ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

2013年4月 J-AWARE3(商業系ごみ発生量調査)

2013-05-20 15:33:15 | チューク州
こんにちは。日本ではゴールデンウィークを終え、五月病の時季となっていますが(笑)、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
チュークでは、決選投票となっていた州知事選挙の結果が決まり、引き続き現職が知事となっています。




1.平成25年4月の主な活動
19日から4つ目となるMechitiw村で、ホーンコレクションをスタートしました。事前にコミュニティ向けにワークショップを行いましたが、参加者がわずかだったということもあり、収集中にもスタッフにチラシを配ってもらうことに。今回も収集スタッフが丁寧に住民に対してごみの出し方を説明してくれました。



Mechitiw村は主要道路に面して家が密集して並んでいるため、ホーンコレクションに適している場所。ただ、海にも面しているため、これまでは多くの家でごみがそのまま海へと投げ捨てられていました。ホーンコレクションを通して、この習慣が大きく改善されることを期待しています。




 また、22日には公共事業局と月一回の定例(にしてほしい)ミーティング。今回は、事前に話し合いたいことをスタッフから聞いておくことで、私の方からだけでなく、スタッフの方からも日ごろ考えていることを議論してもらいました。
残されたチャンスは5月と6月の2回。みんなで集まって話し合うという習慣を定着させてほしいものです。




 なお、3月から始めた埋立場の大規模修繕は現在も継続中。埋立場の内側からごみを捨てられるようにするために設置しているアプローチロードですが、民間業者に依頼しているサンゴの砂がトラブルもあってなかなか届かず。
全く難しい作業ではないのですが、必要なものがなければ完成させることはできません。。。



2.J-AWARE3
昨年2月に実施したダンプサイトでの搬入量調査J-AWARE2に引き続き、今回はJ-AWARE3として商業系ごみの発生量調査を各州のJICAボランティアと連携して行っています。
先輩隊員によるJ-AWARE第一弾では、家庭ごみの発生量調査が行われているため、今回の調査結果を用いて各州におけるごみ処理の発生から処理までのながれ(Waste Stream)を把握することを主な目的としています。






このため、4月は60件程の事業所を同僚とともに訪問。業種はホテル、レストラン、マーケット、政府、学校等多岐にわたります。チュークでは、埋立場が十分に管理されておらず、島の中心部からも離れた場所にあるということもあり、事業者が各自様々な方法でごみを処理しています。

中には、自分の所有地を埋立場としているというので見せてもらうと、海辺にごみを溜めているだけ。これでは、大雨などで増水した時に海へと流れてしまうことは一目瞭然。この調査を通して、まずはその実態を把握し、より良い処理方法へと導いていくことが期待されています。



 このJ-AWARE3に関わっている環境系隊員のなかで、私が一番先輩となるためまとめ役をやっていますが、これから集めたデータの分析や報告書の作成(英語版も)を行わなければいけません。さて帰国までにどこまでできるでしょうか。



3.この1カ月を振り返って
 ミクロネシアにいられるのも残すところいよいよ1か月ばかり。最後の活動の締めと、JICAへの最終報告書の作成などに追われ、それなりに忙しい日々を過ごしています。そのような中、自分はこの2年間でチュークに何を残せたのかということをよく考えます。

幸いなことにまだ時間はありますので、残された日々で今後もどのように継続できるかをこちらのスタッフと共に考えていきたいです。

下の写真は最近のお気に入り。この素敵な夕陽もあと何回見れるでしょうか。







(おまけ)
4月の下旬からフィリピンに旅行に行ってきました。ダイビングや観光地巡りの他、現地NGOの活動を見たり、ダンプサイトも訪問してきました。関心ありましたら、以下のリンクをご覧ください。

フィリピンのごみ事情~木炭ビジネスなど~


お葬式での一コマ

2013-05-19 14:08:06 | ポンペイ州
5月17日(金)、友人の死から8日が経過した。
喪主である故人の兄に故人の写真を贈ろうと思い、晩に家を訪ねた。葬式から一週間が過ぎているにも関わらず、そこでは親戚だけが集まってサカオが飲まれていた。時間も遅かったこともあり、いくらかの人はサカオに深く酔い、ぐったりと椅子に座り、言葉数も少なくなっていた。(サカオには鎮静作用があるため、飲めば飲むほどテンションが下がり、ついには深い眠気を催す。そのため「平和なお酒」とも言われる)

自分も少しサカオを頂き様子を伺っていると、兄嫁が部屋からベビーパウダーとシェービング用のムースを持ってきた。そして、隣に座っていた夫の首、肩にベビーパウダーをおもむろにかけ始めた。さらにムースを頭にかけていく。次々にゲストが白い粉まみれ、ムースまみれになっていく。そして自分もパウダーの洗礼を受ける。兄嫁もゲストからの反撃を受ける。一部では反撃がエスカレートし、お互い服ごと体が真っ白になる。

突然始まったこの出来事を自分は大笑いして見ていた。頭のてっぺんに山盛りになった白いムース。ニヤニヤしながらお互いにパウダーを掛け合う様子。静かだった場の雰囲気が何やら一変した。

どうしてこんなことをするのかと問うと「これはポンペイの習慣だ。こうやってみんなでふざけることで楽しくなるんだよ」と。

この習慣、考え方をすごく人間的でいいなと思う。いつまでも悲しんではいられない。お互いに元気になるように笑い合う。
ポンペイ人の喜怒哀楽を感じた夜だった。


24年度2次隊 浜川

気候変動に関するワークショップ

2013-05-16 09:10:24 | ポンペイ州
ポンペイには気候変動問題に対して、Pohnpei Climate Change Outreach Committee(気候変動問題対策委員会)なるものがある。これは主に教育系機関、環境系の行政、NGO、NPOそして各国大使館(アメリカ、日本、オーストラリア)などが組織してできたもので、先日のアースデイもこの委員会が母体となっている。
今回、オーストラリア大使館が予算をつけ、ポンペイの10の集落においてワークショップを開催することになった。これは簡単に言うと各集落を訪問し、気候変動によって起こっている問題を周知し、それに対してこの集落ではどう対策をしていくかを考えるものである。今回、委員会を代表して、EPA、International Organization Migration、Conservation Society of Pohnpei、その他2団体のスタッフが集落を訪問した。
5月10、11日、一泊二日で集落サラプックで行われたものにカウンターパートとともに参加をした。

サラプックはポンペイでも最も山奥に位置する集落で、中心地コロニアからも車で1時間半ほどかかり、直前のアクセスロードは四駆でなければ登るのが難しいほど悪路である。ポンペイ最高峰ナーナラウトへの登山口でもある。村人は160人余りでほとんどの人が農業に携わり、そのほか裁縫、公務員などで生計を立ており、半自給自足といった感じだ。ワークショップは小学校に隣接する集会所で行われた。

集会所。


村唯一のアクセスロード。



ポンペイではお決まりの村長、お偉方のスピーチがあり、2時過ぎよりワークショップが始まった。まず、ここで起こった災害の歴史をタイムラインに書き込んでいく。一番古いもので1900年頃から。これにより、災害の種類、頻度の変化を可視化していく。定かではないが、これにより災害の質、量の変化を認識するのが目的のようだ。これについては近い年代ほど、人々の記憶、言い伝えも残っていることが多いだろうから、量の変化を確認するというのは少し疑問が残る。



次に村の地図を村人に描いてもらう。この目的ははっきりわからなかったが、村の主要な建物、重要なポイントを確認していた。グループで話あったのちに、村人がプレゼンをした。



村の地図をプレゼンする副村長。


初日の最後は気候変動の構造をスタッフが説明。温室効果ガスの仕組みから、エルニーニョの仕組み(太平洋の島国なので、理解が重要なのだと思われる)、そして、これらがこの村にどのような結果をもたらすのかという話。



二日目、まず初めにカウンターパートがポンペイの河川の汚染状況に関する最新のデータを説明。近年ポンペイは人口の増加に伴い、生活排水による汚染、そして豚のし尿による汚染がはなはだしくなっており、問題となっていている。特に島の南部では、上水道はなく川の水が生活用水であるため、その影響は大きい。

プレゼンをするカウンターパート。


最後のプログラムはこれらの現状を踏まえて、この集落では何が問題で今後どういった対策が必要なのかをアクションプランとしてまとめ挙げる。これはスタッフは司会、進行を務めるのみで村人が議論し、答えを出していく。

この点、開発協力の形としてこのような方法がとられていることは驚きだった。スタッフもポンペイ人であり、実際に答えを出しているのも現地の人。大国が目に見えてわかりやすい資金が物を言わすような開発協力をしているのとは違う。
ワークショップ終了後に、この驚きをスタッフに伝えると、スタッフも「以前はスタッフが答えを与えるようなことをしていた。けれどそれでは効果的ではないということに気づき、今回新しい方法に挑戦している」のだという。住民参加型の開発協力が現在の世界のトレンドではあるが、それをここポンペイで目の当たりにすることができたのは大きな学びになった。何より、(少し上から目線かもしれないが)ポンペイ人自身が自立的に未来を見据えて行動をしているということが実感できて、個人的にすごく嬉しかった。

村人が導いた重点項目は、水の確保、森林伐採、公衆衛生(下水、豚のし尿の管理)。
スタッフも今後フォローアップを行っていくという。
彼らの自律的な発展を願う。


24年度2次隊  浜川



友人の死

2013-05-14 08:41:01 | ポンペイ州
5月10日(金)の朝、仕事で職場に向かうとスタッフからある人が今朝亡くなったと知らされた。
途方に暮れる自分。
木曜日の夜、サカオ(ポンペイのお酒)を飲んだあと、心臓の疾患が原因で倒れ、そのまま亡くなったそうだ。

彼はコロニアタウンで働くごみ収集車のドライバー。日本からの送られた収集車をほんと上手に運転する。そして自分がポンペイでこれまで最もお世話になった人のうちの一人である。

7か月前、ポンペイに到着した翌日、サカオ(ポンペイのお酒)を作っている様子を珍しそうに遠くから伺っていると彼はカモン、カモン!と気さくに呼びかけてくれ、サカオだけでなく、ご飯をごちそうしてくれた。その夜は彼のお母さんの誕生日だった。


後に、職場近くのコロニアタウンの役場で働いていると知ってからは、会うたびに「タカ―!!」と陽気な挨拶をしてくれた。そして、ゴミ収集車にも心よく載せてくれ、逆に「明日も乗るか?」と誘ってくるようなほんとにいい人だった。

彼が亡くなる一週間前の木曜日。ドラム缶に入ったゴミ重量を計るという自分の活動を彼は快く引き受けてくれた。そして、明日サカオを飲みに行こうと誘ってくれた。
金曜日、昨日撮った写真を感謝の意味を込めて彼にあげた。
それが彼との最後になるとも知らず。


ポンペイではお葬式が4~7日続くのが一般的だ。亡くなった当日に埋葬し、2日目には豚を食べ、3日目には魚を食べる。あとは家族によっていつ終わるかが決まる。そして、その間サカオが毎日延々と飲まれる。悲しみをサカオの酔いで鎮めるかのように。
嬉しい時も悲しい時もポンペイ人はサカオを飲む。彼らにとって何より欠かせないもの。


2日目の夕方、お葬式へ行くと彼の奥さんに「あなたの撮った写真があるよ」と言われた。
一週間前に見た彼の姿が遺影として飾られていた。



ポンペイに来て、自分にとって大切な人が3人亡くなった。一人目は職場の頼れる同僚。二人目はポンペイ語の先生。そして、彼。

協力隊員は現地の人と生活を共にすることで様々な体験をする。その中に人の死も含まれる。


彼の冥福を祈ります。




24年度2次隊 浜川



Youth to Youth Environmental Fair

2013-05-12 19:04:25 | ポンペイ州
5月9日(木)、ミクロネシア短期大学のポンペイキャンパスの体育館にて、Youth-to-Youth Environmental Fairが開催された。これは環境保護協会(Conservation Society of Pohnpei、NGO団体)が中心になって毎年開催している小学生への環境教育プログラムだ。ポンペイ島にある27の小学校から7つの小学校が選抜され、その6年生が対象となる。各小学校に様々な環境系の団体がテーマを決めて事前に環境教育を実施し、当日みなの前でプレゼンテーションを行った。


参加した小学校とサポート機関、学んだテーマは以下の通り。

School / Organization / Theme
RSP / Environmental Protection Agency / Sources of Climate Change and Ways to help reduce
Saladak / Conservation Society of Pohnpei / Invasive Species Control and Management
Lewetik / Natural Resorces Conservation Society / Dry Litter Piggery, Raised Bed Gardening for Food Security and Income Generation, & Water Quality
Kolonia / Isand Food of Cmmunity of Pohnpei / Local Food
Lukop / Divison of Fish and Wild life / Marine Protected Area Rules and Regulations
Salapwuk / International Organization for Migration / Deforestation & Climate Change
Rohi / Conservation Society of Pohnpei / Coral Reef

我がEPAはRSP小学校をサポートし、生徒たちは気候変動問題とその対応策について学んだ。およそ3か月前より学習を始め、グループごとにテーマを決め、学んだことを2枚の絵に描きあげた。一枚は気候変動の問題について、もう一枚はその問題の対応策についてである。発表テーマは二酸化炭素排出による地球温暖化、森林伐採、ごみによる海洋汚染など。初めはメモを見ながらしか発表することができなった彼らが、当日堂々とスピーチをしている姿を見て、ちょっと感動!みんなよく頑張った!!

二酸化炭素の発生を説明する。

今まで指導に当たっていたカウンターパートは当日ミーティングが入ったとのことで、「タカ!引率は任せたぞ。EPA代表で行ってこい!」と急遽EPA代表に(笑)
閉会式でEPA代表として修了証とバナナ一房と株ともらった。頂いた株は家の裏庭にさっそく植樹!早ければ半年で実をつけるらしく、これからの成長が楽しみだ。

その他の小学校では、それぞれのテーマを盛り込んだ歌、伝統的ダンス、劇などが演じられた。

ポンぺイの河川の水質調査結果を発表。


コンポストの作成過程を実演。


劇を披露。

生徒たちとってはいろいろな環境問題について様々は発表方法により楽しみながら学びを深めることができたと思われる。日本ではこのようなプログラムは珍しく、環境教育に触れる機会はポンペイの子どもたちの方が多いように思われる。今後も本イベントが続いていくことを期待したい。


24年度2次隊 浜川