徳島の農業 宇民さんの水田は、除草剤いらず。古くから「田の草取り虫」と呼ばれるカブトエビのおかげだという。体長3㌢程度。雑草の新芽を食べるほか、泥を掘って水を濁らせて光合成を防ぎ、草の繁殖を抑える。
三週間ほどすると卵を産み、短い一生を終える。水田に水を入れて3~4日で姿を見せ始めた。カブトエビとの付き合いは10年あまり。除草剤をまくのが遅れた1994年、水田に沢山のカブトエビが繁殖した。せっかくの生き物。
「死んだらかわいそう」と除草剤散布を見送った。ところが、雑草は意外なほど育たなかった。「これはいける」。そう思って翌年から9ヶ所計約1.2㌶の水田で除草剤使用をやめた。全く草が生えなくなる分けてはなく、手で抜かないといけない草もあるという。
しかし、宇民さんは意に介さない。そんなに大した作業でない。カブトエビが頑張って仕事をしてくれる。小さな仕事仲間に満足そうだ。カブトエビは淡水性の小型甲殻類。県立博物館によると、農薬などの影響で減少傾向にあり、県内でも徳島市など都市部では減っているという。