ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

活動報告4 (コスラエ州シニアボランティア、坂根篤)

2013-09-25 15:25:52 | コスラエ州


リサイクルしたガラス瓶を破砕した後
破砕後も形が大き過ぎるのと鋭角な形状が危険といわれ再利用できない

Hello everybody, my name is Atsushi Noba Sakane. “Noba” is my Kosraean Name.

スーパーバイザー会議で発表した3項の二つ目である「破砕機」の導入を図った。

当初は、大型破砕機を導入し、大木を破砕し、コンポストorコンポガスプラントを造ろうと計画した。ここコスラエ州は草木の育つのが非常に早く、庭草の芝生だけでも大量のグリーンウエストが発生する。山地の樹木は手入れされておらず倒木が放置されている。コスラエ州は火山島であるので農地に適しており、野菜栽培・出荷基地としての可能性を持っている。戦前は近隣諸国への野菜供給基地としての役割を果たしていたと聞いている。近隣には野菜不足のマーシャル等周辺諸国があり、また沖縄米軍グアム移転計画もあり、野菜の大量需要が見込まれている状況で、農地開墾⇒農業促進⇒輸出促進+グリーンウエスト⇒破砕設備⇒コンポガスorコンポストプラントの組み合わせプロジェクトを考えた。財源はNEDO(新エネルギー開発機構)等から。しかし、現地の人々はそのような大規模開発には関心も興味も無いこと、また私有地が複雑に入り組んでいる状況では、大規模開発は難しいこと、大規模農業を開発・農作物を輸出するには農業公社的な組織が必要だが創設にはいろいろ利害関係がからみ難しいこと等が分かり断念。机上ではなかなか良い計画に思えたが、実際の制度・人々の考え方からすると、無理があったと思われる。現地に居て分かることもある好例だと思う。

コスラエ州では、4項目のリサイクル品がある。アルミニュウム缶、ペットボトル、ガラス瓶、自動車バッテリー。輸入時にデポジット制で料金を徴収(自動車バッテリー$4.00、アルミニウム缶・ペットボトル・ガラス瓶、各¢6)し、各品を指定場所に持ち込むと返金(自動車バッテリー$3.00、アルミニウム缶・ペットボトル・ガラス瓶、各¢5)してもらえる制度。差額はリサイクル業者の運営手数料。リサイクルされたアルミニウム缶・自動車バッテリーは有価物として輸出、ペットボトルはアルミ缶と抱き合わせ、無料で輸出されている。しかし、ガラス瓶は破砕機で砕いた後の再利用を図っているが、破砕後の形状が大きくまた角がシャープなため、再利用できない。その上、危険との理由で埋立場にも搬入できない。コスラエ州では産業らしい産業が無いので、ガラス瓶を洗浄して再利用するシステム・ボトリング工場は無く、もちろん破砕したガラス(カレット)を溶かして再利用する工場・設備も無い。コンテナー容器に入れたまま保管されているのが現状(上記写真の通り)。そこで、ガラス瓶を砂状にまで細かく粉砕(1/8“&3/8”)する「ガラス瓶粉砕機」の導入を計画した。粉砕後は、セメントに混ぜてコンクリートの骨材として、また埋立場覆土の一部として利用する計画。基本仕様を決定し、見積照会。日本製品はきめ細かい仕様となっているが、やはり値段が非常に高い。コスラエ州の民間リサイクル会社が紹介してくれた米国製粉砕機を買うことにした。

例により、財源の調査。今回はオーストラリアODAを申請することにした。オーストラリアODA担当者がコスラエ州に常駐しており事前打ち合わせが十分でき、またその担当者に申請書類をレビューしてもらったことにより、内容は充実し、表現もネイティブイングリッシュになり、自分で言うのもなんだが素晴らしい申請書となった。ここで問題が発生、誰が申請するのか?リサイクルシステム及び機器はコスラエ州資源管理局が管理・運転(委託)しており、私が所属している公共事業局は管理していない。両局長と話をし、最終的に資源管理局から申請書を提出した。2012年12月申請、2013年2月承認。援助金額US$14,154.40。

しかし、例により、コスラエ州政府内の議会承認・会計手続き等が遅れに遅れ、前払い金を支払えたのが2013年7月。前回のトラックスケールで支払の遅さを経験したので、今回は事前に書類を揃え、プッシュしたにも係らず、頭金支払いに5か月もかかってしまった。曰く、承認が下りていない、担当者が休んでいる、コンピューターがダウンした、コンピューターシステムが動かない、書類を無くした・・・。日本に比べ金利の高いこの国で、金利だけでもかなり貯蓄できた計算だ、意図的ならば素晴らしいが・・・。更にもう一つの問題がエスカレーション。米国の会社はオイル高騰を理由に、発注時に運賃を値上げしてきた。ここで、ODA案件であることを説明・交渉し、何とか前の値段で契約できた。

今回の契約元がコスラエ州資源管理局であるため、局内担当者を決めてもらい、プロジェクトを引き継ぐと同時に、売買内容を知っている私が米国メーカーとの覚書を作成し、資源管理局経由で財務局に注文書を作成、支払い業務をしてもらう等、作業を分担しながらプロジェクトを進めた。
粉砕機は2013年9月末日に米国出港、約2ヶ月でコスラエ州到着予定。


活動報告3 (コスラエ州シニアボランティア、坂根篤)

2013-09-15 07:52:28 | コスラエ州


台湾製トラックスケール
2013年6月コスラエ州に到着
Hello everybody, my name is Atsushi Noba Sakane. “Noba” is my Kosraean Name.

毎週月曜日の公共事業局スーパーバイザー会議で発表した3項目の最初の一つであり、また埋立場改善提案5項目の内一つでもある「トラックスケール」の導入を図った。
使用方法は:
ごみを積載したトラックの重さを量る(1)。次にごみを埋立場に投入した後、空になったトラックの重さを量る(2)。その差(1)-(2)が埋立場に投入したごみの重量である。正確なごみ搬入量を知ることにより、正確・適格な廃棄物対策が策定できる。例えば、ごみ搬入量10%削減と目標を定めても、今までは達成できたか否かも判断できなかったのでその目標を定められなかった。しかし、トラックスケールがあれば正確に計量でき数値で管理できるようになる。また、今までのごみ搬入量調査ではおおよその量しか推定できず政策決定のベースが非常に不確かであったが、今後は「ベース」も「成果」も正確な数値で把握できる。これからの記録をベースにいろいろな戦略・政策が計画できると期待している。

導入の第一は財源調査。米国からのコンパクトマネーが年々削減されている州政府の財政状態では、新たな設備の購入を政府予算から捻出することは非常に難しい。従い、新たな財源を探すこととした。財務局と活用できるODAを検討し、その援助内容規定・上限金額等を調べた。良し悪しは別として、予算がないと何も進まない現状がある。予算獲得がプロジェクト推進の第一歩である。
予算の次は技術。機械の基本仕様を決める。続いてインターネット・e-mailを駆使して業者から見積書・仕様書を取り寄せる。しかし、日本製品は非常に高額で金額的に申請可能なODAがほとんどなく、限定されてしまう。技術的に信頼できる台湾業者を採用することにし、ニュージーランドODAを申請することとした。
トラックスケール製品の技術査定、見積評価のみならず、プロジェクトとして予算を積算するため、その輸入関税、荷受け・国内運賃、配線工事・据付工事費用、雨よけ建屋(計画・設計・製作・資材調達、組立建設)を見積、その金額をODA部分と自己負担部分に分けて申請金額を確定、申請理由を分かり易く丁寧に、ストーリーを考えながらカウンターパートと一緒に英文で書き上げる。廃棄物対策、特にごみ処理政策立案に有効的なことをアッピールし、局長の承認・サインをもらって、2012年6月に申請した。幸いなことに8月に承認された。
ここで最も注意することは、その設備が本当に必要なのか?納入後も運転管理がなされるのか?を考えること。幸い我々ボランティアは、机上の空論ではなく、現地に住み、状況を見、現地の人々と会い、担当者と話をし、必要性を確認・実感することができる。運転管理は、システム・メンテナンスが簡単で操作が容易なものをできるだけ選ぶようにした。

次に問題となったのがコスラエ州政府内の手続きが遅いこと。ニュージーランドの補助金は、2012年8月承認後ただちに州政府銀行口座に現金で振り込まれたのに、州政府手続きが完了し台湾業者に送金できたのが2013年4月、実に8ヶ月かけて手続きを終えた計算である。今後は事前に書類をそろえ、各通過部署の根回しが必要。しかし、台湾業者の事前手配等の協力で、送金後直ちに貨物を出荷、結果、貨物をコスラエで受領したのが2013年6月。申請が承認され、メーカー(金額・仕様)が確定した後の、契約書・注文書の作成、送金、貿易実務に基づく船積書類の受領・荷受け、輸入関税等々、必要書類を直ちに揃えても、その承認・発行過程で異常に時間がかかる。補助金は一旦州政府の財布に入るが、いったん財布に入ると、その支出に州議会・州知事・財務局長の承認、セコンドリ-ディング、プロジェクトアカウント設定等、法律に従った手続きが必要となり、物理的に時間がかかることも事実である。次回以降のプロジェクトはこの経験を踏まえ、事前の資料準備、根回し、プッシュを心がけた。

その次の問題は、申請時の「雨よけ建屋」の見積時積算金額に比べ、詳細設計時の積算金額が高くなってしまったこと。申請当時の技術者が辞め、新しい技術者が計画し直したのも理由の一つだが、その新しい土木建築技術者とコストダウンをあれこれ検討し、ようやく予算内に収めることができた。計画変更とかエスカレーション(コスラエ州ではオイルの値段で物価が簡単に変わる)とかあるので予算通り施工するのが難しい。建屋建設は請負契約方式ではなく、材料のみを手配し、建設は公共事業局のマンパワー・重機を使用した。その段取りを経験していなかったため、局内の材料手配から建設手配まで思ったように進まず、また建設スーパーバイザーの病気もあって、着工待ちの状態である。建屋の完成は2013年9月末の予定。1年がかりのプロジェクトとなった。我々ボランティアの任期が2年間なのに1プロジェクトで1年強を費やすのは問題。もっと効率よく複数のプロジェクトを手掛けたい。プロジェクトのモニタリングは後の人々に任せざるを得ないが・・・