Ms.Aの義理の弟の話である。
彼は幼いころから体と心のミスマッチに違和感を感じていたそうだ。
中学校くらいにはますますその違和感は強くなり、なにせ45年前くらいの話なので自分が生きる道は海外しかないと猛然と英語を勉強し、フランスにも留学しアメリカに渡りホテルのコンシェルジュとして働き、パートナーもできた(無論男性)。
古いアパートを買い取って自分たちでリノベーションし、家賃収入を得て余裕のある暮らしをしばらく楽しみ、今度は大学に入りなおし舞台芸術を専攻しなんと舞台の仕事に転職。そうこうするうちに、そのパートナーとの別離。そして、新たな恋人との出会い、という変化に富んだある意味うらやましいくらい自己デザインのしっかりした人生。
Ms.Aはとてもこの義理の弟と話があったそうだ。もちろん彼のパートナーのこともすべて承知していた。どちらかというとアメリカ寄りなものの考え方をする彼女がひとつだけこの義理の弟の行動で納得がいかなかったことがある。彼は帰国した折、自分の母親に自分がゲイだと打ち明けてしまったのだ。
「今ならともかく30年前の日本よ。それもいいお家のいい奥様のお母さん。」
「アメリカだと何でも表に出すのが美徳ですよね。浮気だろうが、ゲイだろうが。」
「言わぬが花っていうものも確かにあるのんよ。お母さんもともとそんなに心臓が丈夫じゃなかったんだけど、それからしばらくして心筋梗塞でなくなって。心筋梗塞ってストレスが強いとなる病気なのよ。本当の自分をお母さんにもう隠したくないという気持ちは分かるけど、それでも言わなくても済んだんよ。」
嘘のないことを徹底的に尊重するアメリカ。人を傷つけるくらいなら己の居心地の悪さを受け入れるかつての日本。後者に価値を置くMs.A。人には耐えられないことがあり、たとえ、子供と親の関係だとしても、そこには触れないのが成熟した大人だという。もしかすると日本的というより、個人主義的?
彼は幼いころから体と心のミスマッチに違和感を感じていたそうだ。
中学校くらいにはますますその違和感は強くなり、なにせ45年前くらいの話なので自分が生きる道は海外しかないと猛然と英語を勉強し、フランスにも留学しアメリカに渡りホテルのコンシェルジュとして働き、パートナーもできた(無論男性)。
古いアパートを買い取って自分たちでリノベーションし、家賃収入を得て余裕のある暮らしをしばらく楽しみ、今度は大学に入りなおし舞台芸術を専攻しなんと舞台の仕事に転職。そうこうするうちに、そのパートナーとの別離。そして、新たな恋人との出会い、という変化に富んだある意味うらやましいくらい自己デザインのしっかりした人生。
Ms.Aはとてもこの義理の弟と話があったそうだ。もちろん彼のパートナーのこともすべて承知していた。どちらかというとアメリカ寄りなものの考え方をする彼女がひとつだけこの義理の弟の行動で納得がいかなかったことがある。彼は帰国した折、自分の母親に自分がゲイだと打ち明けてしまったのだ。
「今ならともかく30年前の日本よ。それもいいお家のいい奥様のお母さん。」
「アメリカだと何でも表に出すのが美徳ですよね。浮気だろうが、ゲイだろうが。」
「言わぬが花っていうものも確かにあるのんよ。お母さんもともとそんなに心臓が丈夫じゃなかったんだけど、それからしばらくして心筋梗塞でなくなって。心筋梗塞ってストレスが強いとなる病気なのよ。本当の自分をお母さんにもう隠したくないという気持ちは分かるけど、それでも言わなくても済んだんよ。」
嘘のないことを徹底的に尊重するアメリカ。人を傷つけるくらいなら己の居心地の悪さを受け入れるかつての日本。後者に価値を置くMs.A。人には耐えられないことがあり、たとえ、子供と親の関係だとしても、そこには触れないのが成熟した大人だという。もしかすると日本的というより、個人主義的?