ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

不法投棄現場の一掃に向けて

2011-04-20 16:22:14 | コスラエ州




コスラエ州では現在、上記の写真の現場のように道路沿いの廃棄物不法投棄が問題となっています。写真の現場はMalem地区です。昨年4月に「草の根無償資金援助計画」の第二期事業で在ミクロネシア日本大使館より2台のゴミ収集車を供与されました。昨年7月から8月にかけTafunsak,Malem市の不衛生ダンプサイトを閉鎖し、トフォールにある福岡方式の中央廃棄物処分場にコスラエ州の廃棄物を処分する事になりました。ところが不衛生ダンプサイトを閉鎖した後に、このような不法投棄が起こり始めました。原因は定かではありませんが、廃棄物収集システムが機能していないのではないかと推測されます。

この不法投棄問題を解決すべく行動を起こし始めました。今年2月に私から配属先のKIRMA(コスラエ州資源管理委員会)のスタッフに廃棄物収集システムのアンケート調査を行う事を提案してコスラエ州の家庭90件(Lelu18,Tafunsak24,Malem25,Utwe23)を対象にKIRMAスタッフと私とで実施しました。

調査の結果、この4つの自治体の中で1番収集システムが機能しているLelu地区の一部の人は良い評価をされている人もいましたが、Leluも含めてこのアンケート結果の多くは「収集システムが機能するように改善して欲しい。」という要望の声と同時に、収集料金は払えないという意見でした。収集サービスを利用している家庭は90件中16件で、それ以外の家庭は自分で廃棄物を処分場へ持っていくか燃やして処分しているという事です。トフォールにある中央廃棄物処分場はLeluの人々は近く持っていけますが、他の3自治体は遠いので高いガソリン代をかけて持っていくのは厳しいのでは考えられます。となると収集システムが全自治体でしっかりと機能する必要があります。このアンケート調査のデーターを基にコスラエ州の廃棄物収集システムの改善へ役立てたいと考えています。




「草の根無償資金援助計画」の第二期事業で在ミクロネシア日本大使館より供与されたゴミ収集車


3/30(水) DT&I(コスラエ州運輸・インフラ局),KIRMAのディレクター,PACC(Pacific Adaptation to Climate Change)のプロジェクトコーディネーターLelu,Tafunsak,Malem,Utwe各自治体の市長、JICAの四阿廃棄物短期専門家、佐上環境企画調査員と私がコスラエ州政府の会議室に集まり、今年から始まるJICA5ヵ年計画の廃棄物管理プロジェクト(J-PRISM)についてのミーティングがあり、その中で収集システムに関するJICA側からの提案、議論もいろいろなされました。現在日本から供与された2台の収集車を1台はLelu-Utwe間で使用し、もう1台をTafunsak-Malem間で使用するとの事ですが、Tafunsak-Malem間で使用している収集車が使用し始めてから2ヶ月で故障し、現在使用不能となっています。

その後四阿廃棄物短期専門家と私で各自治体の市長を訪問して今後どう収集システムを改善していくかという事を焦点において話し合いました。問題点としてコンパクター式収集車はメンテナンスが難しいのですが収集車が故障したから収集できないという考えがどうしてもコスラエの人々にあるので、コンパクター車に頼らない収集システムがないかなどの思考転換必要になってきます。

また一番収集システムが機能しているLeluの市長はこのシステムの改善に一番前向きであり、徴収料金を月3ドル、6ヶ月分前納として住民と契約を結び、ごみ容器を配布して週3回の収集を行っています。Leluでは大きな不法投棄現場は見られません。しかし収集車両の更新費用を考えると現状の月3ドルでは足りないとの事でした。KIRMAスタッフと私で実施した2月の廃棄物収集システムのアンケート調査ではLelu地区の一部の人々で、「収集システムが向上するなら料金をより払ってもよい」という意見もありました。コスラエ州はLeluをモデルとして収集システムの向上、確立を目指し、他の3つの自治体が少しずつ収集システムの向上に繋がればと思います。

収集システムの改善には時間がかかるでしょう。しかし根気強く改善していき、不法投棄現場が一掃される事を目指して日々活動していきたいと思います。


平成21年度3次隊 コスラエ州  柏原 庸一