こんにちは。日本ではすっかり秋も深まり、食べ物もおいしい季節になっていることと思います。チュークは常夏の国のため、ほんのわずかに涼しくなった程度で、毎日熱帯夜(時には30℃以上!)の生活は変わりありません。あぁ、日本食が恋しい。
それでは、10月1か月間の報告をさせていただきます。
1.10月のしごと
派遣されてから3か月が経過したので、JICAの規定により第1号報告書を提出。この2年のうちにあと4回作成することになっています。
また、先月27日から今月5日にかけて、ヤップ州とパラオに観光も兼ねて視察に行ってきました。その他、事業系ごみの状況を把握するためにホテルやスーパーマーケットを訪れたり、高校やコミュニティで環境教育を行いました。
21日からは、3週間の予定でJICAの専門家が滞在し、11月中旬にある全州合同ワークショップに向けて今後5年間の戦略を策定しています。そのために、2日間にわたりワークショップを開催しました。
総勢約20名が集った第1回ワークショップでは、現状把握とその共有を主な目的として、「ごみの発生源別処理状況」、「チューク州が持つごみ処理に関する資源」、「ごみ処理に関する問題」、「問題の発生要因」、「各組織におけるごみ処理の役割」などについて、活発な議論が行われました。
また、第2回ワークショップでは、参加者を環境保護局と公共事業局(ごみ収集や埋立て場の管理を実施する機関)に絞り、それぞれの機関における組織図を作成し、ごみ処理に関わる人材とその役割を視覚化しました。また、SWOT分析を行い、住民のごみ問題への意識の高まりを背景に州知事や議員が関心を持っている一方で、十分な数のスタッフがいないこと、自治体との十分な連携が取れていないことなどが弱みとしてあげられました。
これらの内容が、現在作成中の今後5年間の戦略に盛り込まれます。
<詳しくは次のブログで>
ワークショップ (J-PRISM)
2―1 ヤップ視察
まず、ヤップの街並みを見て驚いたことは、ごみ一つ落ちていないこと。古くからの伝統が守られており、ごみのポイ捨てがばれると村の酋長から罰則を受けるそうです。
基本的に、ヤップでは収集業者と契約(毎月5ドル程度)し、公共のダンプサイト(埋立て場)に運んでもらうか、各自治区が所有するダンプサイト(穴が掘られただけのもの)に各自で捨てに行くかのどちらかの方法でごみが処理されます。
公共のダンプサイトは、ごみを奥に押しやるだけのオープンダンプですが、近い将来に福岡方式という管理方法を導入する予定とのこと。
この他、ヤップの特徴として飲料容器(カン、ビン、ペットボトル)へのデポジットシステムが導入されています。
また、知り合いの学校で環境教育を行った際に島をきれいにするためのアイデアとして出てきたものが「缶詰めではなく、容器がいらないローカルフードを食べる」、「コンポストを行う」、「清掃活動などを行うために住民を組織化する」でした。賢い子どもたちに感心。
2-2 パラオ視察
パラオはこの辺りの島国でもっともごみ処理が進んでいる国。街並みはきれいで、店もたくさんあり、観光地にはぴったりの場所。パラオの商業の中心であるコロール州を視察してきました。
一般ごみは、これまで各家の前に設置されているドラム缶に入れられ収集されていましたが、分別収集(生ごみ、金属・ガラス、ペットボトル、紙、その他ごみ)が最近スタートしました。
埋立て場は、JICAの支援のもとで福岡方式が導入されたもの。その特徴は、埋立て場の底の部分にパイプが張り巡らされており、汚水が溜まらない仕組みになっています。
また、ベント管と呼ばれるパイプが地上に突き出すように設置されており、このパイプからごみの埋め立て部分で発生するメタンガスなどを空気中へと放出することで、好気性の状態を保ち、ごみの分解を早める仕組みとなっています。
さらにコロール州では、ちょうど私が視察させてもらった10月4日から、飲料容器についてデポジットシステムがスタートしました。飲料容器は全てが輸入で賄われているため、税関で1容器あたり10セントの税金をかけ、飲み終わった容器をリサイクルセンターに持ってきた人に1容器当たり5セント返します。残りの5セントのうち、2.5セントはリサイクルセンターの運営費に、2.5セントは環境に関する事業のために利用されるとのことでした。
<詳しくは以下のブログで>
ヤップ州のごみ処理
パラオのごみ処理
3.この1か月を振り返って
今回報告させていただいたヤップ・パラオ視察は、今後の自分の活動にとってとても大きなものとなりました。数々の事例を知れたことは何より、パラオで出会った日本人の活躍に感銘を受けました。
その方は、環境エンジニアリングの会社を退職し、JICAのシニアボランティアとして2年間働き、その活躍が認められて州政府に雇われ5年が経過しています。その間、今回紹介したコンポスト施設の立ち上げや、ごみ収集システムの構築、デポジットシステムの立ち上げといった事業に中心になって携わってきました。
また、ヤップ州のシニアボランティアの方から伺った5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)に代表される考え方は、日本ならではのもの。日本人だからこそできる国際協力がある。異国の地であっても、日本人の働き方は十分に通用するのです。私自身、八王子市役所でこれらのことが十分にできていたとはいえませんが(汗)、これまで教わってきたことに自信をもって、チュークで働こうと決意しました。
11月は、コスラエ州で行える全州合同のワークショップ(15~17日)に同僚とともに参加させてもらえます。各州の今後5年間の戦略を発表し合い、一緒に考えていく場となるのでとても楽しみ。その結果はまた来月報告させていただきます。
小さな島国ということもあり、このように大きな事業に比較的簡単に参加させてもらえることに感謝するとともに、しっかりと自分自身を振り返り、今必要な語学力の向上にも目を向けていきます。
それではまた!
チューク州環境教育隊員 前川健一
それでは、10月1か月間の報告をさせていただきます。
1.10月のしごと
派遣されてから3か月が経過したので、JICAの規定により第1号報告書を提出。この2年のうちにあと4回作成することになっています。
また、先月27日から今月5日にかけて、ヤップ州とパラオに観光も兼ねて視察に行ってきました。その他、事業系ごみの状況を把握するためにホテルやスーパーマーケットを訪れたり、高校やコミュニティで環境教育を行いました。
21日からは、3週間の予定でJICAの専門家が滞在し、11月中旬にある全州合同ワークショップに向けて今後5年間の戦略を策定しています。そのために、2日間にわたりワークショップを開催しました。
総勢約20名が集った第1回ワークショップでは、現状把握とその共有を主な目的として、「ごみの発生源別処理状況」、「チューク州が持つごみ処理に関する資源」、「ごみ処理に関する問題」、「問題の発生要因」、「各組織におけるごみ処理の役割」などについて、活発な議論が行われました。
また、第2回ワークショップでは、参加者を環境保護局と公共事業局(ごみ収集や埋立て場の管理を実施する機関)に絞り、それぞれの機関における組織図を作成し、ごみ処理に関わる人材とその役割を視覚化しました。また、SWOT分析を行い、住民のごみ問題への意識の高まりを背景に州知事や議員が関心を持っている一方で、十分な数のスタッフがいないこと、自治体との十分な連携が取れていないことなどが弱みとしてあげられました。
これらの内容が、現在作成中の今後5年間の戦略に盛り込まれます。
<詳しくは次のブログで>
ワークショップ (J-PRISM)
2―1 ヤップ視察
まず、ヤップの街並みを見て驚いたことは、ごみ一つ落ちていないこと。古くからの伝統が守られており、ごみのポイ捨てがばれると村の酋長から罰則を受けるそうです。
基本的に、ヤップでは収集業者と契約(毎月5ドル程度)し、公共のダンプサイト(埋立て場)に運んでもらうか、各自治区が所有するダンプサイト(穴が掘られただけのもの)に各自で捨てに行くかのどちらかの方法でごみが処理されます。
公共のダンプサイトは、ごみを奥に押しやるだけのオープンダンプですが、近い将来に福岡方式という管理方法を導入する予定とのこと。
この他、ヤップの特徴として飲料容器(カン、ビン、ペットボトル)へのデポジットシステムが導入されています。
また、知り合いの学校で環境教育を行った際に島をきれいにするためのアイデアとして出てきたものが「缶詰めではなく、容器がいらないローカルフードを食べる」、「コンポストを行う」、「清掃活動などを行うために住民を組織化する」でした。賢い子どもたちに感心。
2-2 パラオ視察
パラオはこの辺りの島国でもっともごみ処理が進んでいる国。街並みはきれいで、店もたくさんあり、観光地にはぴったりの場所。パラオの商業の中心であるコロール州を視察してきました。
一般ごみは、これまで各家の前に設置されているドラム缶に入れられ収集されていましたが、分別収集(生ごみ、金属・ガラス、ペットボトル、紙、その他ごみ)が最近スタートしました。
埋立て場は、JICAの支援のもとで福岡方式が導入されたもの。その特徴は、埋立て場の底の部分にパイプが張り巡らされており、汚水が溜まらない仕組みになっています。
また、ベント管と呼ばれるパイプが地上に突き出すように設置されており、このパイプからごみの埋め立て部分で発生するメタンガスなどを空気中へと放出することで、好気性の状態を保ち、ごみの分解を早める仕組みとなっています。
さらにコロール州では、ちょうど私が視察させてもらった10月4日から、飲料容器についてデポジットシステムがスタートしました。飲料容器は全てが輸入で賄われているため、税関で1容器あたり10セントの税金をかけ、飲み終わった容器をリサイクルセンターに持ってきた人に1容器当たり5セント返します。残りの5セントのうち、2.5セントはリサイクルセンターの運営費に、2.5セントは環境に関する事業のために利用されるとのことでした。
<詳しくは以下のブログで>
ヤップ州のごみ処理
パラオのごみ処理
3.この1か月を振り返って
今回報告させていただいたヤップ・パラオ視察は、今後の自分の活動にとってとても大きなものとなりました。数々の事例を知れたことは何より、パラオで出会った日本人の活躍に感銘を受けました。
その方は、環境エンジニアリングの会社を退職し、JICAのシニアボランティアとして2年間働き、その活躍が認められて州政府に雇われ5年が経過しています。その間、今回紹介したコンポスト施設の立ち上げや、ごみ収集システムの構築、デポジットシステムの立ち上げといった事業に中心になって携わってきました。
また、ヤップ州のシニアボランティアの方から伺った5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)に代表される考え方は、日本ならではのもの。日本人だからこそできる国際協力がある。異国の地であっても、日本人の働き方は十分に通用するのです。私自身、八王子市役所でこれらのことが十分にできていたとはいえませんが(汗)、これまで教わってきたことに自信をもって、チュークで働こうと決意しました。
11月は、コスラエ州で行える全州合同のワークショップ(15~17日)に同僚とともに参加させてもらえます。各州の今後5年間の戦略を発表し合い、一緒に考えていく場となるのでとても楽しみ。その結果はまた来月報告させていただきます。
小さな島国ということもあり、このように大きな事業に比較的簡単に参加させてもらえることに感謝するとともに、しっかりと自分自身を振り返り、今必要な語学力の向上にも目を向けていきます。
それではまた!
チューク州環境教育隊員 前川健一