ヤップ州議会場(前には日本庭園)
ヤップ州議会場横の鳥居(日本統治時代の名残)
Compactor Truck Purchase and Service Agreement
在ミクロネシア日本大使館の「草の根人間の安全保障無償資金協力」で購入が決まった、ごみ収集コンパクタートラックの売買契約手続きを、今後同様の活動をする人の為に述べておきたい。
先ずは契約書の作成。ヤップ州公共事業局のカウンターパートが当然作るべきであろうが、日本業者との契約条件を一から説明し、契約書に落とし込むのが難いのと時間節約の為、私がした。今後はカウンターパートに頼む予定。ヤップ州の他プロジェクト売買契約を基に、契約金額、支払条件、納期、引渡条件、現地トレーニング条項、等を変更。ヤップ州独特条件として、入札放棄、輸入関税の取り扱いがあり、一般条項(契約準拠法、紛争解決、等々)を修正し作成、日本業者と交渉・打合せし、8月末完成。
2019年5月20日に「草の根」申請、8月26日に大使館承認、9月25日に大使館・ヤップ州調印。調印日に本契約書を法務局に提出したので、9月中or遅くとも10月初めには契約サインが終わると思っていた。しかし、契約完了は12月10日!契約締結まで2か月以上要した経緯は:
ヤップ州側必要サインは3名、法務局長(10月14日他界)、財務局長、発注元の公共事業局長。法務局長のサインは10月2日。従来はその後すぐに財務局長のサインがもらえたが、なぜか今回は議会承認が必要と急遽なった。理由は不明。新しい法律ができたのか?従来の法律解釈が変わったのか?10月7日に法務局長に法律相談、結果該当法律は無いようだったが…。しかし予算計画室が議会承認必要と主張。議会承認の為、10月23日公聴会、法律顧問の質問「なぜ公開入札を行わないのか?」「環境破壊が起こったら誰が責任を取るのか?」…議員がそれなりに回答し、公聴会も無事終了。私の一時帰国出発日(10月27日)までには財務局長のサインがもらえると思ったが…私が日本からヤップに戻った11月27日でもまだダメ。日本から数度督促のメールを入れたのだが…。理由を聞くと、他界された法務局長に代わる新法務局長のサインを待っている、新法務局長には膨大な決算書類が溜まっているとのこと。前の法務局長に既にサインは貰っているので直ぐに財務局長のサインを貰うようプッシュ!プッシュ&プッシュでようやく11月29日夕方遅く、財務局長のサインが貰えた。公共事業局長のサインは直ぐに貰えると思ったが、11月28日付で突然辞任。12月2日付で就任した局長代行のサインを貰う。
次に起こった問題は、契約発効日。原稿は契約日を後から記入できるようブランク、納期を契約後13か月としていた。しかし、法務局長が我々と打ち合わせした10月7日を契約日、翌年の12月7日を納期と書き込んでいた。多分、はっきりした日にちを決めておきたかったのと、従来であれば数日以内に財務局長のサインが貰えていたからであろうが…。契約日、納期の変更が必要。公共事業局長の訂正サインが12月3日、即日本業者にPDFで送付。条件は事前に詰めておいたので、直ぐに日本側サインがもらえると思ったが、意外に時間がかかり、サイン済契約書がこちらに届いたのが1週間後の12月10日。
私が何故こんなに急いで契約をしようとしているのか?ヤップの人達には理解できないらしい。不思議そうな顔で様子を見ている。何故こんなにプッシュされているのか?訳が分からないようだ。理由の一つは、見積もり有効期限が切れて、値上げ要求があること。今回はなんとか頼み込んで元の値段で契約できたが、前述の医療廃棄物焼却炉は米国メーカーの値上げ要求に応じている。コスラエ時代も値上げ要求は必ずといって良いほどあった。そこをなんとか頼み込むのが交渉なのだが、あまりに契約が遅いと難しい。理由の二つ目が納期。通常納期の起算日は契約締結日。契約が遅くなると納期も遅くなる。活動任期2年なのに、この調子でプロジェクトが進むと、とても納入が間に合わない。ごみ収集車の契約納期は2021年1月、私の任期は2020年10月。
坂根篤(ノバ)