コスラエ州高校生が配属先(公共事業局)を訪問
コスラエ州レラ小学生が配属先(公共事業局)を訪問
年1回の環境教育、局長の説明と現場見学、私も福岡式の原理を説明
3R(Reduce, Reuse, Recycle)をみんな知っていたのでビックリ
JICA先輩隊員の残した結果と思われる
Hello everybody, my name is Atsushi Noba Sakane. “Noba” is my Kosraean Name.
私の活動期間も後4.5か月となり「最終まとめ」の時期となった。任期の80%以上が過ぎ去ったことになる。活動を総括するとコスラエ州トフォール埋立場に関する改善提案は6項目、廃棄物対策に関する提案は4項目、人間の安全保障に関する提案は1項目、計11項目の提案に対し、任期中に実現可能な項目は7、実現が難しそうな項目は4、である。実現が難しそうな4項目に関しては引き続き実現に向け努力していきたい。また、実現予定の7項目に関しては、実現の為の実務を率先して行いたい。
各提案とは:
1. ○埋立場改善提案(浸出液循環システム): ニュージーランドODAにて実現予定(US$2,381.-)。
2. ○埋立場改善提案(水草の育成):第一・第二浸出液池に水草が自然育成、期せずして実現(費用0)。
3. ×埋立場改善提案(排気筒に目盛記入):埋立場寿命が後20年近くあり配属先必要性認めず、任期中の実現は難しそう。
4. ○埋立場改善提案(トラックスケール設置):ニュージーランドODAにて実現予定(US$11,398.-)。
5. ×埋立場改善提案(洗車装置):設計完了、数量調書作成済、予算書作成済。予算手当次第で実現できそうだが、優先順位で任期中の実現は難しそう。
6. ○埋立場改善提案(排気筒基礎改造):公共事業局内予算で実現(US$348.31、材料費のみ)。
7. ○廃棄物対策(ガラス瓶粉砕機):オーストラリアODAにて実現予定(US$14,154.40)。
8. ○廃棄物対策(医療廃棄物焼却炉):日本「草の根・人間の安全保障無償資金協力」にて実現予定(US$80,700.-)。
9. ×廃棄物対策(廃油焼却炉):援助金打診中、任期内の実現は難しそう。
10. ×廃棄物対策(廃車リサイクルシステム構築):立法~輸出のシステムを提案。資源管理局弁護士(オーストラリア人)に趣旨説明したが、任期中の実現は難しそう。
11. ○人間の安全保障(モーターグレーダー、コスラエ道路改修工事を含む):日本「草の根・人間の安全保障無償資金協力」にて実現予定(US$388,635.-)。
最初の「活動報告」に書いたことだが、腐敗性有機物・病原性細菌・有害有機化学物質・処理困難物を無害化・無機化し、地球温暖化に大きな影響を与えるメタンガス(同量のCO2の21~72倍の温室効果をもたらす)発生を大幅に抑制し、その容量を1/10程度に削減できる焼却設備は廃棄物処理に有効だと思う。特に、島嶼国での医療廃棄物、処理困難廃棄物等は焼却処理が最適だと私は思っている。島から出荷するには船か飛行機を使うしかなく、船や飛行機の運賃・燃料消費・出荷後の再利用or廃棄プロセスを考えると、島での焼却処理の方が合理的だと思えるからである。EUでは、地球温暖化の原因としてのメタンガス発生を抑えるため、生ごみの埋立処理を「EU指令」で実質禁止(前処理が必要)し、焼却処理・生物処理を推進している。コスラエ州立病院に「医療廃棄物焼却炉」を導入できたことは本当に嬉しかった。しかし、自動車のエンジンオイルや発電所から出てくる廃油を処理する「廃油焼却炉」、あるいは一般雑芥・プラスチック・廃タイヤ・廃油等を一度に焼却する「産廃焼却炉」の導入まで至らなかったのは、非常に残念である。
ここでEU(欧州連合)の廃棄物政策に関し簡単に述べたい。
欧州共同体は、加盟国共通の政策基準として委員会指令(directive)を作成している。指令自体は直接加盟国を拘束しないが、加盟国はEU指令に基づいて国内法を整備することになっているので、共同体共通の法律に準じるものと考えられる。以下に、そのいくつかを示す。
1. 埋立指令、1999
埋立場が環境を汚染して安全や快適さの脅威となり、温暖化ガス発生を放出するとの認識に基づいて、液状廃棄物、爆発性・腐食性廃棄物を管理し、廃棄物の混合埋立の禁止、タイヤの埋立禁止など、広い範囲にわたる基準を作成した。
2. 廃家電製品指令(WEEE)
3. 廃自動車指令(End-of-Life Vehicle)
4. バッテリー指令
水銀を含む電池を全面禁止し、すべての電池を回収しなければならない。回収率目標値はすべての電池の75%、産業用電池の95%、回収された電池の55%以上のマテリアルリサイクル。
5. 容器包装廃棄物に関する指令
ちなみに日本の個別リサイクル法は;
1. 容器包装リサイクル法
2. 家電リサイクル法
3. 建設リサイクル法
4. 食品リサイクル法
5. 自動車リサイクル法
6. グリーン購入法
7. 家畜排せつ物管理法
私案の「廃車リサイクルシステム」も実現までは至らなかったが、その概要を紹介すると;
コスラエ州廃車リサイクルシステム(原稿)
これは、コスラエ州廃車リサイクルの私案である。毎年約120台の車がコスラエに輸入されている。「汚染責任者が費用を負担する」方針により、自動車リサイクル財源確保のため、法律を制定したい。
第一段階:
自動車リサイクリング税US$500/台を自動車輸入時に輸入業者から徴収する。その税は下記のような自動車リサイクルのみに使用する。
1. 自動車の減容・輸送の簡易化のために自動車プレスマシン(US$100,000.-)を購入する
2. 放棄自動車をスクラップヤードに搬送する
3. 所有者の依頼により廃車をスクラップヤードに搬送する
4. プラスマシンの運転・維持管理
5. スクラップヤードの運営・維持管理
6. 第二段階の為に財源確保(廃車リサイクリング税)
第二段階:
州政府が十分な財源を確保できた時点で、自動車リサイクリング事業の入札案内を行う。入札者は下記のような事業費用を提案する(自動車リサイクリング入札金額)。
(1) 無料(運営費用=売却費用)⇒問題無
(2) リサイクリング費用を州政府から補填(運営費用>売却費用)⇒自動車リサイクリング税で補填(必要であれば増税)
(3) 州政府に利益還元(運営費用<売却費用)⇒自動車リサイクル減税(又は、自動車リサイクル税将来廃止)
*注:
1. エンジンオイル、タイヤ、バッテリー、空調機器、エアーバッグ等、有害部品は入札者(民間業者)により取り除かれる。
2. 業務範囲は、廃車プレス運転から輸出まで(プレス廃車の販売まで)。
3. スクラップヤードは州政府にから提供される。
4. 廃車は州政府により収集される(収集トラック所有の問題で、民間所有であれば民間収集とする)。
5. 自動車プラスマシン及び輸送用自動車は州政府が提供する。
第三段階:
州政府はシステムを見直し、必要あれば変更する。
しかし、つい最近、民間の廃車処理業者が営業を開始したようで、民間のみで採算に乗るのであれば何ら問題なく、官が法律をつくってまでシステム化し援助する必要は無い。しばらく様子を見守りたい。