異文化異聞記

異文化に絡んだつれづれをつづる記録。

別れのとき

2010-06-30 21:21:06 | Weblog
6月末で丸2年この留学生寮に勤めたことになる。

今日で終わりだけど、長いような短いような不思議な時間だった。生活レベルののんびりした時間が延々と過ぎていく日々で、日本語、中国語、韓国語のほか、ペルシャ語やらアラビア語やらトルコ語、トルクメニスタン語インドネシア語、ベンガル語、ヒンズー語などおよそ欧米偏重の一般の報道からはかけ離れた言語を耳にする機会のある日々だった。言葉の意味自体はわからないんだけどね。自分の中の世界地図もかなり中央アジアよりの構成に変わってきている。

最後の台所の見回りでウイグル女子に会った。

「今日で、辞めちゃうの?これからどうするの?」
「んー、まだどこでを決めていないんだけど、勉強しようかなと思ってます。」
「修士?」
「民間の専門学校行くよりは、大学の修士のほうが当たり外れがないですよね。でも、入れるかな?」
「大丈夫、私は2回テスト受けました。最初は外国人用のテストで駄目で、二度目は普通の専門科目。最初の口頭試験はすごくあがって、日本語話せなくなった。でも、あがり症の私も修士のプレゼンで人前で話すの平気になりました。修士いいと思います。大学を卒業してずっと働いたんですよね。」
「そうですね。かれこれ20年かなー(ちょっとさばよみ)。」
「すごい。20年働いてから、勉強しようって決心するなんて。」
「みんなを見ていたら勉強してみたくなって。みんな中国語のほか日本語と英語の3ヶ国語は普通に使ってますね。感心します。」
「うん、普通はその3つはできます。」
「ウイグルはウイグル語?」
「はい。ウイグル語でトルクメニスタン語とも通じます。あとゆっくり話してもらえば、トルコ語も聞いて分かります。文字はアラビア語の表記を使います。」
「え、أنت جميلة こんな感じの字で右から左に書くんですよね。」

「そーそー。そんな感じ。アラビア語を話す友達がいて、意味は分からないけど完璧に読めるので驚きました。」
「へー昔のラテン語みたいなんだ。表音文字なのね。」
「はい。話し言葉自体はウズベキスタンの言葉が一番近い感じです。」
「ああ、ウズベキ、トルコ、トルクメニスタンと民族が同じなんですね。ところで、ウイグルって美人が多いので日本では有名なんですよ。」
「そーね。市場で座って行きかう人を見るのは面白いです。あ、あの人カッコいい。この人美人みたいに、見ていて飽きません。」
「色々な民族がいてアメリカみたい。でもアメリカは移民の国だけど、中国は何千年と歴史がある民族同士がひしめいているんだもんね。すごく面白い。」

彼女の青みがかった目と白い肌、ブルネットの髪をじっとみて続けた。「フランス人にも、イラン人にも、トルコ人にも、ドイツ人にも見えますね。」
「そうでしょう。ロシア人と間違えられたこともあります。私は典型的なウイグル人の顔ではないです。お祖母さんの目は私より青かったし。」
「今、連絡ノートにお別れの言葉を書いていて。日本語は書き終えたけど、英語はともかく中国語が分からないや。」
「手伝う?」

今天是我在会館工作的最后一天。
和大家一起渡过的这两年时间、对我来说有深刻的意义。希望大家健康开心.


再见吧 止住学生宿舍
さらば留学生寮。

こんなふうに最後の日もいつものように終了。




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