走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

学士と修士以上の違い

2018年12月30日 | 仕事
昨日の続き

日本の看護師のツイッターや学会抄録、看護雑誌に寄稿されているものを読むと、そして前回のシンポジウムの反応もHow to do に焦点を当てているように思えます。その反対海外では思考過程のシェアが多くHow to 本など存在しません(学術誌や教科書としては売れていますが、日本のように各出版社がこぞって出すようなものはありません)。技術は真似すればできますが、思考過程は自分の中でしっかりと確立するもので、本を読めばできるものではありません。

以前、ミクロのケアとマクロのケアについて書きましたそれが学士と修士以上の違いだと私は思っています。NP課程は修士課程でも性質上HowToDoの部分が多く含まれていますが、それ以外の修士看護教育は徹底したHow to think の教育です。だって修士以上のものが対象にするのは患者一人一人を相手にするのではなく、患者の集団を現象として捉えて、現象を相手に高度な実践看護を行うのですから。ここが日本の看護界から出てきていないように思うのです。

看護理論を重要だと何度も書いていますが、これを勘違いする日本の方もいます。修士以上で学ぶ看護理論は教科書や文献を読んで、私は看護をOOの理論で行なっています、と言うものでもありません。臨床で起こっている事象の輪郭を明らかにする為に先駆者の学者のレンズを色々使ってみて、自分なりのレンズを作っていくのです。つまり自分の思考過程の確立です。

看護師時代から大学院まで私たち看護師が行なっていることは全て繋がっているのです。臨床の疑問をリサーチクエスチョンにして、その輪郭を明らかにするために多くの文献を読み込み、それぞれのクラスで徹底討論し、輪郭が明らかになれば、それを改善する策をさらに練っていく。その2年間の過程をまとめるのが卒業論文で、それを書き終える頃にはしっかり自分の思考過程が確立しているものです。

この一連の作業が医療をグローバルな視点に立ち考えることができる考察力になり、それが臨床の患者へ還元されていく。部長だろうが、NPだろうが、CNSだろうが、リサーチャーだろうが、教授だろうが、ここは全て同じなのです。



周りの景観と調和する、もフランクが大切にしていたものです。

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