自分の容姿に大満足している人ってどれぐらいいるのでしょうか?
世には完璧なものは存在しない、と思っているので、容姿だって同じだと思います。しかし完璧じゃないから嫌いであっても自分の一部。ならば嫌うことより、それを受け入れるって必然的なことだと思います。自分を愛せない人は人も愛せない。人を愛せないということは人から愛してもらえない。だから自分を大事にすること。自分を愛せる(短所を攻めるより長所を愛でる)ことは人間界で生きていく第一歩だと私は思います。
で、彼女は生まれ持った性は男でした。6年前2度ほど診察に来た時は性転換術を考えている時でした。地元よりもっとサポートのある地へ、と彼女は消えました。6年ぶりに診察に来た彼女は全ての手術を終えていました。そして自分のことを化け物呼ばわりします。手術のせいでそうなった、と言います。以前の家庭医や専門医や精神科医やサポートグループを罵ります。
すっぴんの彼女は肌も綺麗で容姿も私より美しい、と思います。化粧をすればかなりいける土台が良い人材だと思います。胸の大きさも巨大すぎず小さすぎず。喉仏も、何もかも化け物なんかではありません。羨ましいと思えるほどです。一つだけ問題を言えば頭髪の薄さです。おでこのラインが後退しているのがわかります。
元に戻りたくても戻れない、お金がないから、と言ったかと思えば、お金さえ有れば顔を整形して、髪も移植して女性らしさを出せるのに、と言います。サポートグループは懲り懲り。皆口を揃えて私の手術は成功している、綺麗だと言うけれど、私は化け物よ!見て!!この醜さがわからないの!と言います(ボイストレーニングをしたようで声も男声と女声を出すことができます)。
あああ、この人は自分が嫌いなんだ、と思いました。拒食症でどんなに痩せていても、まだ痩せなければならないと食事を取らない人と同じ。
性転換とは全く関係ない。女性でも男性でも美容形成術を何度受けても、メイクを上手にしても、満足しない人たちを今までも診てきた。立派な精神科系の疾患です。
SNSや社会の風潮が、この病気を加速させています。ようやくその危険に気づいて少しずつ変わってきています。しかし後戻りには倍以上の時間がかかると言われます。
貴方も今日からできることがあります。沢山の愛情を周りに注ぐことです。長所を愛でて、長所を伸ばしていくことは短所を責めることより人格形成に重要であることを知り実行する事です。そしてそれらは本心でなければなりません。もう一つ、先のような病理学的に症状のある人は逆方向へ行ってしまうので専門家に任せるのが一番です。
冒頭写真: 夕方の湖は静けさを取り戻す。