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破砕後も形が大き過ぎるのと鋭角な形状が危険といわれ再利用できない
Hello everybody, my name is Atsushi Noba Sakane. “Noba” is my Kosraean Name.
スーパーバイザー会議で発表した3項の二つ目である「破砕機」の導入を図った。
当初は、大型破砕機を導入し、大木を破砕し、コンポストorコンポガスプラントを造ろうと計画した。ここコスラエ州は草木の育つのが非常に早く、庭草の芝生だけでも大量のグリーンウエストが発生する。山地の樹木は手入れされておらず倒木が放置されている。コスラエ州は火山島であるので農地に適しており、野菜栽培・出荷基地としての可能性を持っている。戦前は近隣諸国への野菜供給基地としての役割を果たしていたと聞いている。近隣には野菜不足のマーシャル等周辺諸国があり、また沖縄米軍グアム移転計画もあり、野菜の大量需要が見込まれている状況で、農地開墾⇒農業促進⇒輸出促進+グリーンウエスト⇒破砕設備⇒コンポガスorコンポストプラントの組み合わせプロジェクトを考えた。財源はNEDO(新エネルギー開発機構)等から。しかし、現地の人々はそのような大規模開発には関心も興味も無いこと、また私有地が複雑に入り組んでいる状況では、大規模開発は難しいこと、大規模農業を開発・農作物を輸出するには農業公社的な組織が必要だが創設にはいろいろ利害関係がからみ難しいこと等が分かり断念。机上ではなかなか良い計画に思えたが、実際の制度・人々の考え方からすると、無理があったと思われる。現地に居て分かることもある好例だと思う。
コスラエ州では、4項目のリサイクル品がある。アルミニュウム缶、ペットボトル、ガラス瓶、自動車バッテリー。輸入時にデポジット制で料金を徴収(自動車バッテリー$4.00、アルミニウム缶・ペットボトル・ガラス瓶、各¢6)し、各品を指定場所に持ち込むと返金(自動車バッテリー$3.00、アルミニウム缶・ペットボトル・ガラス瓶、各¢5)してもらえる制度。差額はリサイクル業者の運営手数料。リサイクルされたアルミニウム缶・自動車バッテリーは有価物として輸出、ペットボトルはアルミ缶と抱き合わせ、無料で輸出されている。しかし、ガラス瓶は破砕機で砕いた後の再利用を図っているが、破砕後の形状が大きくまた角がシャープなため、再利用できない。その上、危険との理由で埋立場にも搬入できない。コスラエ州では産業らしい産業が無いので、ガラス瓶を洗浄して再利用するシステム・ボトリング工場は無く、もちろん破砕したガラス(カレット)を溶かして再利用する工場・設備も無い。コンテナー容器に入れたまま保管されているのが現状(上記写真の通り)。そこで、ガラス瓶を砂状にまで細かく粉砕(1/8“&3/8”)する「ガラス瓶粉砕機」の導入を計画した。粉砕後は、セメントに混ぜてコンクリートの骨材として、また埋立場覆土の一部として利用する計画。基本仕様を決定し、見積照会。日本製品はきめ細かい仕様となっているが、やはり値段が非常に高い。コスラエ州の民間リサイクル会社が紹介してくれた米国製粉砕機を買うことにした。
例により、財源の調査。今回はオーストラリアODAを申請することにした。オーストラリアODA担当者がコスラエ州に常駐しており事前打ち合わせが十分でき、またその担当者に申請書類をレビューしてもらったことにより、内容は充実し、表現もネイティブイングリッシュになり、自分で言うのもなんだが素晴らしい申請書となった。ここで問題が発生、誰が申請するのか?リサイクルシステム及び機器はコスラエ州資源管理局が管理・運転(委託)しており、私が所属している公共事業局は管理していない。両局長と話をし、最終的に資源管理局から申請書を提出した。2012年12月申請、2013年2月承認。援助金額US$14,154.40。
しかし、例により、コスラエ州政府内の議会承認・会計手続き等が遅れに遅れ、前払い金を支払えたのが2013年7月。前回のトラックスケールで支払の遅さを経験したので、今回は事前に書類を揃え、プッシュしたにも係らず、頭金支払いに5か月もかかってしまった。曰く、承認が下りていない、担当者が休んでいる、コンピューターがダウンした、コンピューターシステムが動かない、書類を無くした・・・。日本に比べ金利の高いこの国で、金利だけでもかなり貯蓄できた計算だ、意図的ならば素晴らしいが・・・。更にもう一つの問題がエスカレーション。米国の会社はオイル高騰を理由に、発注時に運賃を値上げしてきた。ここで、ODA案件であることを説明・交渉し、何とか前の値段で契約できた。
今回の契約元がコスラエ州資源管理局であるため、局内担当者を決めてもらい、プロジェクトを引き継ぐと同時に、売買内容を知っている私が米国メーカーとの覚書を作成し、資源管理局経由で財務局に注文書を作成、支払い業務をしてもらう等、作業を分担しながらプロジェクトを進めた。
粉砕機は2013年9月末日に米国出港、約2ヶ月でコスラエ州到着予定。