ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

離任の挨拶

2012-05-12 08:39:08 | コスラエ州
平成24年1月4日をもって青年海外協力隊での2年間の任期を終えました。

コスラエ島での大きな環境問題は廃棄物。不法投棄現場の発生とごみのポイ捨ての散乱。日本と比べ道路脇にごみがぽいぽい投げ捨てられている状況には驚きました。ここコスラエはUNDPの基金で立ち上がったリサイクルシステムが非常に機能しており、缶やビン、ペットボトル等のごみは道端にはほとんど落ちていません。これは素晴らしいことです。ですがプラスチック系のごみを中心に道路脇や川、海、マングローブ、運動場など至るところにごみはポイポイ捨てられている状況です。

2011年4月後半より毎朝20~30分程、職場近くの州都トフォールの道路脇のクリーンアップ活動を開始しました。目的はコスラエアンのごみのポイ捨てを警告する「行動で見せる」啓発活動です。これをやり始めたからといってコスラエアンのごみのポイ捨てが止まるとは全く思いません。しかしアクションを起こさない限り彼らは何も気づかず今後もポイ捨ては続く、そう思いました。

6月からは村山隊員(平成22年度4次隊 観光業)も協力してくれるようになり、毎朝一緒に行いました。州政府の人間に目の前でごみを投げ捨てられるという事もありましたが、続けました。

そして10月KIRMAスタッフの1人から「うちらとNena(私のコスラエでの名前)で毎週1回クリーンアップ活動をやろう」と提案がありました。これには驚きました。私はあえて自分からは「クリーンアップ活動を一緒にやろう!」とは言いませんでした。それはKIRMAスタッフが、コスラエの人々がこの問題に対して自発的に感じとり行動を起こさないと意味がないと思っていたからです。それはまずないだろうなと思っていましたが、彼らが提案してきたことなのでもちろんその意見を尊重しました。


週1回KIRMAスタッフとJOCVでクリーンアップ活動

更に別のKIRMAスタッフからは「そのごみのポイ捨てを警告するスライドを作り、ローカルチャンネルで流そう。」という提案もありました。



ごみを海に投げ捨てるのはやめましょう


いくつかごみポイ捨て警告スライドをKIRMAスタッフと作成し、住民集会でも発表しました(廃棄物管理・環境啓発住民集会を参照)

しかし根付かせる、継続させるというのは非常に難しいことです。KIRMAスタッフが提案して実施していた週1回のクリーンアップ活動も結局私が任期終了した後はもうやってないようです。またごみのポイ捨てもすぐになくなるという事はございません。根付くようになるまで何回も繰り返し啓発し、長い時間を要するでしょう。


さあみんなでコスラエをきれいにしよう!


自分自身での環境活動は正直この2年間全く改善には至りませんでした。その難しさを感じた2年間でもありました。

ですがホームスティ先やKIRMAスタッフからコスラエ語を学び、コスラエ語を積極的に話して現地主催のイベントに積極的に参加して交流して「コスラエアンとともに」を大切にしました。上から目線の技術移転は成功しません。コスラエアンと同じ目線で、コスラエアンの意見を尊重し、コスラエアンと共に築いていく。コスラエアンに何が足りないのか気づかせるために行動を起こす、そして彼らが自発的に動くのを待つ。なかなか難しいことです。そう言った意味も踏まえて、私にとって青年海外協力隊として過ごしたこのコスラエでの2年間は本当に貴重な経験でした。


コスラエから帰国して早4ヶ月が過ぎました。私の方も就職が決まり、この4月から働き始めました。このコスラエでの2年間の経験を大切にして今後の人生を1日1日しっかりと踏み出していきたいと思います。クロマララップ(ありがとうございました)

平成21年度3次隊 コスラエ州 柏原 庸一

医療廃棄物の改善へ、その後(コスラエ)

2012-05-12 08:30:05 | コスラエ州
 だいぶ間が空きましたが前回のブログ医療廃棄物の改善へ(コスラエ)」の続きです。病院スタッフが自分達でなんとかしようとする姿勢が全く見えず、なかなか進まない医療廃棄物の処理の改善活動。2011年4月末に坂井健康管理員がコスラエ出張した際に、奈田SV(平成21年度2次隊 臨床検査技師)と私の3人でコスラエ州立病院の院長に医療廃棄物の現状を報告しました。院長は新しく代わり、医療廃棄物の現状を知らなかった為その状況に驚いていました。早速院長は次の週に病院スタッフを集めてミーティングを行うと申し、5月5日に医療廃棄物現状報告会が行われました。

医療廃棄物の現状報告のプレゼンテーションは奈田SVと私で土台を作り、コスラエ州立病院のサニテーションのディレクターがまとめあげ、当日そのディレクターが発表しました。病院スタッフはその現状を知らないスタッフが多く、驚いていました。また医療廃棄物が処理されず溜まっていく現状で困っていた部署も多く、それらについての話し合いも病院スタッフが中心になって盛んに行われました。病院スタッフが中心になって議論しあったミーティングであったので有意義になったと思います。

毎週木曜日に医療廃棄物分別点検、金曜日に焼却処理と以前サニテーションのディレクターが決めていたのですが、全く機能しておらず今回のミーティングで改めてその担当者をしっかり決める必要性を病院側に要求しました。

そして毎週木曜日に分別点検をやる病院スタッフを私がサポートしました。その重要性を徹底させるのが目的です。しかし最初の頃は私がコスラエにいない時はサボる始末で、また各部署の分別もあまりできてない状態でした。「しっかりできるようになるまで何回も繰り返して行う」これをモットーにして、できていなければ何回でも啓発し、時には分別できてない部署のディレクターを呼び出して、ちゃんと行うようにスタッフに伝えて欲しいとも言いました。

その毎週の繰り返しの成果も少しずつ見え始め、各部署に医療廃棄物がごちゃ混ぜになる頻度も減り始めました。そしてその点検するスタッフもやらなければいけないという姿勢が少し見え始めました。

  一般廃棄物ゴミ箱に医療廃棄物が混入している状況     きちんと分別できている状況

毎週金曜日の焼却処理を行う病院スタッフはコスラエアンの中では非常に働き者で頑張っておりまた分別の認識も分かり始めた為、現状は最低限の処理は行われている状況です(2011年12月現在)。
     現状の医療焼却炉(2011年12月現在)

しかしその焼却処理を行うスタッフの仕事の負担が非常に大きく、このスタッフがいなくなると医療廃棄物処理システムは大きく崩れる心配があります。きちんとした処理システムを作り上げれればよかったのですが、なかなかそうはいかず病院側に今後その医療廃棄物処理システムの構築の必要性が問われます。

平成21年度3次隊 コスラエ州 柏原 庸一

2012年4月 NGOと協働の予備調査(チューク)

2012-05-11 13:37:13 | チューク州

こんにちは。
ゴールデンウィークはどのように過ごされたでしょうか。バケーションも終わり5月病になっていませんか?私は危ないです(嘘)
それでは常緑にいつも癒されているチュークから、先月の活動を報告いたします。

1.平成24年4月の活動
 4月は、1か月後に迫ったごみ収集車の到着に合わせ、パートナーであるNGOのCWC(Chuuk Women’s Council)と毎週ミーティングを持ち、パイロットプロジェクトに向けた予備調査や対象地域の選定などを話し合いました。ある程度方向性が決まったところで、Mayor(ウェノ島の市長のような存在)にも報告を行い、プロジェクトに対する理解をもらいました。

 それと同時に、ごみ収集を行う公共事業局のスタッフにもプロジェクトを説明するとともに、メンテナンスの重要性を訴えかけました。



ここで、私がチュークに来る直前に館清掃事業所の同僚が作成してくれた動画を披露。



正直、公共事業局スタッフのメンテナンス能力に大きな不安を感じているのですが、実際に八王子市で働く元気な職員の姿を見て、意識も高まったようです(詳しくは「ごみ収集車の到着に向けて(ホーンコレクションとメンテナンス)」)。


そして何より嬉しかったのが、黒須前市長の訪問!はるばるチュークまでやってきてくれたのです。配属先の関係者にと抱えきれないほどたくさんのお菓子を持ってきてくださり、ディナーを共にすることもでき、「大和魂を見せつけるんだ」と励ましの言葉をいただきました。




前市長のおかげで、今こうして活動ができ、5月には八王子市から収集車がやってきます。改めて前市長の温かい人柄に触れ、「よし、頑張ろう!」とますますやる気がみなぎってきました。(詳しくは「予備調査スタート&八王子前市長のチューク訪問!!」



2.2つの予備調査
 ごみ収集車の獲得に合わせ、今月末からスタートさせるパイロットプロジェクトの予備調査を2つ実施しました。

(1)アンケート調査
まず一つ目はアンケート調査。この調査の主な目的は、
「生活状況(どの様なものを消費・所有しているか)」
「ごみを普段どのように処理しているか」
「ごみ収集への感心・協力度」
の把握です。

私が英語で作成した調査表を、ミーティングを通して修正したのち、CWCがチューク語に翻訳してくれました。そして、更にこのアンケートをインタビュー形式で一軒一軒聞いて回ってくれたのです。調査表をチューク語に翻訳したとはいえ、文字を読めない方もいるここチュークでは、これが最善のやり方。一軒当たり20~30分ほどかかってしまいますが、これをCWCメンバー2人だけで1週間かけて計52世帯回ってくれたのです。


真ん中の女性を挟んで両側の男性2人がCWCのメンバー。


コミュニティの中には、海辺をごみ捨て場としている家もありました。私が一番改善したい光景。


このアンケートにより、プロジェクトを行う地域を選ぶ際の基礎資料となった他、私たちの活動を周知することもできました。(詳しくは「予備調査スタート&八王子前市長のチューク訪問!!」<再掲>


(2)ごみの内容物(発生量)調査
そしてもう1つ。この調査の主な目的は、
「1世帯当たりのごみの発生量」
「各世帯から出されるごみの種別ごとの割合」
の把握です。

まず、1日目に、対象の30世帯に説明用チラシとごみ袋を1枚ずつ配ったのですが、これもCWCが一緒に行ってくれ、住民に対して丁寧に説明してくれました。
そして1日置いた2日目に、このごみ袋を回収、1軒ずつごみの重さを計りました。



集めたごみの中から1部の世帯のごみを9分類し、各種別の重さと容積を計ります。


分類時。炎天下のもと、現地スタッフも良く私に付き合ってくれました(笑)


そしてごみの種別ごとに計量。

この作業を全30世帯分のごみを分類・計量できるよう1週間かけて計3回行いました。


このタフな調査から得られた結果がこちらです!



(1)で説明したアンケート調査によると、約7割の世帯がコンポストを実施していると回答していましたが、有機性ごみが依然29%あります。また、同様に缶のリサイクルを行っていると回答した割合も約7割いましたが、アルミの金属もまだ7%あることが明らかになりました。もっとリサイクルを進めていくことができそうです。

さらに、調査結果から計算すると、1人1日当たりのごみ発生量は247g。これと日本人の一般家庭から出されるごみ量と比較すると、少なくとも日本の半分以下となります。チュークにおけるごみ量は、先進国に比べかなり少ないということを今回の調査で証明することが出来ました。

この内容物調査(組成分析)は、八王子市役所で担当を務めさせていただいたこともあるので要領はつかんでいましたが、やはりここチュークでやるとなると勝手が違い大変でした。委託業者さんの大変さをつくづく実感(笑)。
(詳しくは「予備調査②~ごみの内容物(発生量)調査」


3.この1か月を振り返って
4月の一番の収穫は、CWCの協力を得ながら、2つの調査をやり遂げられた事。彼らなしでは出来なかった調査。先月までは話し合いだけの関係でしたが、この調査を通しより信頼を深められたと感じています。
また、調査対象となった住民からも、「良い仕事をしている」「ありがとう」といった声を頻繁にかけてくれ、コミュニティの中で知り合いも多くできました。

いよいよ今月はごみ収集車2台を獲得し、パイロットプロジェクトもスタートします。
今はワクワクと不安が入り混じった複雑な気持ち。新たな収集方法に伴う住民とのコミュニケーション、収集車のメンテナンスなど、プロジェクトの中で様々なトラブルが生じることを予想していますが、現地スタッフとともに議論しながら、少しでも良い方向へと進めることができるよう頑張ります。


最後に4月の写真を2枚。



何とあの有名な映画「タイタニック」の1シーンとして使われた沈船「富士川丸」。
左奥にある回廊がそうなのですが、今回はうまく撮れませんでした・・・。
しかし、映画に使われるくらい保存状態が良いのもチュークの沈船の魅力。次回はもっときれいに写真が撮れるよう、また挑戦してきます!



我が家で生まれたばかりの4匹の子犬。
今後の楽しみの一つとなりました♪


それではまた!