昼夜を問わず、金属音や車のクラクションで音を奏でながら、Happy New Year!の歌声をどこにいても聞くことができます。その楽しそうな人たちを眺めながら、幸せな気分に浸ることができました。
それでは先月を振り返っていきたいと思います。


サンゴのクリスマスツリー@ジープ島


1.平成24年12月の活動
 先月の初めに1週間ほど、チュークに来て以降初めて日本に一時帰国をしていました。今回の大きな目的は、10月に産まれた姉の第二子に会うことと、現職参加として送りだしてくれた職場に挨拶に行くこと。

久々に帰った日本では、自動で水がでる蛇口やパネルで買う電車の切符など、チュークではあり得ないあまりの先進的な技術に戸惑う私。こんなはずで!はと思うほど、やはり私は原始人化していました。。。

ともあれおいしい食事にありつき、家族・友人・同僚と会うことができ、大いにリフレッシュしてチュークに戻ってくることができました。このタイミングで一度帰国して本当に良かったです。(詳しくは「1年5カ月ぶりの日本」)


 チュークではクリスマスと新年の前後は休日となるため、働いた日数が少ない1か月となりましたが、そんな中でもいくつか活動しました。

まず、不適切な処理がなされていた医療ごみについて「クリスマスまでに改善する」と以前に回答してくれた病院を約1カ月ぶりに再度訪問してきました。改善はまだなされておらず約束通りとはいきませんでしたが、分別用のごみ箱を発注していたなど、前進が見られます。




また嬉しかったのがごみ収集を担う公共事業局。スタッフ間でのコミュニケーション不足が見られたことから先月提案した朝礼を、私がいない間にチーフが中心となってやっていたのです。日本ではやって当然の朝礼ですが、こうした小さな積み重ねを出来るよう、今後もフォローしていきます。


そして、クリスマス前の土曜日に行われたロータリークラブ主催のクリスマスパレード。私たちも急遽参加することが決まり、大がかりの作業となりましたが、前日にごみ収集車にやしの葉をかぶせ、かき集めた空き缶で「メリークリスマス」の文字を飾り付けました。




当日は、約10団体が参加し、それぞれ思いのままに飾り付けた車の上から、飴玉などを道ばたにいる人たちに対して「メリークリスマス!」と声をかけながらばらまきます。必死になって拾い集めている人たちもおり、みんなの笑顔が見られてほっこり幸せな気分になれる素敵なイベントでした。(詳しくは「Christmas parade」





2.ホーンコレクションの評価
現在ウェノ島に広げているホーンコレクションですが、スタートしてから6ヶ月が経過したこのタイミングで、住民に評価してもらうためのアンケート調査を行いました。
この調査は4月に行った予備調査と同様、地元のNGOが一軒一軒インタビュー形式で歩いて回ってくれました。時間と労力がかなり必要となるこの調査に今回も協力してくれたNGOには心より感謝。持つべきものはパートナーです。




そうして、23軒から得られた結果として、9割近い世帯が日常的にホーンコレクションに参加し、収集する時間帯や頻度、収集スタッフの態度・振る舞いなども含め、全体的にホーンコレクションに対して満足している方がほとんどといった回答をいただきました。

一番嬉しかったのが、「ホーンコレクションのためにいくらかお金を払っても良い」という世帯が95%もいたこと。収集費用の徴収に関する質問は聞きづらいところでしたが、この結果はホーンコレクションへの満足度を正直に表してくれているのだと感じています。

また、今後最も取り組みたい活動として、74%の世帯が「空き缶のリサイクル」と回答していたことから、これを後押しするよう取り組んでいく必要があることも明らかになりました。(詳しくは「住民によるホーンコレクションの評価」


3.この1年を振り返って
 前半は、5月に寄贈された2台のごみ収集車を活用するために、JICA専門家と共に考案したホーンコレクションを実施することが2月に決まってからは、NGOや短期大学との連携、公共事業局への説明、パイロットエリアでの予備調査、住民への説明等、とにかく駆け抜けた半年でした。

ごみ収集エリアの拡大という大きなプロジェクト。しかもホーンコレクションでは住民の協力が不可欠。私の配属先だけでは到底やり切れないため、パートナー探しに走り回りました。私自身、語学には依然として苦手意識を持っていましたが、そんなことは言っていられません。とにかく体当たりでぶつかり、自分の想いを自分の言葉で伝えていったのが功を奏したのだと思います。
その甲斐もあって、6月にはホーンコレクションが無事スタート。ごみ収集車にも頻繁に同乗し、住民の感触を実際につかんできました。

 後半は、このホーンコレクションを継続・拡大していくための活動。ホーンコレクションの課題を探りながら改善していきつつ、新たな収集地域の鍵となる人を探し出し、コミュニティを巻き込んでいきました。途中、なかなか思うように進まなくて活動が停滞してしまう時期もありましたが、そんな時こそごみ収集を通して現場に出て、住民からいただく「ありがとう」の言葉と笑顔に何度も励まされました。

ウェノ島には12の村があり、現在収集を行えているのは3つの村。このプロジェクトの目標である「島の半分の世帯のごみ収集を行う」ためには、私がチュークにいられる残り半年の期間で単純に考えるとさらに3つの村に拡大する必要があります。これを達成しつつ、彼らだけでその後もごみ収集を継続していけるようにサポートしていくことが今年の目標です。

 半年後、胸を張って笑顔で日本に帰れるよう、一日一日を大切にしていきます。愛くるしいチュークの人たちとともに。




ジープ島からの夕陽(初日の出ではありませんw)


平成23年度1次隊チューク州 前川健一

2012年10・11月 Time & motion study ~ ごみ収集動向調査(チューク州)

2012-12-03 08:44:34 | チューク州
こんにちは。今年も師走へと突入しました。今年の日本は特に寒いとのことですが、皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。お互い風邪には十分気を付けていきましょう。
なお、今号は諸般の事情により、10月と11月の合併号とさせていただきます。

1.平成24年10・11月の活動
10月はホーンコレクションも新たなエリアへと拡大。また、JICAの専門家が一カ月間訪れ調査等を行いました。さらに10月からは新会計年度が始まったということもあり、他の目的に使われないうちに(笑)収集車の部品等を確保しようと、取引の調整をしてくれることになっていた日本外交協会と見積もりの依頼を行いました。

そして、私にハプニングが。。。10月末の週末にダイビングを行った際に、耳抜きがうまくいかなかったことが原因で急性中耳炎にかかってしまったのです。このため、仕事にも大きな影響を与えてしまいました。

これまでミーティングを重ねてきたYouth Environmental Summit(青年主体による環境サミット)が11月2日に行われ、多くの人たち(100名以上??)が集まったそうですが、私にも発表の場が与えられていたにも関わらず、参加することすらできず。また、11月7~9日に首都ポンペイで行われたJICAボランティア環境部会も、これまで私が連絡調整を努めてきたにも関わらず中耳炎の炎症により飛行機に乗ることへドクターストップがかかってしまい、残念ながら参加することができませんでした。

このミーティングの場では、「家庭ごみの発生量と組成分析」、「埋立場における搬入量調査」と1年に1回のペースでごみの調査を行ってきたJ-AWAREの第3弾ついて主に話し合いが行われました。私はJICAスタッフ、環境系ボランティアの皆さまの配慮により電話会議という形で参加させていただき、次回は商業系ごみ(事業系ごみ)に関する発生量調査を行うことで話がまとまりました。

 急性中耳炎にかかってから、2週間ほど安静にさせていただいたおかげで11月中旬に職場復帰。来年3月に予定されている埋立場およびその周辺の改善工事のための見積もり調査に出かけたり、首都に駐在している日本大使館から来られた参事官にごみ収集車や埋立場の案内を上司とともに行いました。



なお、私と共に活動しているカウンターパートは、11月の1か月間研修を受けに神戸に行っていたために、これらの活動は副局長と行いました。
ちなみに日本への研修では、ごみ処理の実施機関である公共事業局からも8月に一人行っています。


2.イラス村でのホーンコレクション
5月に寄贈を受けたごみ収集車を用いて6月から行っているホーンプロジェクトですが、10月から2つ目の地域となるイラス村へ拡大しました。拡大するにあたっては、いかにコミュニティの核となる人とコンタクトを取るかに苦戦したのですが、これまでも私たちのプロジェクトにも加わってくれている短期大学がイラス村で行っていたワークショップに参加させてもらうことにより、現地とのつながりができました。話をしてみると、このコミュニティでは、地域をどうにかきれいにしたいとちょうど活動を起こし始めていたところだったので、早速私たちもワークショップを開き、その翌日からホーンコレクションをスタートしました。



6月から実施しているムウェン村では、最初は収集件数がとても少なかったのですが、このイラス村では、住民自身が何かしたいと思っていたこともあってか、また世帯数が多いこともあり多くのごみを集めることができています。



また、ワークショップで対象に含むことが出来なかった地域では、収集時にチラシを配ったのですが、ここでは収集員が一緒になって説明を行ってくれました。チラシはチューク語に翻訳されているものの、やはり直接話をするのが一番。この収集員の活躍がホーンコレクションの住民への周知に大きく役立ちました。(詳しくは「新たな地域でのプロジェクト」)




3.ごみ収集同行調査
 10月は、JICA専門家が行ったTime & Motion Studyと呼ばれる調査にも同行させていただきました。これは、ごみ収集車を1日中1週間尾行し、実際の収集状況を把握することで、収集の改善へとつなげていくための調査です。






そして調査を終えた後のミーティングでJICA専門家から挙げられた指摘事項。まず良い点として、「収集記録を毎日とっている」、「収集車がバックする際など、アシスタントが誘導を行っている」、「トラッシュビンの周りも含めてごみを拾い集めている」こと。収集記録については、宿題のごとく運転手に記録をとるようお願いしていたため、専門家の方からこうして褒めてもらえたことで彼らのやる気にもつながるはず!次に悪い点として、「収集中運転席の窓を閉めているために、アシスタントや住民とのコミュニケーションが十分に取れていない」、「出発時の確認を怠ったことで、収集に必要な道具を忘れてしまった」、「たまに運転が荒くなる」といったことが挙げられました。



また、現在用いているトラッシュビンとホーンコレクションの2つの収集方法の比較も行われましたが、2つの収集方法で収集効率に大きな違いはないとのことでした。今後もこの2つの手法をうまく組み合わせて使っていくことができそうです。
この他、トラッシュビンの配置場所について改善の提案があった他、これまでトラッシュビン収集では定められていなかった収集スケジュールについても具体的な提案がありました。これにより、無駄に収集車を走らせることがなくなり、燃料の節約が期待できます。

この収集スケジュールについては、私もこれまで運転手と何度も話をしてきましたがあまり聞く耳をもってくれませんでした。しかし今回は、調査をもとに提案を行ったことで、運転手も素直に受け入れている様子にさすが専門家の仕事だなぁと感心しました。(詳しくは「ごみ収集同行調査」)


4.この2ヶ月を振り返って
 10月から新たな地域でのホーンコレクションが始まり、最近やや停滞気味だった活動に火が付いたところでかかってしまった急性中耳炎。これは、全ては私のダイビング中の不注意によるもので、防げたものだっただけに当初は悔しくて仕方ありませんでした。これにより、ミーティングやイベントを棒に振ってしまったり、収集スケジュール作成後にフォローが出来なかったことにより、収集スタッフ間に誤解が生じてしまい、いざこざが生じてしまったり・・・(詳しくは「今日の出来事」)。また、私自身も2週間ほど耳が聞こえなくなってしまい、その間は目の前で話しかけられても手を耳にあてなければ聞き取れない状態で、人とコミュニケーションをとることすら億劫になってしまったりと、正直散々な期間となってしまいました。反省すべきところはしっかり反省し、もっと責任と自覚を持たなければと痛感させられた出来ごとでした。

 
中耳炎は今はほぼ治っており、通常通りの生活や活動が出来ています。中耳炎にかかる前と同様、現在もやるべきことが多くありますので、もう一度仕切り直して活動に励んでいきます。なお、12月の初めに1週間ほど日本に帰ることになりましたので(これはもともと計画していたものです)、ここでうまくリフレッシュしていきたいです。





最後に、今回も写真をいくつか。



この写真は10月中旬に行われたホストファザーの妹の結婚式。ほとんどのチューク人はキリスト教を信仰しており、結婚式も教会で行われます。また、チュークの名家だけあってその後の披露宴(?)も盛大に。



ホストファザーの祖父が日本人なだけあって、酒樽(白鶴)まで用意されていたのが面白かったです。この日は未明まで歌って踊った一日となりました。




またこの写真は11月29日のホストファザーの誕生日のもの。この日は隣の家の漁師が幸運にも亀を捕えたため、これを御馳走に。親戚や知り合い(まだまだ会ったことがない人がいるものです)が集まり、夜遅くまでお酒を飲んで楽しく語り合った一日でした。




それではまた!


平成23年度1次隊チューク州 前川健一

2012年9月 小学校訪問&島の清掃デー(チューク州)

2012-10-15 16:46:20 | チューク州
こんにちは。9月末から一週間ほど、チュークでは珍しい大嵐に見舞われました。



他島から通勤・通学している人達もたくさんいますので、何艘ものボートが転覆してしまったそうです。海が生活の場ということを改めて感じさせられた出来ごとでした。


1.平成24年9月の活動
6日に新郵便局がオープンしました。



チュークに一つしかない郵便局ですが、土地問題により移転。これまで仮オフィスにて営業を続けていましたが、ようやくきれいで立派な建物に落ち着きました。チュークにおける土地は全て私有地で、政府のオフィスですら土地所有者からリースしています。伝統的な土地所有が残っているため、土地問題はとても複雑です。

それが私たちの活動にも影響したのが12日。埋立場へと向かうアクセスロードが、政府からのお金の支払いを求める一部の土地所有者によりブロックされてしまったのです。



これにより、埋立場へ向かうためにはここから30分ほどかかる道を遠回りせねばならず、しかもその道はチュークの中でも最悪の悪道。一刻も早い解決を望みます。


9月は8月に引き続き多くの訪問者がありました。18日には、チューク名家相澤氏の出身地藤沢市よりロータリークラブが6月に続いて来られ、こちらのロータリークラブと意見交換をした他、入院キット100セットを州立病院へ寄贈されました。






また、28日からはNPOのAMD(Association for Micronesian Development)が来られ、離島に3年前に設置した風力発電の修理を行いました。チュークには、この団体により設置されている風力発電が2機あり、1つは電波塔として使われ、もう一つはザビエル高校の電灯として利用されています。 



さらに9月は会計年度の最終月となるため、1年間の活動のまとめをEPAニュースレターとして作成しました。これは同僚に依頼されて急遽作ったもので、今後他の部局や議会、各団体等へ配布される予定です(プリンターのカラーインクが納品され次第)。



画像は4ページあるうちの1ページ目。振り返ってみると、JICAや日本大使館等のプロジェクトのもと、色々なことをやってきたなぁと実感。これらを今後もしっかりと継続できるよう、残された期間を工夫して取り組んでいかなければ!


2.小学校訪問
これまで私の1年3か月の活動の中で、チュークでは3度学校訪問を行い、ごみ問題に関する授業を行わせていただきました。
2年間のうちに果たして何回できるかなぁと考えていたら、急遽9月の2週間で10校の訪問を行うことが決定。というのも、これが今年度の予算を確保する際の同僚の目標だったからであり、会計年度末となる9月に一挙に達成しようとしたからでした。

この計画性のなさに・・・ですが(笑)、やるからにはということで、同僚とその内容について話し合いました。そして、既にコミュニティでも紹介している亀のストーリーの絵本(首都ポンペイ州の幼児教育隊員が作成したもの)によりごみが環境に与える影響について気付きを与え、さらに3Rの資料を通して、自分達に何ができるか考えてもらおうということをテーマにしました。





各学校へのアポイントメントも前日に行うような状況であったため、どれ位の時間をいただけるか少し不安もあったのですが、行ってみれば各学校ともほぼ全員の生徒を集めてくれ、説明するのに十分な時間(30分ほど)を与えてくれました。

説明を行った同僚のアンタシオは、必ず最後に生徒に質問があるか聞いていたのですが、質問をするのはどの学校も先生から。ごみ問題は自分の生活に身近なだけに、やはり関心が高いです。

なお、日程の途中でアンタシオの親戚に不幸があったため、訪問できたのは4校で残りの6校は延期となっています。腰を上げるのに多大な労力が必要なチューク人ですが、動き出すとその勢いはすごい。そのことを今回も思い知らされました。(詳しくは「小学校訪問」


3.島の清掃デー
 9月はチュークのSanitation month(衛生月間)に定められています。このため、最終週の1日に州政府の各部局が担当地域を定めて、清掃活動を行いました。八王子市で行っている町の清掃デーや川の清掃デーを思い出させます。普段は住民団体やNGO等が中心となって清掃活動が行われているのですが、今回は州政府のスタッフが実際に汗を流します。





 私たち環境保護局は、まだ収集システムがないメチティウ村を担当したのですが、やはりたくさんのごみが。10名のスタッフで2時間ほどかけて行ったのですが、その数は50袋ほどとなりました。私はリサイクルするために缶だけを3袋集めたのですが、そのうち1袋が知らぬうちにごみ収集車へと投げ込まれてしまいました。とほほ・・・。


4.この1ヶ月を振り返って
 急遽入った小学校訪問で、私のスケジュールも変更を強いられたのですが、多くの子ども達と触れ合えたことは大きな収穫です。ワークショップの内容もそうですが、彼らにとっては外人である私がいるということだけでも、彼らを惹きつけることが出来るんだと感じました。私が伝えたいことを全部伝えるにはどうしても英語となってしまうのですが、高学年の生徒達でもあまり理解できていないようでした。そこで次の学校では、私が知る限りのチューク語で必要なことだけ伝えると彼らの目は輝いていました。

相手が理解できる言葉で話すとともに、伝えたいことをシンプルに明確にするということが、大勢を前に説明する際には重要だということを学びました。やはりチューク語の語彙も増やしていく必要があります。私の活動の中ではまだ十分に行えていない学校訪問ですが、環境保護局の中でも、今後は環境教育を通常のカリキュラムの中に組み込んでもらうといった計画もあるので、関心が高い先生方を巻き込みながら取り組んでいきたいと思います。


最後に今回も写真をいくつか。



小学校訪問で大活躍の同僚アンタシオのもう一つの仕事。それはラジオを通じて環境の重要性を理解してもらうこと。
一度仲を覗かせてもらおうと訪れたのですが、チュークにしては意外にも(?笑)設備はそれなりに整っていました。高そうな機材にメンテナンスは大丈夫なのか、そればかり気になってしまいました。




こちらはNPOのAMDと共に訪れたザビエル高校の壁画。これは生徒により描かれたものだそうですが、チュークの伝統的な衣装や豊かな自然がある一方で、日本が深く関係している戦争の悲惨な歴史が描かれているのを見るととても複雑な気分となります。




こちらも同じく生徒により描かれたもので、海中に眠る零戦です。沈んでから70年近くになりますが、現在はその周りにはサンゴが生え、海中の自然と一体化している様子がうまく描かれています。おそらく7~8mほどの深さにあるものですが、生徒たちはこれを描くために何度も何度も潜ったそうです。





チュークと日本、海と空はつながっている。また、歴史的にも昔から今まで絶え間なく繋がっているんだなと、この夕日を眺めながらしみじみ考えさせられました。


平成23年度1次隊チューク州 前川健一

2012年8月 離島訪問&医療ごみの適正処理指導(チューク州)

2012-09-12 15:25:56 | チューク州
こんにちは。日本ではまだ残暑が続いているようですが、いかがお過ごしでしょうか。

こちらでは、先月15日の終戦記念日に、日本人が作った慰霊碑の前で協力隊員とともに黙とう。歴史の積み重ねにより今の私がいることに、改めて想いを馳せました。



それでは、先月の活動を報告いたします。


1.平成24年8月の活動
今月は、離島に行く機会が多くありました。まず2日に、アメリカ人調査団2名に同行し、ファイチュックと呼ばれる諸島までボートで1時間かけて訪問しました。この諸島は、日本統治時代に七曜諸島と呼ばれ、7つある島がそれぞれ日曜島~土曜島と名付けられています。




今回訪れたのはトール(水曜島)とラマヌン(日曜島)。その生活は至ってシンプルです。



電気はもちろんなし。飲み水・生活用水は雨水を利用し、石を置いただけの竈にマングローブの薪を用いて料理をします。そうした暮らしのためか、周りの海はとてもきれいで青く透き通って見えました。私が住んでいるウェノ島ではなかなか見られない景色。ラマヌン島の高台から、このウェノ島もはっきりと見ることができました。




 また、21日には東京蒲田ロータリークラブの方が来られ、トノアス(夏島)とエテン(竹島)の島巡りに通訳も兼ねて行ってきました。

まず、トノアスで見たのは井戸。チュークでは基本的に雨水タンクを設置し、雨水を利用していますが、乾季など雨が降らない時期には雨水タンクが枯渇することがあるため、その時は井戸が大活躍するそうです。この他にも、大きな雨水タンクを購入できない家庭が利用しているとのことでした。



その後に、3つの学校を訪問。校舎が壊れかけているために、使われなくなった小さな薬局でかなり窮屈そうに授業を行う学校、1クラス50~60名いる学校、教科書が不足するなか6学年を2名の先生で教えている学校。どの学校も日本では考えられないような様々な問題を抱えていました。さらにチューク人が渇望している自転車の現状視察も行いました。(詳しくは「チューク州の現状視察~ロータリークラブでの活動」)




 22日には、ごみ収集地域拡大のため、Sapouエリアでワークショップを開催。今回はいつもの内容に加え、亀の絵本を紹介しようと同僚が急きょやる気になって披露してくれました。



この絵本は、7月の記事でも記載しましたが、ポンペイ州にいる幼児教育の先輩隊員が作成してくれたもの。これを同僚がチューク語に翻訳してくれていたのです。私の中では9月以降に、学校でワークショップを行おうと計画していましたが、協力的な同僚を持てて幸せです。先輩隊員にも深く感謝。翌日からは、このSapouエリアでホーンコレクションを開始し、現在も収集は順調に行われています。(詳しくは「Sapouへのごみ収集拡大&亀の絵本」)


2.医療ごみの適正処理指導
 8月は、これまでやりたいと思っていた病院訪問を行うことができました。そのきっかけは、公共のダンプサイトに注射針などを含む医療ごみがそのまま捨てられていたこと。早速、同僚と一緒に病院を尋ね、話を聞いてきました。



この病院では2つの焼却炉を持っており、医療ごみはここで焼却したのちに灰をダンプサイトに運ぶことになっています。



病院内には、バイオハザードマークと呼ばれる印がついた箱がいたるところに設置されており、使用済みの注射針などが入れられています。



病院の管理責任者に、ダンプサイトに医療ごみが持ち込まれていた写真を渡すと、驚きの表情を見せ、すぐに行動を起こすと言ってくれました。

そこで2週間後に再度訪れてみると、その後すぐにミーティングを行い、関係者間で話し合ったとのこと。このようなごみがなぜ、ダンプサイトに捨てられていたのか尋ねると、その時病院が所有しているごみ収集車が故障しており、収集ができないためにごみが保管場所に積み上げられていた。これにより、一般ごみと医療ごみが混ざってしまい、どちらか区別がつかないために全てをダンプサイトに運んでしまったとのことでした。病院内のごみ箱を覗いてみると、確かに様々なごみが混在しており、一目には医療ごみと区別がつかない状況。

そこで、私からも作成した報告書を渡し、「一般ごみと医療ごみで異なる色のごみ袋を使う」など、今後の改善策の提案を行ってきました。これらの提案に管理責任者も同意してくれたため、後はどう変わっていくかを、これから定期的に訪問する中で見守っていきます。(詳しくは「医療ごみの適正処理」)


3.この1ヶ月を振り返って
 昨年もそうでしたが、8月は友達や大学の研究者など多くの方がチュークを訪問され、賑やかな一ヶ月となりました。おかげさまで、普段は行けない場所を訪れたり、たくさんの日本人と日本語で話したり、海中に泳ぐ亀や15頭のイルカの群れなどを見ることができ、美しい景色や海の中の写真もたくさん撮ることができました。日本の夏休みに感謝感謝です。

また、寄贈していただいた収集車もチュークの悪道に耐え大活躍しており、今のところ問題なく稼動してくれています。私の個人ブログにも書きましたが、最近ごみ収集車に乗る機会も多いことから、事務職にも関わらずごみ収集車に何度も乗せさせていただいた八王子市役所の同僚に、今になって改めて感謝しています。

実際にその中で学んだ、ごみを取り残していないか注意深く見ること、安全運転を常にお互いで確認し合うこと、住民には自分から積極的に挨拶することなど、これらシンプルなことが自然とできていることが、少しはこちらのスタッフの見本になれているのかなと思います。また、あの時の経験があるからこそ、収集スタッフにも物怖じすることなく意見を言い合う度胸を持てていますし(笑)。日本に帰ったら改めてお礼を言いたいと思っています。



最後に、震災から1年半が経ちましたが、こうして日本の皆様に支えられているからこそ、今ここで活動を行えていることに深く感謝し、残りの期間を精一杯悔いなく過ごしていきます。

















平成23年度1次隊チューク州 前川健一