ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

世界環境の日(コスラエ)

2010-06-19 19:19:32 | コスラエ州

6月5日(土)は世界環境の日です。世界環境の日の由来は1972年6月5日にスウェーデンのストックホルムで開催された国連人間環境会議を記念として、同年12月15日に日本とセネガルの共同提案により国連総会で「世界環境の日」として制定されました。その前日の6月4日(金)にコスラエ州のレラ地区では大規模なクリーンアップ活動が行われ、DT&I所属の濱崎SVとKIRMA所属の私は参加しました。

今回のクリーンアップ活動に合わせるかのようにレラ地区の各家庭の人々は粗大ゴミを道路脇に出し、私もコスラエアンと一緒に粗大ゴミを大型トラックに詰め込む作業を行いました。鉄くずが頭に降ってきたりで服がドロドロになりながらでの作業でした。世界でも屈指の多雨地域でもあるコスラエ州ですが、この日は天気がよく雨も降らず、この粗大ゴミを回収する作業はどんどん行われました。粗大ゴミはこの日だけでは回収しきれず、6月7日(月)にも私の配属先であるKIRMAのスタッフと他の団体のコスラエアンとで回収を行い完了しました。またこの日から先日5月20日(木)に「草の根無償資金援助計画」の第二期事業として日本から寄贈されたごみ収集車による回収が始まりました(詳細は濱崎SVが投稿された記事「ごみ収集車の到着!!(その2)」をご参照下さい。)


今回の作業は海の中でも行われました。KIRMAのスタッフをはじめとするコスラエアン達はスキューバーダイビングを行ってゴミ回収を行いました。海の中で人の手では運べないような粗大ゴミはクレーンを使って回収されました。陸も海もかなりのゴミが回収され、レラ地区も美しくなりつつあります。


今回のクリーンアップ活動には小学生もたくさん参加しました。家から出る粗大ゴミは仕方ないのですが、道や海岸にはポイ捨てのゴミがたくさんあります。小学生には「ゴミ拾いは汚くてやりなくない。だからゴミは道や海に捨てないようにしよう。」となればいいと思います。


同時に気候変動に対する啓発活動も行われました。これはミクロネシア連邦を含む大洋州13ヶ国が参加する「太平洋地域の気候変動に対する対応計画」((Pacific Adaptation to Climate Change)がGEF(地球環境ファシリティ)より資金援助を受け、2010年から2014年までの5年間で食糧生産と安全、水資源、沿岸保全管理という3つの項目で成果を挙げられる事の必要性が昨年のサモアで行われたワークショップで協調されました。コスラエを含むミクロネシア連邦は沿岸保全管理の開発問題に取り組みます。

クリーンアップ活動しているコスラエアンと同時に、軽トラックからコスラエ語表記で地球温暖化防止を訴えているコスラエアンもたくさんいました。コスラエ島は小さな島であり、海岸近くに住んでいる人もたくさんいるので地球温暖化の影響による海面上昇でまともに被害を受ける可能性が高いのです。

地球温暖化とは少し別の問題かもしれませんが、何年か前には津波によってタウンサック地区では甚大な被害を被った事もありました。今年の2月28日(日)にはチリ地震の影響によって昼の12時に避難するような警告が朝5時にラジオ放送を通じて出され、私のホストファミリーはすぐに山へ避難し、他のコスラエアンも朝早くから山へどんどん避難しました。このようにコスラエアンは地球温暖化の影響により、海面上昇で被害が被るという意識は高いと思われます。

今回の活動が今後のコスラエへいい影響が出る事を期待したいと思います。



平成21年度3次隊 コスラエ州 柏原 庸一


ごみ収集車の到着!!(その2)

2010-06-09 09:56:42 | コスラエ州
コスラエ州の濱崎短期SVです。
現在コスラエ州のごみ最終処分場で活動しています。

「ごみ収集車の到着!!(その1)」の続きとして、
ごみ収集車の贈呈式と収集車同乗記をお伝えします。

1.ごみ収集車の贈呈式
2010年5月20日(木)に「草の根無償資金援助計画」の第二期事業である2台の
ごみ収集車と290個のごみ箱を提供する贈呈式が州政府で行われました。
コスラエ在住の日本人全員6名(内JICA4名)、3自治体のMayer、DT&I,
KIRMA局長の州政府関係者が出席する中で、コスラエ州知事(Hon.Robert J.WeiDacher)の
車贈呈に対する謝辞、佐藤在ミクロネシア日本大使の贈呈の趣旨、期待などのあいさつ後、
大使からコスラエ州知事へ「ごみ収集車のキー」が渡されました。
いよいよ全州でごみ収集システムがスタートしました。


<Hon.Robert J.WeiDacherコスラエ州知事の挨拶>


<佐藤在ミクロネシア日本大使の挨拶>


<佐藤大使から州知事へ収集車のキーが渡されました>

式後、DT&Iの職員(SVのカウンタパートの一人、車の操作訓練責任者)の案内で
ごみ収集車を見学しました。
大使は2台の収集車の前部にデザインされている「日本・FSM両国の国旗」、
後部のコスラエ州のナンバープレート等を一つ一つ入念にチェックされながら
「ヨシ!いいぞ」と職員に声かけ、OKの手サインを出されていました。


<ごみ収集車の前で!佐藤大使を真ん中に、DT&Iの職員(訓練指導官)(左)とSV(右)>

2.ごみ収集車の活動開始
このごみ収集車2台は、神奈川県横浜市、愛知県江南市から寄贈されたもので、
2010年4月11日(日)の深夜にコスラエ上陸以来、点検も終え、またオペレータの訓練も
終えて満を持して出番を待っていました。
やっとこの贈呈式でその機会が訪れたわけです。

しかし、その翌日から活躍するものと期待していましたが、一向に動かず、
何と2週間後の6月4日(金)が初出動日となりました。
上陸後2か月弱も経っています。
この間いらいらしながら毎日「何故動かさないのか?」と局長に迫ってきましたが、
スタートする気配はなく、「ごみ収集車に関しては私に責任がある。
そのため「運用合意書」の締結が必要なのだ」との主張ばかりでした。

草の根無償資金援助の契約者が州政府のDT&Iであり車の管理責任はDT&Iにあること、
一方ごみ収集の実作業は自治体であること、このため両者は組織体が異なり、
運用に関して両者間の取り決めを、口頭ではなく「運用合意書」として書類上で合意・署名
(州知事、DT&I局長,自治体Mayerの三者)する必要があり、時間が掛るとの返事でした。

また、この日は、大洋州の気候変動キャンペーンの日(World Environment Day-Pacific
Adaptation to Climate Change)である、と同時にLelu 自治体がクリーン日として
「ごみ一掃の日」として設定している非常に重要な日でもありました。

さらに、ミクロネシア大統領も場合により来島する可能性があるとのうわさもあり、
老若男女、自治体の多くの参加者の動員がこの日は予想され、ごみ収集車の
初お披露目としては絶好の日だったのです。


<この日は多くの人達が参加しました>

平日に淡々と登場するのではなく、どうせならこの国のお国柄らしく?派手派手しく!とのことでしょう。
DT&I局長は、この車をバックに、日本からの車登場の紹介と、ごみ収集の協力依頼を
多くの参加者の前で演説しました。案外彼はこの演説がしたかったのかも分かりません。

私は毎日いらいらして登場を催促していましたが、この日をターゲットにして実は彼なりに
考えていたことだったかも分かりません。
ですから、大勢の人達を前にした「車登場」の紹介は、狙った通りの抜群の宣伝効果
を挙げたと思われ、そのことを車に同乗して肌で感じたものです。

3.ごみ収集車に同乗
この日、ごみ収集車にMayerと同乗し、Lelu 自治体の各家庭を一軒一軒ごみ回収に回りました。
Mayerは車の前部の助手席に率先して陣取り、「日本から来た新車でごみ回収に参りました!
ごみを出してください。」とでも言っているのでしょうか、車に搭載されているマイクを片手に
Mayerは大声を出して呼び掛けていました。
マイク搭載の車は珍しいことなのでしょう。Mayerはにこにこ顔で、かつすこしは緊張しながらも
楽しそうにマイクを掴んでいました。


<ぼろぼろの旧回収車。ちょっと見た目には、これで動かしていたの?が感想です>


<新車登場!>

私は、車の後部のステップに乗り、家から出されたごみを車に積み込む作業をしました。
時には分別が出来て無い家庭に対しては分別の仕方を教えて、正しい分別のお願いをしました。
正しい分別は一朝一夕では無理でしょうし、そのための活動は別途考えますが、街の人は、
ごみ回収の汚い作業をしている日本人の労働者?に驚くものの、やがてはいっしょになって
積み込む作業の手伝いをしてくれました。
積み込んだごみを、グワー、バリバリと押しつぶしながら一気に車の奥へプレスしていく
新車の威力を眼の前にして「これはすごい!」とコスラエ語で言っていました。
コスラエ語だからわかりませんでしたが、驚嘆している顔が多分そう言っているのだろうと
勝手に解釈しました。


<ごみの積込み作業(SV)。ごみを出している街の人達(後ろ向きの人)も協力してくれました>

各家の回収が終わる度に「クロー(ありがとう)!」のあいさつが返って来る声が、
かんかんの日照りで疲れている身体を癒してくれました。

新車によるごみ収集システムはLelu自治体からスタートしました。
ごみ一掃の日にふさわしくLeluの街はみごとにきれいな街に変わりつつあります。
贈呈式に参加した残り2自治体も順次スタートをするでしょう。
未だ賛意を示していない1自治体も、おそらく周囲の圧力で参加するものと期待しています。
しかしその日の到来まで、ごみ収集のスタートを迫りながらも、一方では辛抱強く焦らず、
彼らが自ら立ち上がることに注力を注ぐことが大事であると強く思いました。

コスラエ 濱崎 丘

ブルドーザー贈呈式

2010-06-02 07:56:48 | チューク州
5月28日(金)、チューク州政府の会議場にて、在ミクロネシア日本国大使館の佐藤大使、チューク州知事、関係機関職員の同席の下、ブルドーザーの贈呈式が行われました。


在ミクロネシア日本国大使館 佐藤大使


ミクロネシア連邦チューク州政府 シミナ州知事




このプロジェクトは、僕が赴任直後、現地の関係機関の長や職員と何度も協議をし、現場調査も行った結果、島で唯一の公共の廃棄物投棄場が機能していなく、それを修復させる重機も不足していることから、ブルドーザーがどうしても必要だとの現場の声に応える形で、僕が所属するチューク州環境保護局として、在ミクロネシア日本国大使館に、草の根・人間の安全保障無償資金協力のスキームを通してブルドーザー供与の申請を行いました。



(1) 案件の要約
機能しなくなった廃棄物投棄場を、廃棄物処理場(埋め立て場)として再生し、島内に点在する廃棄物不法投棄場を閉鎖する。また、廃棄物処理場までの道を整備し、アクセスを良くすることで、将来的に島民による廃棄物の不法投棄停止へと繋げる。
(2) 内容
① ブルドーザー1台を供与し、既存の廃棄物投棄場を廃棄物処理場(埋め立て場)として再生することで、廃棄物投棄場が埋め立て地として再び機能するよう整備する。
② 廃棄物処理場までのアクセスを良くすることで、島民が廃棄物を処理場まで運ぶ労力や時間、さらには経済的負担を軽減する。
                                                                  (申請書より抜粋)


申請から約1年弱、ブルドーザーが無事チューク州ウエノ島に到着し、贈呈式も無事成功に終わりました。

今後は、ブルドーザーを使い、プロジェクトを進めていく予定です。
このプロジェクトに係る諸経費(他の機材機器、ブルドーザーの燃料、ブルドーザーの取替え部品等)は、$100,000.00アメリカドルが今年度の予算に組み込まれているため、予算面に関しては問題なしです。

このブルドーザー供与によって、関係機関職員だけでなく、州知事、州議会、一般人までが、廃棄物プロジェクトに関してとても関心を抱いていることを日々実感し、ハード面だけでなく、人々の意識も変えるきっかけになっているのだと感じ、現場調査から課題発掘、申請、引取りまで行った者として、とても嬉しく思っています。



宮城 匡志