ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

ヤップ州の衛生的最終処分場(福岡方式)の建設

2012-02-19 16:21:46 | ヤップ州
ヤップ州の衛生的最終処分場建設の検討を開始してから、紆余曲折を繰り返しながら任期も残すところ4ケ月
に迫ってきました。
 PW&T(土木部門)と私の所属するEPA(環境保護局)で協議を重ね、JICA 環境企画調査員、専門家、
J-PRIZUM チ-フアドバイザ-、大使館員、及びパラオ・日本の関係者等のアシストを得て目に見える
ものが出来上がってきました。

 *計画の変更
  ・前準備(廃棄物量・種類の調査)の終了
  ・不足金額の確保(草の根資金以外のヤップ政府が用意する分)
  ・~2012年 6月 詳細図面・見積書の完成、草の根資金取得の申請書提出
  ・2013年 2月~工事開始

 ヤップ州に適応できる最終処分場の検討内容を数回に分けて記載します。
 (1.前準備とアクセス舗装、2.グラウンド(敷地)、3.浸出水池、4.浸出水の処理施設、5.モニタリング)

 1.第1回目
  *最終処分場のレイアウト案
 
  
  a.前準備
   廃棄物の原単位(kg/人)算出して処分場のライフタイム(10~15年確保)からグラウンド面積
   を決める。限定資金のためヤップ州は政府所有の土地を使用
   面積:0.3ヘクタ-ル、使用期間:6年-----しかしグラウンドの堰堤を
   高くしながら使用期間の延長を図る予定
 
  b.図面設計者は最終処分場についてのトレ-ニングをうける。(ヤップ州では今回受講できず)

  c.アクセス舗装の両側・グラウンド内への雨水流入防止のためV溝を作る。(コスト削減のため
    凹型溝にしない)、ヤップ州のグラウンドは ”腹付け盛り立て”の構造である。

                   次回 へ 続く   シニアボランテア 寺越 寛




2012年1月 隊員総会、インフラ改善(チューク)

2012-02-01 15:28:18 | チューク州
大変遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

新年早々、日本の職場である八王子市からとても嬉しいプレゼントを頂きました。



職場の皆さまからの数々の寄せ書きに一人感涙。今こうしてここにいられるのも、こうして応援してくださる方々がいるからこそだと実感いたしました。本当にありがとうございます!!
この寄せ書きをいただいたことで、日本に一度帰りたい気持ちが大きくなりましたが(笑)、まだ任期は1年5カ月ありますので、しっかりやり遂げていきます。それでは、ミクロネシア通信第7号スタートです。

1.平成24年1月の活動
昨年の12月から、中国のリサイクル会社が事業を開始し、金属を回収しています。これまでチュークには、こうしたリサイクル会社がなく、廃車がそこら中にあるような状態でしたので、溜まりに溜まった金属が、毎日多くの住民の手により持ち込まれています。



この影響により、埋立て場では、近隣に住む大人や子どもたちがごみをあさるようになりました。埋もれている金属を掘り出すため、時にはごみを燃やしています。子どもたちへの健康被害が心配。対策を考えていく必要がありそうです。



年明けには、配属先の環境保護局が州議会に呼ばれました。これは、クリスマスから年始にかけて町中にごみがあふれてしまっていた理由を聞くためです。この時期は、日本同様、一年でごみが一番たくさん出ます。ごみを十分に収集できなかった主な原因は、収集車が故障により動かすことが出来なかったためですが、3月末には、日本から収集車が2台寄贈される予定であり、それ以降はより多くのごみを収集できるようになることを伝えると、議員は納得した様子でした。



気になる収集車は、現在、チューク州による手続きを終え、日本で最終的な整備・点検に取り掛かっています。


12~14日には、首都において隊員総会が開催されました。教育、食生活、観光といったテーマごとに分科会があり、私は「環境」に参加し、小学校の先生を対象に環境教育のワークショップを行いました。



また、先輩隊員による活動報告会もあるなど、他州の隊員と普段の活動について意見交換を行うことができました。



さらに、最終日には、現地の人たちに日本文化を紹介することを目的に、Japan Festivalを開催。浴衣の着付け教室や日本の遊び紹介、日本食が振る舞われた他、私も習いたての三線を披露したり、阿波踊りも衣装付きで踊ってきました!



(詳しくは「ポンペイ隊員総会 Japan Festival ナンマドール!」

22日からは、JICA専門家がチュークを訪れています。2回に分けてワークショップを開催し、埋立て場改善に関しては、「土地の境界を確定し、周囲にフェンスを設置すること」、ごみ収集地域の拡大に関しては、「小さなコミュニティにおいてパイロットプロジェクトを実施し、その成功事例を他地域に広げていくこと」を確認しました。さらに、今年の全体の事業計画について話し合いがもたれました。




2.NGOとの協働のきっかけづくり
また、今月は今後の活動を進めていく上での大きなきっかけ作りができました。その相手はCWC (Chuuk Women’s Council)。その名の通り女性主体のNGOで、保健衛生やジェンダー、環境問題などに取り組んでいます。この中でも特にごみ問題については、清掃活動を行うグループが月末に大きなイベントを開催するなど、かなり積極的です。

私たちとしても、今後のごみ収集地域を拡大していく上では、住民の意識向上が不可欠であり、環境教育を普及させるためのパートナーを探していたことから、協力をお願いしたところ快く承諾。今後は、現在私が作成中の啓発資料の翻訳に取り組んでくれる他、ごみ収集に関するパイロットプロジェクトにも企画段階からミーティングに参加していただく予定です。
(詳しくは「新たなパートナー発見 & NGOによるLitter Bug」


3.チューク州のインフラ改善
停電は頻繁、道路はデコボコで池のような水たまりばかりといった、かなり劣悪な状態のインフラだったチューク州でしたが、クリスマスを境に大きな改善が見られます。まず、電気については、新たな(中古の)ジェネレーターを入手したことから、基本的に24時間電気があります!
現在、首都のポンペイ州ではジェネレーターの修理・点検のために、計画停電が一時的に実施されていますが、チューク州では電気があるのです!!このおかげで、各家庭における電気代が2倍以上に膨れ上がっているという一面もあるようですが・・・。

また、道路についても、これまで長らく行われていた地中の下水管取り換え工事がある程度済んだことから、地上の道路整備が進んでいます。これにより、我が家から職場までの道路はこれまで舗装率2割だったところ、7割にまで改善されています!!



さらに、我が家の水は、これまで雨水タンクを利用していましたが、公共の水道(井戸水のようなもの)に接続しました!!!
チューク州におけるこのような改善状況をどうしても伝えたくて、少し興奮してしまいました(反省)。ミクロネシア4州の中でも、チューク州は今まさに開発段階の国なのです。


4.この1か月を振り返って
クリスマス休暇から首都ポンペイでの隊員総会と、約4週間の間、ほぼチューク州を離れていたのですが、その分リフレッシュでき、やる気満々でチュークに戻って来ました。ごみ収集車の到着も約2か月後に迫っており、現在はこの収集車をどのように活かしていくか、住民の協力をどの様に取り付けていくかといった計画づくりで忙しくなっています。

そのような中、この通信でも取り上げたNGOのCWCは、とても強力なパートナーです。今回のごみ収集地域の拡大は、ごみのポイ捨てが当然の住民意識から、ごみの分別に協力してもらうように変えるきっかけとすることが出来ます。この点で、CWCはすでにこのような取り組みをコミュニティレベルで始めています。また、コンポストを普及したいものの、そのやり方に自信がないというCWCの声を聞き、ウェノ島にある短期大学でコンポストを中心に取り組んでいる先生と話し、協力してもらうことになりました。

チュークにおいても、組織間の横の連携はなかなかない様ですが、個々で見れば高い関心を持っている人はいます。専門性が特にない私ですが、何かと何かをつなげるっていうのは結構面白い。また、これこそが外部者である私だから出来ること。このことに最近気付くことができました。ですので、今後はこうした連携を意識して取り組んでいきます。それではまた、次号をお楽しみに♪



平成23年度1次隊 チューク州 前川健一